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最弱の木こりはジョブスキル《必中伐採》で世界最強のモブキャラとなる  作者: 千秋 颯@3/6「選ばれなかった令嬢~」アンソロ発売!


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第1話 復讐の幕開け②

 村へ戻ると、村人が集まっていた。

 彼らは上質な装備を持つ戦士たちを囲んでいる。


「どうかしたのか?」


 木こりの一人が村人へ声を掛ける。

 すると彼らは一斉に振り返った。


「アン!」

「え、私?」


 突然名前を呼ばれたアンは不思議そうな顔で村人達に近づく。

 するとその場にいた者たちが一斉に喜びと賞賛の声を上げた


「勇者様がSランクダンジョン攻略の助っ人としてお前の力を借りたいらしい!」

「すごいわ、アン! 頑張ってね」

「え、私が……?」


 ダンジョン――それはさまざまな罠や未確認生物が蔓延る危険地帯の総称。

 そこでは経験値や財産、その他資源などを豊富に得られるため、ジャック達の国では攻略方法を明確化する為の調査が推進されている。

 また戦利品の質はダンジョンの難易度に左右され、Sランクは国内最難関のダンジョンとされている。


「最先端の攻略パーティーと共に国の役に立てるなど、この上なく光栄なことだ。しっかり貢献して来なさい」


 村長は国からの通達が記された紙をアンへ見せながら、激励を送る。

国からの直々の任命――それは名誉であり、また同時に、拒否権がないことを意味していた。




 アンの出立の時間はあまりに急だった。

 その日の夜に勇者と共に村を出るらしいという話を聞いたジャックはアンの家へと訪れる。

 すると丁度、荷物を纏めたアンが外へと姿を見せた。


「ジャック」

「行くの?」

「何それ」


 答えなど分かりきっている問いだった。

 咄嗟に出た問いにアンは笑う。


「確かに危険だと思うし、怖いって気持ちもあるけど……でもそれ以上に嬉しいよ。ダンジョン攻略って、誰もが抱く夢じゃん。私みたいなジョブでもダンジョン攻略に参加できるんだって思うと、ワクワクするの!」

「……そっか」

「それに、勇者のジョブはSランク、他のパーティーの人達も皆んなAランク以上なんだって! これ以上安全なパーティーもないよ」


 アンはそう言うと、勇者達との集合場所の方角へ視線を向ける。


「だから安心して待ってて。帰って来たら沢山の報酬で美味しいもの奢ってあげるから」

「じゃあ、期待してようかな」

「任せて! ……じゃ、いってきます!」

「いってらっしゃい」


 笑顔で手を振りながらアンは離れていく。

 次の再会といい知らせを心待ちにしながらジャックは家へ戻るのだった。


 ……しかし、次に勇者達が村を訪れた時、そこにアンの姿はなかった。



***



「おめでとう、ジャック!」


 ジャックは呆然と立ち尽くす。

 村人達は笑顔でジャックを祝った。

 村長が持っているのは国からの通達。


 アンが出立して一ヶ月。

 勇者パーティーは突然ジャックの村へ戻ってきた。


「……アンは? アンはどうなったんですか……っ」


 ジャックは喜ぶ村人達を押し除けて勇者へ問う。

 勇者達は顔を曇らせた。


「彼女は……ダンジョン内で行方不明になってしまった」

「っ、何故ですかっ! ランクやAランクの貴方達がいながらどうして……」

「俺たちの力不足だ。……必ず彼女を救い出してみせると誓う。だからこそ、彼女をすぐに見つけられる人が……君の力が必要なんだ!」


 ジャックは《セイム・フェイス》を思い出す。

 勇者達は、アンを見つけたくても見つけられないのだ。

 失敗し、大切な人を危険な目に遭わせた彼らに腹立たしさは覚えたが、それでもアンを救う為に彼らの力が必要だと言うことは明らかだった。


「……わかりました。同行させてください」



***



 Sランクダンジョンは古代建造物を模したような空間だった。

 建物へ入り、勇者たちと共に奥深くへ進んだジャックはやがて大きな道を逸れる。

 照明が激減した細い道に勇者たちは慣れているようで、途中に隠された仕掛けを正しく操作して隠された分かれ道を出現させたり、初見では一切気付けないような罠へ事前きた対策を施したりしていた。


 そしてダンジョンへ足を踏み入れてから一ヶ月という時間をかけて辿り着いた先。

 成人男性が三十人が手を繋いでも到底囲いきれないような、恐ろしく太い幹を持つ大樹がのびのびと無数の枝を広げていた。


 天井や壁は取っ払われてしまったのではと思うほど遠くにあり、この大樹以外何もないような空間がどれだけ広いものであるかをジャックは悟る。


「アンが俺たちの視界から消えたのはここだ」

「っ……!」

「共にアンを探そう。まずはあの大樹から」

「……わかりました」


 促され、ジャックは先へ進む。

 そのすぐ隣に勇者が並び、他のパーティーメンバーもついていく。

 そして触れられる距離までジャックが大樹へ近づいたその時。

 ジャックは異変に気付いた。


 木の幹に、大量の人の顔が埋め込まれていた。

 幹に飲み込まれ、融合したとでもいうように茶色くしわくちゃに変色した人々の顔。

 それが本物であるとジャックの直感は語っていた。


「う、うわぁぁぁあっ!!」


 驚きと恐怖、そして危機感からジャックは後ずさろうとする。

 しかしその時。ドンと、彼の背中が強く押し出される。


 体制を崩したジャックは大樹の前へ転がり込んだ。

 そこへ蔦のようなものが伸び、ジャックの胴体に巻き付く。

 巻き付いた蔦はジャックに凄まじい痛みを浴びせながら、得体の知れない力で彼の体と融合する。

 そして彼の体に埋め込まれた蔦の伸びる先は――大樹だ。


 何が起きているのか、何故後ろから押されたのか。

 次々と疑問や恐怖が過っていくジャックを見下ろし、勇者は鼻で笑った。


「悪いな。お前はここで生贄になってもらう」

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