俺に頼むなよ
あれから3日が経った。
ミリの話では今日の昼頃か昼過ぎには2人は到着するらしい。
「………」
会いに来るのは明日とはいえ、すでに緊張しているカルマ。
「そう硬くならなくても、普段通りでいいと思うよ」
対してミリは相手が家族だからだろう、会えるのが嬉しそうであった。
「わかってるけどさ、俺、芝居とか苦手なんだよね」
「嘘吐くの下手だもんね」
上機嫌に笑うミリ。
「わかってるなら俺に頼むなよ」
そう弱々しく言うカルマは、今にも泣き出しそうに見えた。
「だから普段通りでいいんだって。ただわたしと付き合ってるのか?って聞かれたら、はいって答えればいいだけで♪」
明日には家族に会えるからか、それともカルマが弱ってるからか、鼻歌でも歌い出しそうなほど弾んだ声を出すミリ。
「むむむ」
そんなミリの様子に、納得がいかないという顔をするカルマ。
「どうされましたか?何か困り事でも?」
その時、ちょうど2人が話をしていたギルドハウスの広間の前を通りかかったライテが、カルマが困っているのを見かけて声をかけてくる。
「いえ、なんでもありません。大丈夫です、ご心配いただきありがとうございます」
さっきとは別種の緊張に包まれ、油の切れた機械仕掛けの人形の様なぎこちない動きで頭を下げるカルマ。
そんないつものカルマの様子に、ライテは安堵した様に優しく微笑むと、
「そうですか、何か有りましたら遠慮なく仰ってくださいね」
そう言って一礼すると、ライテはその場を後にする。
「あ〜、びっくりした」
ライテの姿が見えなくなると、全身の力が抜けていくカルマ。
もうさっきまでの緊張は何処かへいっていた。
「む〜」
そんなカルマの様子が何故だか面白くなくて、理由の分からない不快感に襲われたミリは、人知れず不機嫌になるのであった。




