二個目
もう、適当です
「ヨーヨーよー、あなたよー。何をしているのかい。死にたい?生きたい?どっちでも良い?まぁ、そう言わなさんな。あなたはこの世にとにかく「生き物」として生まれてきたのだから、ちとは自らを見つめてみても良いんじゃない?」
変な夢を見た。極めて変な夢を見た。もう叫びたくなるぐらいに変な夢を見た。
そこにいたのは空気だった。透き通ったその姿に反して声は図太いバリトンで、これぞ男、と思わず言ってしまいそうな声だった。
オレはそれを必死で殴った。貧弱で、手羽先のような俺の腕は、ひたすら引いては伸ばしての繰り返しだった。空気を殴っているだけなのだからオレのげんこつは痛くないはず。そう、もちろん痛くはならなかった。それでもどこか、オレの体に風穴を開けているようだった。
「変な夢を見た」、そういったときにはもうすでにオレは目をこらしていた。
布団から起き上がったオレはオレの小さなげんこつを眺めていたのだ。手についた細菌を見てやろうかという勢いで目をヒンむいて。眺めてじゃないな。観察だ。
しかし何もない。きっとこの拳は今までも、これからも、風しかつかんでいなかったのだろう。そしてこれが力をなくしたとき、空気は誰かの血となる。
あなたはこの世にとにかく「生き物」として生まれてきた
そうですね。オレは人として。
なんかもう嫌・