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1-84 色々整備

さて、今日からセルフィンでの出張業務を開始します!


まず、お祖父さま達もいることだし、野菜畑と田んぼを作ろう。あ、その前に大使館の敷地に、お慈悲リンゴを生やしておこう。皆で食べてね。


セルフィン公都は、アタシーノと同じく、南北2km東西2kmで、その中央にセルフィン川が流れている。川から1km西側に現市街地を避けて道路を通す予定で、その街道に接続させる道路は、公都南側と農業地帯を区切るように東西2kmで橋付きのを一本。そして、西のアタシーノから続いている道路をそのまま現在より1km東へ延ばし、セルフィン川手前で北方面へ折れる予定の道路と、最初に言った南にある森林地帯までの、合計三本。


とりあえず、公都南側の市街地と農業地帯を区切る道路を、橋もつけて敷設。


そしてその道路の南側に南北100m東西2kmの畑作用地20ヘクタールを造成し、葉物野菜とジャガイモを種植え。そして収穫直前までピッカリンコ。


続いては、その畑に接続させて南北500m東西2kmの井戸付き田んぼを合計100ヘクタール造成、稲を植えて、これまた収穫直前までピッカリンコ。井戸は数か所だけなので、一応セルフィン川からの水路も作っておく。


さらに、田んぼの南側に南北100m東西2kmの、これまた畑作用地20ヘクタールを造成し、トウモロコシやダイコンやナスやピーマンなどの野菜を適当に植え付けておく。


これだけあれば、計算上、1万人の民が飢えずに済む。今から収穫を始めて、さらに種の植え付けをし、これを常に繰り返せば一か月ごとに新たな収穫ができるからね、休みは無いけど、ずっとずっと食べ物ができるからね、民のモチベーションも維持されると思うの。


アタシーノ公国でも、民がこぞって農作業をしているからね、何か脳内麻薬でも出てるんじゃないだろうか。


さて、これだけ用意しておけば、後はお祖父さま達に丸投げしておこう。荷車も無いしね、収穫も運搬も大変だと思うけど、やる事が目白押しの方がいいよね。暗い気分が吹き飛ぶもん。


そして、南の畑作用地に接続させて、さらに南に南北100m東西2kmのリネン草と綿花とアブラナの畑を合計20ヘクタール造成し、それぞれ種をばらまいておいた。


これで、当面の農業用地160ヘクタールが完成。もちろん、それぞれ川を渡る橋も100mおきに渡しておいたよ。後は、セルフィン平民で好きなだけ広げて行ってもらおう。


今日の仕事の最後として、七輪を1000個つくって物流センターに保管し、適当に平民に配ってもらう事にした。足りない分は、後でセルフィンの職人に作ってもらうように、実地研修を指示して頑張ってもらう。


さすがに疲れたので、初日はこれで終わり……




***




二日目は、西から続く道路をセルフィン川手前まで延ばし、少しだけ北へ左折させておく。この辺りから岩山が出てくるから、後は、平民にチマチマ作り足してもらおう。


そして川の西側のなるべく北のあたりで、井戸を掘り、例によって竹林を造成。これで竹が使いたい放題になる。そして、北部工業団地と同じ設備の工場群を建てた。後は、よしなに有効活用してくださーい。


西のアタシーノからの国境横断道路は、セルフィンの公都北端から北に2kmくらいの所にあるからね、その道路の南側、公都北端から1kmくらいのところに、給食センターと福利厚生施設をドッキングさせた工場を、いくつか適当に建てておく。今のところは使い道が無いけど、そのうち、何かの工場に使ってもらおう。


そして、国境横断道路沿いの北側には、教会や物流センターなどを建てておく。家畜農場とかは、平民でも石魔法で簡単にできるからね、川から水を引けばいいし、後で適当に北部のどこかに自由に作ってもらおう。


さらに、南北の道路を作る。


アタシーノ大使館の前は既に道路を敷いたから、平民とかの人払いをお願いして、森林地帯手前までイメージで道路を敷設しといた。僕が行くのは面倒くさかったから……道路さえあれば、後は民が移動してくれるだろう。南の村へは、平民がチマチマそうめん水道管を延ばしてくれれば、水問題も無いしね。


ああ、僕、もうクタクタだよ。


魔法が使いたい放題とはいっても、体力が使いたい放題じゃないからね、疲れは如何ともし難いの。


そういえば魔法ってさ、人にはかけられないの?


『はい、救い主様』


「ああ、アイちゃん、魔法ってさ、人にかける魔法とか、ないの?」


『魔法としては構築されておりませんが、事象としては既に存在してございます』


「え? そんなのあったっけ?」


『はい。救い主様が概念を構築なさる、はるか以前から、素朴な魔法は存在しておりました。そもそも、救い主様はそれをご覧になっているはずでございます』


「えー? うーん……ん? あのモヤモヤ!」


『はい。あれは一種の身体強化魔法ではないかと愚考致します』


「ああ、そうかも! 僕が定義して構築していないから、はっきりとはしていないけど、あれは自分に魔法をかけているのと同じなのか!」


『はっきりとは申せませんが……』


「いや、アイちゃん、ありがと。少し考えてみよう」


『救い主様の御心のままに』


「でも、今日は疲れたから、これでおしまい!」




***




うーん、うーん、体力をアップさせるのか……


なにも魔法が思いつかない。僕が思いつかないってことは、魔法の概念が構築されないってことで……思うように魔法が使えないってことか。


あ、僕は関係なく使えるはずなんだけどな……


うーん、そういえば、要するに魔力のモヤモヤが体の一部を覆っていたんだから、単純に魔力を纏えばいいんじゃね?


よし、やってみよう。


モヤモヤモヤ……うん、できている気がするけど、特になんということもない。うーん、やっぱり明確なイメージがないとダメなのかな?


『はい、救い主様』


「ああ、アイちゃん、身体強化って、あんまりピンと来ないんだ。魔力を纏えばいいとは思うんだけど」


『はい、魔力を纏わりつかせれば、魔力はエネルギーですので力に変換可能でございます』


「エネルギーに変換、か。力をサポートするような……電動アシスト自転車みたいな感じかな」


『ですが、あまりお勧めではございません。魔力器官の成長が阻害されてしまいますので』


「え? どういうことなの?」


『はい。魔力器官は、魔力を放出し、魔力を取り込み、そして魔力を放出する、といったサイクルで魔力が魔力器官を通り抜けることで、成長するものですので。ですから、魔力を纏っている間は、魔力が停滞している状態でございますので、魔力器官の成長は望めないのではと、愚考する次第でございます』


「あああ、なるほど~ 身体強化としては使えるけど、魔力器官の成長としては、マイナスっていうかプラマイゼロなのか」


『はっきりとは申せませんが、仕組みを考慮すると、そういう結論になるかと思料致します』


「うん、わかったよ、アイちゃんありがとう。とりあえず、僕は使わない事にしよう。まだ子供だしね、魔力器官はもっと成長させないと、後で困ることがあるかも知れない」


『救い主様の、御心のままに』




***



さて、憂いも晴れたし、もうひと踏ん張りしよう。


僕たちがセルフィンに着いてから、直ぐに入れ替わりで留学する民がアタシーノへ向かったらしい。そして、アタシーノからセルフィンへの指導者集団が、セルフィンに着き始めた。作ったばかりのアタシーノ大使館の宿泊施設は、一応50人やそこらは余裕で生活可能だけど、念のためにもう一つ、同じものを用意することに。


これで、100人のアタシーノ公国民がセルフィンで生活できる。


お祖父さまの屋敷部分は、僕の別邸と同じ造りだから、使用人が居れば何も問題ない。っていうかむしろ、広すぎるかもね。今は僕と母上も泊っているからちょうどいいけど。


そういえば母上、忙しいんだか、そうじゃないんだか、割とぽやっとしているみたいな気がする……さすがに疲れちゃったのかな。


うん、やる事やって、さっさとアタシーノへ帰った方がいいかも知れない。


さ、後は細かい事が残っているくらいかな。大使館の敷地は農業エリアの道路挟んで西側で、まだ大使館にしか使っていないし、ここにも大きい倉庫をいくつかと教会と、セルフィン平民のための給食センターを作り足し、倉庫の中に、ご飯を炊く用の銅鍋を七輪に合わせて1000個、入れておいたよ。これで、最低限、1000家族がご飯を炊ける。促成栽培したからね、もう米は収穫し出しているし。


そして、行燈も1000個。電球は、作るの難しいしね、まだアタシーノ公国でも完全に行きわたってないもん。もうそろそろ全家庭に届くらしいけどね。


あ、今度から塩がたくさん必要なんだ……今までは塩の需要はあんまり無かったからね。でも、これからは調理のための塩が必要。その塩は、海のないセルフィンでは採れないからね、アタシーノから運ばないといけない。


もうすこし、物流を太くしないといけないかもね。


でも、僕は荷車とか作れないし……し? なんか落ち着いて考えたら作れるのかも知れないんだけど、車輪とかの詳細な構造とか理解してないからね、たぶん、無理。うん。ま、物流の事は、伯父上と伯母上に任せておこうっと。


さて、母上の様子でも見に行こう。




***




「母上~ なにをやっ……? なに、これ?」


「あら……ミチイル……もうお仕事は終わったのかしら……お疲れ様」


「母上、初めての長旅で疲れたんでしょ? もうアタシーノへ帰ろう!」


「ええ、帰るのは構わないけれど……別に旅の疲れではないわ」


「だって、こんなに病んでるじゃん! 母上、これは病気だよ! おかしいよ! こんな、こんな汚い布にまみれてボーっとしてるなんて!」


「……そうなの、そうなのよ、汚いの……ほんとに汚いのよ! もう、どうしたらいいの!!」


「……重症だね……あんなに明るくて元気な母上が、こんなになっちゃうなんて。セルフィンに連れてこなければよかったかも」


「違うのよ! 色が! 色が、きれいに着かないの!」


「ん? 色が、何に……って、もしかして……」


「そうよ! 布に色を着けたいの! それで色々研究して頑張っているの! でも、汚いのよ。エレガントでも高貴でもないの。こんなのじゃ、ただのホームレスのババァ色よ!」


「いつもの事だけど、ほんと、どこからその表現を引っ張って来るんだか……」


「どうして色が着かないの? カボチャでもニンジンでもトマトでも試してみたわ。でも、薄汚れた汚い惨めな食べこぼしがマダラについた感たっぷりの、ホームレスババァの色なのよ! なぜ……どうして……わたし、女神様に見放されたのかしら……」


「そりゃ、染色には定着材とか固着剤とか必要だからね……」


「なんですって! 何が! なんですって! おしえてちょうだい! なんですって!」


「あー、母上、あんまり寝てないでしょ。とりあえず、少し昼寝をしよう。そして、サロンでお茶しよう? 僕ね、実はこっそり取ってあるイチゴのショートケーキがあるの。母上と二人で、こっそり食べよう!」


「ええ、ケーキは楽しみね。でも、わたし、気になって気になって」


「うん。母上の懸念事項も解決できるように考えよう。とりあえず、一回寝て? ね? その間に、僕、考えておくから」


「……ええ、わかったわ。じゃ、少し部屋で寝るわね」


「うん、後でね」




***




うーん、今まであまり触れないようにして来たんだけど、母上、とうとう服に色が無い事に気づいちゃったんだね……




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