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一個目

少しずつ・・・

 今、私は電車に乗っていません。というより乗る気は更々ございません。そうしてずっと人が行き交う電車の前でまるでマトリョーシカのように様々なものを丸みこみながら、ちょこんと立っています。


 この駅は、ある程度の大きさはあると勝手ながら自覚しております。駅前にはいかにもというような一本の木が立っていて、近くには時計塔があります。その先にある商店街はクリスマスのイルミネーションと人々の歓声で明るく彩られています。中心都市が近くにある分、この町はそこで勤める人々のためのベッドタウンとなっています。きっと上空から見れば、奇怪な電球の色と、一見暖かそうな乳白色がまるで豪華なクリスマスケーキのように見えるでしょう。悪く言えば、砕け散った真珠のよう、とも言えるかもしれませんがあまり私はそう言いたくありません。

 兎にも角にも、私は今、電車には乗っていません。寒い中、自ら電車に乗らずしがないベッドタウンで、唯一町の人間が一挙に会するこの駅で私は半日ホームで立ち尽くしているのです。特に物思いに耽っているわけでもありません。ただただ私は日時計のようにプラットフォームの一角に佇んでいます。そう言えば、駅の前にはしゃんとした太陽光パネル付きの電波時計がありますから、聖夜の訪れはその時計が知らせてくれるでしょう。まぁ、日時計では夜の時刻ならいくらでも伸ばすことができます。時刻がルーズなもであってほしいと思うときは私は重宝するでしょう。と私の前を次々と通り過ぎる人々はほとんどが二人組できっと聖夜の訪れを穏やかな気持ちで待っています。男と女。男と男。女と女。子供と大人。子供と子供。この人たちは皆クリスマスの隣人を扱うのに嬉ながらの四苦八苦、もしくは存分に楽しんでおられるご様子ですが、こうして佇んでいるだけの私も実は「隣人」と楽しんでいます。むしろ、私の方が「快感」というのを感じているかもしれません。彼ら、彼女らは夜にならなければ今私が感じているような快感は感じることができないのですから、日のある内は私がいては逆に目障りかもしれません。

 私を楽しませてくれるその「隣人」は電車の扉が開いたときにやってきます。プシュと言う音と共に多くの暖気が私の足下になだれ込み、そして空気のように私の両肩を切っていきます。そして、私はその度に猛烈な快感を感じているのです、「俺は屑だ」と

才能はないので努力あるのみでしょうか?

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