「100年ダラダラしてたらレベル0のボスになってた件」
投稿してなかったのはこれ書いていたからです(予定より3ヶ月遅れました)
こういうの書きたかったー
俺はスライム。
どこにでもいる、あのスライムだ。透明っぽい半液体で、丸っこくて、ピョンピョン跳ねるアレ。最弱モンスターとよく言われるが、100年も経つとちょっと違うぞ?俺は今や、ダンジョンのボスなのだ。
ただし、レベル0のボス、というやつだ。これがまたややこしい。普通ボスっていうのはレベル10とか100とか、とにかく強そうなランクがついているもんだろう?でも俺はレベル0。聞こえは弱そうだけど、実際は違う。俺はこの100年でじわじわと力を蓄え、普通の冒険者どころか、勇者でも返り討ちにできるようになった。まあ、それが誰にも知られていないだけなんだが。
ある日のことだ。今日もダンジョンの一番奥でのんびりしていたら、ダンジョンの管理者である友人1がやってきた。彼はダンジョンの掃除からモンスターの世話まで何でもやる便利屋で、何だかんだで俺がスライム時代から知っている数少ない友人だ。
「おい、スライムボスよ。今日は新人の冒険者パーティが入ってきたぞ。『レベル0のスライムなんか楽勝だぜ!』とか言ってたから、ちょっとビビらせてやれ」
友達1はにやりと笑う。どうやら俺のレベル0という肩書きに油断しているらしい。なるほど、新人たちには格好の「カモ」だと思われてるのか。だが、俺を見くびってもらっちゃ困る。これでも100年ダラダラしながら、自分なりに鍛えてきたんだ。
新人冒険者たちは若く、初々しい装備に身を包んでいた。前衛の剣士が「今日こそ俺たちの初勝利だ!」と気合を入れ、魔法使いらしい女の子が「レベル0だし、余裕よね」と余裕を見せる。後衛の弓使いの少年も、どこか気楽な顔をしていた。
よし、まずは驚かせてやろう。俺はあえてスライムらしく、ちょっと粘り気を出してぐずぐずとした動きを見せる。冒険者たちはその姿を見て「ほら、見たことか」と安堵の表情を浮かべた。
剣士が先陣を切り、勢いよく剣を振り下ろす。
しかし、その剣が俺の体に突き刺さる瞬間、俺はその柔らかさを生かして剣を吸収した。そして、ぬるっとした感触で剣をひねり、彼の手からふっと剣を外したのだ。これぞ、100年の間に編み出した「ぬめり返し」の技だ。
「うわっ、何だこれ!?」驚いて後ずさる。俺はその隙に彼の足元へぴょんと跳ね、足を絡め取る。足を取られた彼はバランスを崩し、後ろにひっくり返った。
「ま、まさか……レベル0のスライムがこんなことを……」魔法使いの少女が震えながら言う。
「おいおい、ビビるの早すぎだろ?」俺は心の中でそう思いつつ、次はさらに強い技を見せつけてやることにした。そう、俺の隠し技「不明な技です」。自分の体重を倍増させて相手にのしかかる、超重量攻撃だ。
ぐっと集中して体内のエネルギーを練り上げると、俺の体がずしりと重くなる。これに驚いたカズキが「や、やばい!重くて動けない!」と叫ぶ。体全体がスライムに押しつぶされ、彼は完全に戦意を失ってしまった。
「レ、レベル0って聞いたのに、こんなの聞いてないよ!」弓使いの少年が怯えながら後ずさりする。
「ふふ、俺をなめるからだよ」俺はそう心の中でつぶやき、粘液を少しだけ増やしてじわじわと彼らを囲むように広がった。
結局、彼ら新人パーティは俺の「ぬめり返し」と「不明な技です」に完敗し、這うようにしてダンジョンから逃げ出していった。こうして、俺の「レベル0のスライム」伝説はまた一つの逸話を残したのであった。
だが、俺にはちょっとした悩みがあった。このまま本当に「レベル0のボス」で満足していいのか?100年もダラダラしていたけれど、最近は少しだけ何か新しい挑戦をしたい気持ちが湧き上がっていたのだ。
「……もしかして、次はレベル1に行けるか?」
俺のボスとしての新たな野望が、静かに心の中で芽生え始めていた。
4話で完結します
文字数(空白・改行含む):1586字
文字数(空白・改行含まない):1549字
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