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冒険者の旅、神官の旅

 私達、パーティ一行は知り合って日が浅い。よって色々と決めなきゃいけない事もある。


「とりあえずモッドちゃん。君がリーダーだ」

「え?」

「当然だろう? 元々君が賢者の石を作るための旅だ。最終決定権を有するのは君で、リーダーの言う事は絶対。これが守れなきゃパーティは崩壊する。アルフ、ヘイムちゃん、ティアラちゃん、どうだい? 異論があれば聞くけど」


 割とリーダー向きなのはベテランのゴルドさんな気もするけど……


「俺はゴルドさんがリーダーの方がいいけど、まあ理由聞けば納得だ」

「私の師匠ですからね! 問題ありません」

「ない」


 という事で全会一致という事になった。


「ま、こういう会議の時は仕切らせてもらうよ。司会進行役ってやつさ」

「お姉様がリーダーなら私は副リーダー。【情報処理】のスキルが役に立つはず」

「ふむ、モッドちゃんはどう思う?」


『アタシは特に文句なしよ』

『やめといた方がいいと思うなあ。多分頭上がらないよ』

『意見全部受け入れちまう、なんて事になるならやめとけ。それじゃ誰がリーダーかわかりゃしねえ』


 という事で反対寄りの意見が多い。私としては賛成なので今回は意見を通させてもらう。なぜ賛成か。それは……


「この旅はティアラに賢者の石を使って不老不死になってもらうのが目的なので副リーダーなのは納得です。あ、それと私の巡礼の旅も目的ですけど」

「んー、そっちは聞いてないけど、まあいいさ。ヘイムちゃんも神官技能持ちだろう? ちょうどいいんじゃないか」

「そうですね、巡礼は神官としてのスキルを高めますから」


 え、そうなの? 全然知らない……トリーさんに巡礼の旅に出た方がいいって言われて言うとおりにしただけなんだよな。


「おい、こいつ分かってねえって顔してるぞ」

「はいそうですね。ちょっと初めて知りました」

「オーケイ。なんにしろパーティの神官二人が強化されるんだからいいことさ。何しろ、錬金術の素材を集めるならどれだけ強くてもイイ」

「フィールドダンジョンに入る必要がありますもんね」

「そういうこと」


 フィールドダンジョン。迷宮としてのダンジョンと違い、魔物が出るようになった森などダンジョン化した領域。

 違いとしてはボス部屋が無い。そしてその辺の魔物と同じように、倒したモンスターは消滅せず素材として残ること。基本的に神官によって結界が貼られ、一定以下の実力の人間は出入りを許されていない。

 そして、その実力を証明するのが冒険者のランクだ。一番高くてゴルドさんのC。一人条件を満たしていれば入れるので今はCランクまでのフィールドダンジョンに入場する事ができる。

 ……というような事を冒険者初心者教習で習った。


「賢者の石なんて伝説のアイテム、作ろうと思ったらSランクダンジョンにいるようなモンスターの素材がいるんじゃねえか?」

「ランク上げの必要もあるという事」

「ふむ、ちょっと整理しようか」


 そう言ってゴルドは指折り数えていく。


「まず、ティアラちゃんを不老不死にするのが最終目標。

 賢者の石を使って達成予定。

 そのためには賢者の石を作るためのレシピがいる。これが達成できれば素材集め。

 素材を集めるには恐らくランクSのフィールドダンジョンにいるような魔物を狩らなければならない。

 ギルドから冒険者ランクSになるだけの依頼を受ける必要があり、当然それだけの実力が求められる。

 そうするとどうやって実力をつけるか。神官組は巡礼を行い神官技能を高める。あちこち行く必要があるから、その道中で剣士組も実力をつける必要がある。

 更に言えば、この時に錬金術の腕前を上げておくのも大事だってこと」


 や、やる事が多い。

 しかも話してない寄り道だけど、強者の霊を探すのも選択肢に入れてる人格もいるくらいだ。


「俺達、思ったより長い付き合いになりそうだな。なあヘイム」

「うん……でも、達成できたら凄い事だよ」

「お姉様とずっと一緒にいるために頑張る」


 私を、そしてティアラを見てゴルドは何か訝しんでいるようだった。


「ふぅん。ま、いい。ヤる事がたっぷりで濃厚な旅になりそうだ」


 そう言ってセクシーな笑みを浮かべるゴルド。なんか、鎧着てない時のゴルド苦手かもしれん。何考えてるか分からない。

 ティアラなら読心術で分かるか。解散して二人きりになったら聞いてみようかな。


「さて、そうすると魔導都市エンディにいくのがベターかな。あそこならレシピそのものもありそうだし、無くても手掛かりくらいは見つかるだろうさ」

「見つからなかったらどうすんだよ?」

「ま、とりあえず巡礼だけでも済ませる感じになるかね。それにあそこなら錬金術の腕も上げるのにちょうどいい。

 どうだい、リーダー?」


 地球出身なので土地勘がまったくない。よってベテランのゴルドが言うなら間違いないだろう。


「じゃあそれで行きましょう」

「いいね。次は……パーティ名でも決めようか。Sランクパーティになる予定なんだ名前の一つもないと収まりが悪い。俺のズボンの中みたいにね」


 なるほど、名前か。考えてなかったなあ。

 あ、下ネタはスルーで。誰も反応してないし。


『最強俺様伝説』

『安心と安全の旅人』

『アタシとティアラと賑やかし』


 第三人格が一番マシ。というか……


『第四人格、あんまりヘイムの事好きじゃないのか? 女の子なら誰でもいいのかと思ってたんだが。扱い雑じゃない?』

『女の子は好きよ? でも、決まった相手がいる子はパス。靡かせるのも相手に悪いし』


 靡く前提なんだ……やっぱこいつナルシストなんだな。その自信満々な感じ。


「分かんねえ。どういうのがいいんだ?」

「錬金術関係がよさそうだけど」

「お姉様と下僕達」


 しれっと自分を下僕に入れたなティアラ。それでいいのか。


「チェンジで」

「チェンジで」

「チェンジで」


 そりゃそうなる。いや、待てよ……錬金術ってのは物質を変換する術だよな。で、俺とゴルドは人格が複数ある。それなら――


「<チェンジャー>……」


 私がそう呟くと、皆が頷く。


「いいね。モッドちゃんのパーティにはぴったりの名前だ」

「いいんじゃね? あんまごてごてしてないし」

「いいですね! ちょっと語感がチャレンジャーっぽいですし」

「お姉様と下僕達……」


 ティアラはまだ言ってる。なんにしろ全体的には好評そうで何より。

 これで決定でいいかな?


「それでは、これから私達は<チェンジャー>の一員です。仲良くやっていきましょう」


 各自、同意の声が上がる。


「さて、ゴルドさん。他に決める事は?」

「次はドウテイ。そして準備するモノ。結構エンディまでは遠いから大事な事さ。あと旅の消耗品もそうだけど、俺達は錬金術ビギナー。この街で買える錬金術用の素材は買っていっていいんじゃないかと思うね。そうすりゃ空き時間に練習できるだろ?」


 うーん、なるほど。参考になる。

 こうして私達は夜遅くまで旅のルートと必要になるものを相談してそれぞれの部屋に戻った。明日は買い物をすることになるだろう。

 ちなみにゴルドさんと私は闘技大会でコンビを組む関係で相談する事もあるだろうという事で同じ宿だし、バルトに来るときにギルドに報告する流れでアルフとヘイムも同じ場所に泊まることにしたらしい。ティアラも途中から私と同じ部屋に泊まりはじめた。

 なのでみんな同じ宿なのである。

 今は私とティアラ、ゴルド、アルフとヘイムの三部屋だが本格的に旅が始まれば男子と女子の二部屋になるのが自然だろう。

 なので、今のうちにティアラとは秘密の会話をしておきたいところだ。


「お姉様が【不老不死】またはそれに類するスキルを持っている、とあの男は思っている」

「……なぜでしょう。何かバレるような事しましたっけ」

「賢者の石。使う対象が私だけなのはおかしい」


 あー、なるほど。考えてなかった。あの胡乱げな目はそれか。

 というかそもそも、私の能力はどこまで開示していいんだ?


「開示する必要があると思うスキル以外は隠匿していい。なんならヘイムという女も言っていないスキルがある」

「え、意外。なに?」

「【聖女の卵】というレアスキル。神官系スキルの効果と成長率を上げる」


 卵、ということはもしかして……


「そう、成長すれば【聖女】になる可能性もある。そうすれば各地の教会は身元を欲しがると思う」

「それはもしかして、割とトラブルになるのでしょうか」

「なる。本人も言ってないだけで隠してる訳でも無いのが頭が痛い。自分で聖女の卵とか言うのは恥ずかしい、それくらいの理由で言っていない」


 あー、控えめだしね。そんな感じかも。


「じゃあ、アルフの方は? 実は勇者の卵とか剣聖の卵とか?」

「剣術くらいしかない。今後スキルが増える可能性もあるけど、今のところは剣術くらい。でも気を付けた方がいい」

「え、やっぱり実は秘められた力が……?」


 しかしティアラは首を横に振る。


「お姉様に組み伏せられた時のお姉様のお尻の感触が忘れられないらしい」


 少年の性癖を歪ませていたらしい。知りたくなかった、知りたくなかったよ。


「軟派な方の男はお姉様を戦力としては信頼してるがよく分からないやつ。そう思ってる」


 そうでしょうね。最近安定してるけど私自身を含めたら五重人格なので。というかゴルドの方も相当訳分かんない。なんで普段あんななの。


「最後に私について。お姉様が気になっている事」


 ああ……あれか。いやまあ、気にするのも野暮かなあとは思っていたんだけど。


「なぜ私が非処女なのか。【処女の見極め】のスキルでバレているので話しておく。これは最初のお姉様とレズプレイした時に失った。男と交わった訳じゃない」


 それなら安心。安心か?


「ええと、その最初のお姉様っていうのは」

「実力はあったと思う。でも死んだ。あの女は強くなかったということ」


 ……あれ、これ私も負けたら見限られる感じ?


『言ってることやばくね?』

『というか最初のって事は次あったのかな』

『ミステリアスねえ』


 くすりと笑って、ティアラは続ける。


「お姉様はずっと私のお姉様でいてね。私は強い女が好き。

 だから、誰よりも強くあって――運命に、打ち勝てるくらいに」


 意味深なその発言に私はうん、と頷くしか出来なかった。


「そろそろ寝る時間。じゃあえっちする」


 その話の急転換に、やはり私はうんと頷くしか出来なかった。

 ちなみにめっちゃぺろぺろしてもらった。

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