また明日
ゼンイの治療が終わった頃には、外はすっかり暗くなっていた。
モナルカに世話になったオグンは、モナルカにギルドハウスに泊まっていかないか。と提案するも、丁重に断られてしまった。
「せめて食事だけでも食べていってほしい」
オグンはモナルカに、せめてそれぐらいはさせてほしいと提案するも、モナルカはその誘いも丁重に辞退した。
「これからどうするんだ?」
そんな一連の流れを見ていたカルマが、借りている宿に帰ろうとしていたモナルカに問いかける。
モナルカは少しだけ考える素振りをみせると、
「そうですね、テトラ遺跡に向かう予定です」
相変わらずの抑揚の少ない声で答えたモナルカの返答の内容に、オグンが反応する。
「テトラ遺跡だって!そんな危ないところに1人で行くのか?!」
「ええ、そうですよ」
オグンの驚愕の問いに、モナルカはさらりと答える。
「きみはあそこがどんな場所か分かっているのか、大型の魔物が何体も徘徊しているような危険な遺跡だぞ」
簡単に答えるモナルカにオグンは、テトラ遺跡がいかに危険かを語り聞かせる。
しかし、モナルカはオグンに一礼してその忠告への感謝を述べると、それを承知のうえでテトラ遺跡に行くのだと語った。
「テトラ遺跡には何があるのだ?」
モナルカの頑なな様子に、オグンはそう問いかけた。
「さぁ、正直何があのるか正確には分かりません。ですが、魔物と世界について分かる可能性があることだけは確かです」
「魔物について…」
先日、魔物騒動があったばかりということもあって、モナルカの言葉に反応するオグン。
「まぁそれに、大型の魔物ぐらいなら、何体来ても問題無いですから、大丈夫ですよ」
本当に気にしてないという感じで答えるモナルカに、オグンは何か秘策があるのかと考えた。
「モナルカくんは大型の魔物と戦ったことがあるのかい?」
「戦った…ですか。そうですね、一応戦ったことになると思います」
曖昧なモナルカの答えに、困った顔になるオグン。
「一応とは、どういうことだい」
「いえ、一瞬で終わる戦闘を戦ったと表現してよいものかと思いまして」
「一瞬?」
説明を求める視線をカルマに向けるオグン。
「そのままの意味だと思いますよ。モナルカの強さは俺たちの理解の外なので」
その視線に、困ったように答えるカルマ。
「そう、なのか」
いまいち理解が追いつかないが、カルマが嘘を言ってないことは理解出来たオグンは、歯切れの悪い返事を返す。
「…また明日来てくれないだろうか、改めて話がしたいのだが」
少し考えて、モナルカにそう提案するオグン。
「分かりました、ではまた明日」
その提案を承諾すると、宿屋に帰っていくモナルカだった。




