解明、そして決定
「おはようございます。秋風さん、雪消さん。」
「おはよう、リリー。」
「おはよ~。おすみ~。」
「ちょっと、雪消さん。だらしないですよ。」
「今すぐに起きなかったら、朝飯抜きだ。」
「嫌だ!起きる!朝ごはん!」
木芽はガバッと起きてテーブルに座った。ちなみに、二人の名前のことは遠い国から
来たと説明した。
「あれ?朝ごはんは?」
「もうちょっと後だ。すぐには用意できねえよ。」
「なんだ~。もっと寝れてたじゃんか。」
「いいじゃないですか。ほら、向こうで着替えましょ。」
「うん。」
女子を待つ間、ふと思いついた。
(リリーってどんな魔法を使うんだ?回復とかしてくれんのかな。)
「お待たせしました。で、今日はどうするんですか?」
「その前にリリー、お前どんな魔法を使うんだ?」
「え、私魔法使えませんけど。」
『は?だって、昨日魔法使いだって言ったじゃん。』
見事にハモった。高2まで一緒にいたのだ。シンクロ率は伊達じゃない。
「見事ですね!でも、魔法使いなんて一言も言ってませんけど。魔道師って言いませんでしたか?」
「そういえばそうだったような・・・」
「でも、何が違うの?」
「あ!そっか、遠い国の人だから分かんないのか。」
リリーは一人で納得した。
「魔法使いと魔道師は違うんです。」
「何が?」
「魔法使いは魔法を使いますが、魔道師はまた別の力を使うんです。」
「別って?」
「例えば、物を一瞬で移動させたり、物を浮かせたり、潰したり。そんな感じです。」
時雨はとても驚いた。神様から、世界を救えと言われた時よりも驚いた。
(いやいや、それ超能力じゃねえか。なんてこった。とんだ見込み違いだぞ。)
「へ~。凄いね!魔道師って何人もいるの?」
「いえ、そんなにいないと思います。私の一族以外に聞いたことありませんから。」
「じゃあ、とっても強いって事じゃん。」
「でも、まだ未熟ですから。」
木芽は順応が早かった。元から超能力もあるだろうと予測していたのだ。
嬉しい以外の何物でもない。
「それってまさか、テレポートとサイコキネシスって名前じゃないのか?」
「!よく知ってますね。ほとんどの人が知らないのに。」
(まぁ、使えるっちゃ使えるな。でも、)
「回復魔法とか使えないんだろ?」
「はい。魔力が全然無いんです。でも、雪消さんは持ってますよね。たくさん。」
「え!私が!」
「ええ。だって銃って基本魔力を消費して撃つんですよ。知らなかったんですか?」
「いや~、撃ったら出るもんだと思ってたよ。」
「よし!じゃあ、木芽。回復魔法覚えろ。」
「うん。やってみるよ。ところで、朝ごはんは?」
「あ、いま作りますね。」
昨晩、リリーがご飯担当になったのだ。その腕は文句無しだった。
食事が終わると、時雨が出て行った。
「どのへんでやるの?」
「この宿の裏でして来る。」
「いってらっしゃーい。」
「何処行くんですか?」
「朝連だよ、剣の。毎朝やってるんだと。」
「秋風さんって剣士なんですね。」
「うん。強いよ~。」
「頼もしいですね。」
時雨の家は代々剣士の一族だ。時雨も小さい頃から剣技を教えられていた。
朝連はその時からの習慣だ。
「ねぇ、リリーちゃん。魔王って何処にいるの?」
「は?魔王?ああ、破壊神の事ですか。」
「うん。そいつの事。」
「破壊神の場所は分かりません。でも、手下、というより幹部みたいな奴の場所なら分かります。」
「幹部?何処?」
「幹部達は8人います。それぞれが、この大陸の八方位の果てにいるといわれています。」
「大陸?そんなに大きい場所なの?ここ。」
「え!まぁ、仕方ないですか。ここは、この世界で一番大きい大陸です。」
「ふ~ん。」
(大変そうだな、倒してまわるの。)
人事のように木芽は思った。
「倒せるかな?」
「今のままでは無理でしょう。幾らなんでも無茶です。ここから少し北に行くと町があります。
そこで修行してはどうでしょう?」
「いいね!そうしよう。ついでに魔法も覚えたいしね。」
次の目的地が決まった。時雨の知らない間に。
読んでいただきありがとうございます。
無理やりリリーの能力を変えてしまいました。
魔法を期待して下さっていた方にはすみません。
ようやく、魔王への手がかりが出来ました。
次話もおたのしみに