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魔物とはなんなんでしょうか?

「何か分かりましたか?」

 『夜天光』のギルドハウスにあるギルドマスターの執務室で本部とギルドマスターへの魔物退治の報告を終えたイルカがオグンにそう尋ねる。

「いや、肝心な事はまだなにも。分かった事はあの魔物の群れがニヒ遺跡とケラト遺跡、そしてキノドンダス遺跡の3つから来たらしいという事だけだ」

「また随分と遠くから」

 報告書だろう書類の束に目を通しながら話すオグンに、イルカは独り言の様な感想を漏らす。

「ああ、3つの遺跡から合流したってのもだが、わざわざ王都から離れた場所の遺跡から来たってのもよく分からん。今回の魔物の行動は前例が無さすぎる」

 持っていた報告書の束を机に放り捨てると、疲れた様に息を吐き出すオグン。

「各遺跡へ人は?」

「送ってるよ、だが芳しい報告はまだ得られないな」

「魔物に詳しい人物でもいればいいんですが…」

「詳しい…ねぇ、委員会では最年長のファン殿辺りだろうか。他には……思いつかんな、魔物を研究・調査してるような学者連中にはもう協力してもらってるしな」

 難しい顔で考え込むオグン。

「魔物ではなく遺跡に詳しい人物ではどうでしょう?」

「遺跡か、魔物と遺跡は同義な部分があるからな。まぁ、だから魔物の研究者は遺跡の研究者も兼ねてる場合が多いんだが、一応その線でも捜してみよう」

「………そもそも魔物とはなんなんでしょうか?」

 何かを考えていたイルカがオグンにそう問う。

「分からん。魔物の正体もだが、何故遺跡を護るように存在するのかも、何故魔物が存在する遺跡と存在しない遺跡があるのかも分からんしな。そういうのが何か1つでも分かれば色々分かってくるんだろうが」

 そう言ってため息を吐くオグン。

「………」

「………」

 重い空気に包まれる2人。

「とにかく、今回の魔物退治ご苦労だった。もう休んでいいぞ、何か分かったらしらせるから」

「分かりました。それではこれで失礼します」

 そう言って静かに執務室を出ていくイルカ。

「確認・退治数が621体、内訳が小型493体、中型128体ね。その中で人型は9体確認されたか。数は大規模だが、戦力としてはやはり大したことはなかったな」

 イルカからの活動報告を読みながら、まずは無事に済んだ事に安堵するオグン。

「これで終わり…ならいいんだがな。大型の魔物が1体でも出てこられたら大変な事になるな。現在の王都の戦力を考えると大型の魔物2体でも危ういか、守りを考えなければ2体がギリギリかな、それ以上だと…」

 そこで言葉を切るオグン。

 そのまま険しい顔で活動報告書を置いた机に目線を落とすと、そのまま思考の海に沈んでいくのであった。


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