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時雨の剣  作者: 根拠の無い自信
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解決、そして乱闘

(何だ?何が違うんだ?)


時雨は木芽が寝た後も違和感の正体を探していた。しかし、簡単には見つからなかった。


(整理しよう。喋る木に教えられて、この町に来た。猪が多くて疲れた。

サーカスで楽しんだ後、武器屋に行き装備を揃えた。

たったこれだけなのに、気のせいか?)


「う~ん。しぐれは強いね~。むにゃむにゃ。」

「ったく、人が困ってる時にのん気に寝やがって。着替えてもねえじゃねえか。ま、当たり前か。」


その時、時雨の頭に雷が落ちた気がした。違和感の正体がつかめたのだ。


「そうだ!俺たちは私服だったんだ。この世界に来て、この世界らしい服は着ていない。

なのに、この町の奴らは何も質問してこなかった。というか、何気に親切だった。

この宿も教えてくれた。」


正体がつかめたが、だから何なんだという話だ。時雨はますます嫌な予感がし、必死に考えた。


(親切だったのは何故だ?珍しい服の奴が来れば物珍しそうに見てもおかしくない。)


一つの仮説が浮かんだ。乱暴に接してここから出て行ってほしく無いとしたら?


(出て行ってほしくないとすれば、俺たちに用があるという事。

でも、町で声をかけられたことは一度も無かった。

なら、どういう事だ?用があるはずなのに、明らかにおかしいのに!)


もう一つ浮かんだ。親切にして、油断させようとしてるとしたら?


(油断させる、という事は俺たちに直接頼んでも無理な用があるってことだ。)


そこで気づいた。この町がどんな町なのか。今自分達がどのような状況にあるのかを。


「まずい!木芽早く起きろ!さっさと逃げるぞ!」

「え~なんで~?」

「いいから!あ、そうだ。防具着ろ!あっち向いといてやるから。早く!」

「う、うん。分かったよ。」


着替えを終えた二人は、急いで町から出ようとした。途端、襲われた。


「ちっ、やっぱりか!」


俺たちに直接頼んでも無理な用事。それは、自分達の珍しい服装をもらう事。

だとすれば、油断し、宿でくつろいでいた自分達は、

もう相手の罠にはまっていたと言える。この町は旅人を油断させ、

身包みを剥がす盗賊の町だったのだ。

(くそ!もっと早く気づいてれば!)


「てめえら、珍しかったから親切にしてたってたのによ。どうして気づくかな。」

「うわあ、どうしよう時雨。囲まれたよ!」

「町ごと相手するのは無理があるが・・。やるしかねえ!」


時雨は剣を抜き斬りかかった。その太刀筋は見事でまず一人倒した。


「時雨かバックレか知らねえけどな、なめんじゃねえぞ!」

「やっちまうぞ!」


時雨は何人にも襲われた。ふつうなら、剣道は一対一だからあっという間に殺される。が、


「こちとら、ここに来るまで何十対一で戦ってたんだ。猪と人間じゃスピードが違うんだよ!」


そう。猪が多いといってもその数は伊達ではなかった。時雨の言葉はハッタリではない。


「死ねええ!」

「!ヤバっ。くそったれ!」


後ろから来た攻撃に反応するが、間に合うか微妙だった。


(間に合え!ここでくたばってたまるか!)


刹那、銃声が聞こえた相手の手と足を的確に撃ちぬいた。


「大丈夫?時雨!」

「木芽!お前銃なんか使えたのか!」

「話は後だよ!まだまだ居るよ、こいつら」


その後、夜が明ける頃まで乱闘が続いた。最後の一人を斬ると、バタンと時雨が倒れた。


「終わったーー!いや、何回か剣が折れたときは本気で焦った。能力が無けりゃ今頃死んでるぞ。」

「そだね~。私も限界だよ。この銃、弾切れが無いみたいでさ。そのおかげだよ。」


木芽が買ったのは、用者の魔力を実弾に変えて撃つ銃なのだが、

木芽は神様からもらった魔法を発動出来るだけの魔力ももらっていたのだ。

木芽が知る由も無いのだが。


「何でお前が銃使えるんだ?使ったことあるのか?」

「無いに決まってんじゃん。あったら怖いよ。」

「それもそうだが、かなり見事だったぞ、お前の射撃。何で銃使おうと思ったんだ?」


木芽は少し得意げな顔で説明し始めた。


「私って、バカでしょ?」

「というか、自覚あったんだな。」

「当たり前じゃん。で、私って何処でも寝れるでしょ?」

「ああ、言われればそうだな。」


この特徴があったから、初の猪戦の時

“おいおい、寝てんじゃねえよ。”

と言ったのだ。


「でさ、私ってあやとり好きでしょ?」

「授業中もやってるから、松井に怒られるんだよ。」

「いいよ、そんなこと。で、説明は以上!」

「はい?」


時雨の頭の中が?マークで埋め尽くされた。しばらくして、結論が出た。


「まさか、お前・・・」

「うん!私って、のび太と同じでしょ。だったら、射撃も出来るだろうって思ったの。」

「・・・」

「おーい。時雨さーん。どうしましたか?」

「どうした?とちゃうわ!無理やったらどないすんねん!」

「いや、でもさ、私なら見つけられるって神様がいってたじゃん。

いくら下っ端でも、神様は、神様だからね。」


時雨は少しキレかけたが、木芽との付き合いが長い彼だ。諦めることにした。


「はぁ、お前ってそういう奴だったな。忘れてたよ。」


陽が完全に昇り、異世界2日目が始まった。

読んでいただきありがとうございます。

一応前回の解決編にたいなものです。納得していただけましたか?

今回、二人には流石に無茶させてしまいました。

ご感想お待ちしております。次話もおたのしみに。

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