減ってる気がしない
「クソッ、魔物の数が多すぎる」
ソータは倒しても、倒しても、減らない魔物の多さに悪態をつく。
自身が所属するギルドのギルドマスターにして委員会の1人、ルーの指示で彼はこの地に魔物退治に来ていた。
「向こうは…まだまだ掛かりそうだな」
ソータは少し離れたところで戦っている一団に目を向ける。
ルーと同じ委員会の1人、オグンのギルドの人達だと聞いているが、あちらも戦況はこちらと似たようなもののようだった。つまりは、救援は望めない。という事らしい。
「自分たちの事は自分たちでしろ!って事かよ…」
ソータは周りの同じギルドメンバーの様子も確認する。
近くには居るが、自分も含めたほとんどのギルドメンバーは、ばらばらに戦っていた。
「いつの間に!チッ、これはあまりよろしくないな」
とりあえず、ソータは魔物と戦いながらも、一番近くで戦っているギルドメンバーと合流しようと動きだす。
「おい、カンタ!お前もこっちに移動しろ!離れすぎだ、一度合流するぞ!」
ソータの掛け声に、カンタは一瞬ソータの方に顔を向けて確認すると、頷いて動きだす。
ゆっくりとした移動だったが、二人の距離がそんなに離れてなかった事もあり、すぐに合流する事が出来た。
「カンタ!そっちはどうだ?こっちは魔物が減ってる気がしないんだが」
背中越しに問うソータ。
「こちらも似たようなものです。他も概ね同じ状況でしょう。もうすぐ増援が来る予定ですから、今はなんとか耐えてください」
魔物を倒しながらも、ソータの問いかけに答えるカンタ。
「増援って、どっから?あちらさんの他のギルメンかい?」
ソータの声に、カンタは首を左右に振る。
「いえ、違います。先程連絡がありましたが、増援はマミさんところのギルドと連携をとってるギルドらしいですよ」
「そうか、ならもうひと踏ん張り頑張ってみますかね」
ソータはそう気合いをいれると、目の前の魔物目掛けて剣を振り下ろした。




