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時雨の剣  作者: 根拠の無い自信
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短所、そして予測

「おい!大丈夫か、ミレア」

「は、はい。なんとか・・」

「動くなよ。今、運ぶからな。」


時雨に抱えられ、待機室へと運ばれた。そこには、木芽やリリー、そして救急チームがいた。


「ミレアをよろしくな」

「はい。お任せください。」

「木芽、リリー。ミレアのそばにいてくれ」

「もちろん!時雨、勝ってね」

「当たり前だ」


ミレアが倒れるまで、勝ちにこだわった。一度はパニックを起こしたものの、なんとか

建て直し、そして勝利した。師匠である時雨が、負ける訳にはいかなかった。


(絶対勝つ。相手が誰であろうと)


『Bブロック決勝戦!!期待の新人、シグレ選手の相手は、今までのトーナメントを

難なくクリアしていった、実力派。シモン・スラヴァ選手だ!!』


コールされて出てきたのは、少し頼りなさげな普通の男だった。


「よろしくお願いします、シグレさん」

「こちらこそ。お願いします」


時雨は良く分からなくなった。アルフォンスのような威厳のある人だったら、警戒するが

シモンはただの普通の男に見える。威厳があるわけでもない。


(ドラマに、通行人として出てそうだな、この人。何処にでもいそう)


『さあ!先ほどの試合に負けない程の、試合を期待しております!試合開始!!』


そんな失礼なことを考えてる内に、試合が始まった。シモンが仕掛けてくる。


「はああ!」

「っく・・」


上手い攻めだ。時雨の苦手な部分を突いてくる。これなら、難なく、というのも頷ける。


「次は俺の番だ!」


時雨の攻撃。いつもどうり、手数の多さで勝負する。だが、イマイチうまく決まらない。

防御も、それなりに上手い。


(さて、どうやって・・・!!)


時雨は気がついた。考え始めるまでの間の攻防で、特に突出した部分は見つからなかった。

だが、短所も見つからなかった。この時の攻めが甘いとか、この部分を攻めると

防御が遅れるとか、そういったのが見つからなかった。


(短所が無い。こんな奴初めてだ)


つまり、攻めどころが無い。ある意味完璧な剣士だ。どう攻撃しても、通用せず、

攻められると、上手い攻めで崩される。


(さて、どうしようかな・・)


「来ないのなら、行きますよ」


また、シモンの攻めが始まった。二本の木刀で対応するが、なかなか隙が無い。

なかなか返せない。


「くそ、このままじゃ埒があかねえ。強行突破だ」

「へえ、何するんですか?」

「見てろ」


時雨はとりあえず耐える事にした。チャンスが来るまで待つ。


「何もしないんですか?」

「来たっ!」


振り下ろしが来た。タイミングをみて、自分の木刀で相手の木刀を挟む。

二本の木刀で挟まれたシモンの木刀は、動けない状態だ。


「見たか。ニ刀流ならではの技だ。」

「凄いですね」


挟んでいる内に、さっと間合いを取る。

時雨が仕掛ける。


「オラオラオラァ!!」

「くっ、見てたけど、ここまでとはっ」


時雨の怒涛の攻撃が始まった。シモンを防戦一方に追い込む。

いつの間にやら、振り下ろしの連発になった。


「これは!」

「遅せえよ。津波連斬」


徐々に激しさを増す、振り下ろしの連撃。木刀同士の当たる音が、会場に響き渡る。


「これでどうだ!」


シモンに前蹴りをぶち込む。しかし、アダム戦のように会心のヒットとはならなかった。

蹴られる寸前に、自分から飛び退いて衝撃を吸収したのだ。


「いたたたた。強烈ですね。危なかったです」

「ちっ、まだか。なら、秋雨の舞い!」


追撃をかけようと、左手を突き出す。が、防がれてしまった。


「やられませんよ。その技はやっかいですから」

「くそったれが、なら、これはどうだ!」


時雨は辻斬りをしようとするが、アダムの時のように見事に防がれた。


「甘いです。僕は倒せませんよ」

「ダメか。くそっ」


時雨は必死に考えた。ミレアのように速さがあるわけではない。


(俺の特徴はなんだ?改めて考えるとわからねえ。でも、とりあえず、攻めるしかねえな)


時雨はシモンに向かって、ダッシュした。次は、手数よりもシモンの弱点を探るような

攻め方に変えた。少し力を込めて、開けれるならこじ開けようと思っていた。


(何かあるはずだ。何かが)


「これでどうだ!」

「ダメですよ。無駄な事です」


シモンは、冷静にそう言った。だが、表情は違った。苦しそうな顔をしている。


(そういう事か。だからお前はそんな剣士なのか)


時雨は攻撃を止め、少し離れてこう言った。


「お前の弱点が分かった」

「バカな事を。そんなのありませんよ」

「いいや、お前は非力なんだ。パワーが人より無い。だから、テクニックを極めるしか

無かったんだ。パワーを使わずとも、相手に一撃を入れれるように。パワーを使わずとも、

相手の猛攻を防げるように。だから、お前は全体的にテクニックがある」


シモンは少し嫌そうな顔をしたが、すぐに元に戻した。


「でも、それを攻略できてないじゃないですか」

「それも違う。お前の防御は基本、横着だ。相手のパワーをいなそうと必死だ。確かに、

一本だったら防げるだろう。現に、今までの技は、二本の木刀を別々に動かしていた。

じゃあ、二本同時はどうかな?」


時雨は言い終わると同時に、走ろうとしていた。


「行くぜ。終わりだ」

「まだです。僕が勝ちます」


全力疾走でシモンに向かう。そして上に飛び、木刀を叩きつけるように振り下ろした。


「くっ、おおおおお!」

「耐えたか。ありがとな。予想どうりだ」


木刀を振り切って着地した時雨は、振り下ろしのパワーに手が痺れ、がら空きになった

シモンの胴に左手を突き出す。


「あそこまで言ったら、お前はムキになってくれると信じていた」

「何!ぐっ」

「秋雨の舞い。これで終わりだ」


左手の突き、右足の蹴り、そして右手の振り下ろしを綺麗に決め、シモンは倒れた。


『ウィナー、シグレ・アキカゼ選手!!あの実力派のシモン選手に、またもや綺麗な

コンボを魅せてくれた!これは、決勝戦バトルロワイヤルに期待がかかるぞ!』


「バトルロワイヤル?トーナメントじゃないのか?」


決勝バトルロワイヤルは、3日後に開催される事になった。

読んでいただきありがとうございます。

まあ、前に比べると最近の文章は長くなっています。

皆さんは、どちらの方が読みやすいのでしょうか?

できれば教えてください。

次話も、おたのしみに。

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