お姉さんオーラが滲みでていた
モーリエの家に着いた。
家の中に入ると、小柄な女性が出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、モーリエ様」
深く頭をさげる女性。年上なのだろう、頭をあげモーリエにやさしくほほえみかけるその柔らかな顔にはお姉さんオーラが滲みでていた。
「ただいま、ライテ」
モーリエも笑って応える。
帰宅のあいさつを終えるとライテと呼ばれた女性は視線を一旦モーリエからカルマに移す。
小柄ながらもお姉さんオーラを纏い、さらに整った顔立ちをしているライテに笑顔を向けられてドキッとするカルマ。
「……」
またモーリエに視線を戻すライテ。その顔には「どちらさまでしょうか?」と浮かんでいたが、いきなり「どなたですか?」などと不躾な質問をしたりはしないで、モーリエが紹介を始めるのを静かにまっていた。
「あ、そうだった」
家に戻り気が抜けたのだろう、ライテの視線を受けやっと思い出したといった感じでカルマを紹介する。
「彼はカルマ、もう知っているだろうけど今日山賊に襲われてね。その時に助けてもらったの。それでね、まだこっち来たばかりで泊まるところ決まってないみたいだったから家に泊まっていってもらおうかと思って招待したの」
紹介をうけ、
「初めまして、カルマです」
と、頭を下げた。
「はじめまして、私ギルド『夜天光』でメンバーの身の回りのお世話をさせていただいているライテと申します。お嬢様が危ないところを助けていただきありがとうございました」
深深と頭を下げるライテ。
「い、いえ、そんなたいしたことは」
美人なお姉さんに丁寧にお礼をされるという慣れていない状況に恐縮するカルマ。
(こういうのは苦手だ)
心の中でそっと溜息を吐くカルマ。
「ふ~ん」
そんなカルマを興味深そうに見つめるモーリエ。その顔にはまるで新しいおもちゃをみつけたような楽しさが浮かんでいた。