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1-77 スモーキー

あれから後日、アイテムボックスに入れた冷凍牛スペアリブと、温かいお茶を確認してみたけど、やっぱり時間は止まってた。


「ねえ、アイちゃん」


『はい、救い主様』


「僕さ、アイテムボックス作っちゃったけどさ、これって無次元の力を使うから、これまた宇宙の力をくすねている事になるんだよね?」


『以前はそうでしたが、今はそうではございません』


「そうなの?」


『現在は、この星において、救い主様も信仰を集めておいでです。この星では、地球もそうなんですが、誰に何を祈ったり捧げたりしても、結局最終的に、新たに生み出された星神力はあの女神(くそ)のものとなってしまいます。ですが、救い主様は現在、この星にいらっしゃいますし、救い主様に捧げられて新たに発生した星神力は、救い主様に紐づいております。救い主様が、その力を使わなければ、あの女神(くそ)に力が移管されますが、救い主様は、救い主様が集められた星神力を、ご自分の好きな様にお使いになれます。星神力は、無次元の力と同質ですので』


「うーんと、この星の女神様が親で、僕は子供で、女神様の銀行口座が本口座なんだけど、その中に僕の子口座もあって、僕が稼いだ分は使おうと思えば自由に使えて、僕が死んだら、僕の分を女神様が相続する感じ?」


『全く持って、すべて正しいご認識でございます。さすがは救い主様であらせられます』


「ハハ じゃ、結局のところ、僕が無次元の力をたくさん使っても、僕が集めた力だから、宇宙の力をくすねた事にはならない?」


『無次元の力は、宇宙から引っ張って来て使ってはいるのですが、後々、ご自身が集めた星神力で清算され、逆に余剰が出るものと思われます』


「ああ、救い主としての責務が果たされたら、後清算なんだ」


『左様でございます』


「じゃ、前借っぽいけど、気にしなくてもいいね」


『救い主様は、何にも心を砕く必要は一切ございません』


「ハハ 久しぶりに聞いたかも~ ありがと、アイちゃん」


『救い主様の、御心のままに』




***




という訳で~


僕はお取り寄せをします!


では、キャベツをどうぞ! ヘイ、カモン!


……って、来れば苦労は無いんだよね~ では、仕方がないので、アブラナの原種を再度、お取り寄せ!


ピッカリンコ


はいはい、ご無沙汰しております、アブラナ科の雑草さん。


さて、葉っぱが大きくて色が薄くて肉厚で、背丈が低くてキャベツっぽくなってちょうだい!


ピッカリンコピッカリンコ……


あ、ブロッコリーっぽいのあるから、これは分化させよう。


ピッカリンコピッカリンコ……


うーん、どうしても結球していかない……ま、球にならなくてもいいや。キャベツの味の葉っぱがたくさんあれば。


ということで、キャベツとブロッコリーが、完成です!


前にオールスパイスで使った畑に植えて、種を採取。種は農業部にいつものように丸投げ。


たくさん収穫したキャベツとブロッコリーは、早速アイテムボックスに入れておこう。




***




僕、大変な事に気づいちゃった。


僕、収穫する必要がなくなったよ。


リンゴを収穫しようと思ったんだけどね、ふと、アイテムボックス使ったら?って思っちゃった。


屋敷裏庭のお慈悲リンゴを眺めてね、アイテムボックス使ったらね、リンゴがアイテムボックスに直入れ可能だったんだ~


って、落ち着いて考えてみたら、至極当たり前なんだけどさ、びっくりしたよ。僕の目に見えている?認識しているものなら、どこにあってもアイテムボックスに入れられるもん。


この世で僕しか使えない魔法だからさ、僕が死んだら宇宙の藻屑になるだろうし? ん?なるのかな、ま、神様は置いておいて、僕が死んだら死蔵品になるからね、公共のものは入れないようにしないとね~


で、とりあえず、お慈悲リンゴがたくさんある。これを、香り高いお酒にしたい。なにせさ、バニラが無いんだもんさ!


バニラが無いから、当然バニラエッセンスも無いしさ、お菓子の香りづけが、現状ラム酒とオールスパイスだけ。そこで、お菓子に使える香り高い酒が欲しい訳さ。


ラム酒もね、相変わらず徳利保存だからホワイトラムなんだけど、今は木材も余裕があるしね、ここらで樽熟成を試してみたい。


当然、オークとかは無い訳だし、あるのは桐と竹。桐は普通の桐じゃなくて、とても密度が高い木材だからね、香りはあんまりないんだけど、試しに樽に使ってみようと思う。


でも、もちろん当然、僕に樽なんて作れないからね、しかーし、僕にはまな板魔法も寿司桶魔法もある! という事で、まな板魔法でデカい湯呑みたいな樽を作っても良かったんだけど、寿司桶魔法にしよう。思いのままだしね。


で、寿司桶魔法で、ブランデー樽をイメージ。その後、コルク栓魔法で樽の蓋を作成。でもさ、こういう魔法で、こんな大きなものを木材で作ってるのに、木の継ぎ目がないんだよね……でも、丸ごとくり抜いてるようでも無いって言うか、何か高性能な接着材でぴっちりついている、みたいな感じ。思い返してよくよく考えてみればさ、建物たてる時もそうなんだよね。釘も何も使ってないのに、僕の魔法だと建物ができちゃう。石ブロックも石ブロックに強力にくっついてるし、鉄骨も石材にくっついているし、窓とか木枠も石にくっついてんの。どう考えてもおかしい。どうなってんのさ?


『はい、救い主様』


「ああ、アイちゃん。なんで接着剤もないのに、こんなに色々なものが色々なところにくっついてるの?」


『救い主様は、以前からその魔法をお使いになられているのではと思料致します』


「くっつける魔法を?」


『左様にございます』


「心当たりがないけど……こんなぴったりと密着させ……? 密?……密閉シーラー?」


『左様でございます』


「ええ? 密閉シーラー魔法って、ビニールの接着だけじゃないの?」


『何でも接着できます、と説明があったかと存じます』


「……てっきりビニール用なんだと思ってたよ……という事は、この密閉シーラーが魔法として独立する前から、僕の魔法は接着しまくってたんだ。なるほど~ いや~ 便利便利~」


『お役に立てて光栄でございます』


「うん、ありがと、アイちゃん」


という事で、こころおきなく続きをしよう~


さて、桐材の樽ができたから、この樽の中をフランベ魔法で黒焦げにしよう。そして、甕の中にお慈悲リンゴを入れて石臼魔法ですりおろし。その後、甕の蓋をして、醸造スキルでピッカリンコ。リンゴが持っている酵母でお酒ができた。これは発泡酒、いわゆるシードルだね。僕は子供だから、シードルはスルーしといて、このシードルから、アルコール分と香り成分を抽出し、さっき黒焦げにした樽へ移す。コルクの蓋をして、さらに熟成。促成栽培ピッカリンコでいいかな。そんで、蓋を開けて中を確認。


はい、色のついたアップルブランデーが、ちゃんとできた!


クンクン、うん、スモーキーな芳香もプラスされたし、これでお菓子の香料が増えたよ。同じ方法でダークラムも作ってもらおう。今はホワイトラムだからね。少量生産で充分だし、ブドウ畑にあるワイン工場でアップルブランデーともども生産してもらおう。


せっかくのシードルは、発泡酒を保存するすべがないから、取り合えずなかったことにしよ。ワイン工場で、醸造した人がわずかに試飲できます、程度にしておかないとね。


なにせ、平民にはまだ、広くお酒を解禁してないからね……




***




僕、大変な事に気づいちゃった。


冷凍庫スキルで、ものを一瞬で凍らせることができるの。


もちろん冷蔵庫スキルでも一瞬で冷やせる。


考えてみれば当たり前だったんだけど、冷蔵冷凍のスキルはね、最低限しか使って来なかったし、食べものにも使ったことが無かったから。でも、スキル使うのに憂いがゼロになったからさ、リンゴを瞬間冷凍できればいいのに、と思ってやってみたら、出来ちゃったよ!


さ、リンゴのシャーベットでも食べようかな~


とりあえず、凍ったリンゴをアイテムボックスに入れて~




***




「母上~ 冷たいおやつ、食べよう~」


「あら、ミチイル。裏庭に居たんじゃなかったのかしら」


「うん、いたけどさ、リンゴの事、いろいろ試してたからね。それで、リンゴで簡単にできるお菓子というか、冷菓をね、母上と食べようと思ってさ」


「ありがとう。じゃ、ダイニングに行く? それともサロンかしら?」


「大げさなものじゃないし、ダイニングでいいかな。じゃ、先に行ってて~」




***




せっかくの世界初シャーベットだしさ、ここはガラスの器が欲しいよね。


まだ電球も普及してないけどさ、ガラス石を使っちゃおう。みんな、ごめんね。


という事で、ピカピカピカっと。


さ、小さいボウルに凍ったリンゴと砂糖を入れて、石臼魔法の強! 


ピカッ


はい、リンゴのシャーベットの、完成です!


あ、そうだ。母上のには、さっきのアップルブランデーも少しだけ垂らしておこう。では、シャーベットをスプーンですくって、出来立てガラスのデザートボウルに入れて、と。あ、一応お供え分も。直ぐとけちゃうけどね。


「母上、お待たせ~」


「んまあ! その透明で涼し気で繊細な器は、なにかしら!」


「うん、あんまり大きい声じゃ言えないけど、ガラスの器なの。電球は白い色だけどね、こういう透明なものが多いかな、ガラスは」


「そうなのね! なんて高貴でエレガントでステキな器なのかしら! 貴女会案件としか思えないわ! ミチイル、この器はあといくつあるのかしら」


「うん、まあ、とりあえず5個つくったけど」


「充分ね!」


「うん。ガラス石で簡単に作れるから、別邸で使っている魔石がガラス石になったら、作り足そう」


「そうね! 賛成よ!」


「じゃ、リンゴシャーベット、とけちゃうから食べよう。いただきまーす」


「んまあんまあ! こんな冷たいものを食べるのは、初めてだわ! それに、このさわやかなお味! そして、この大人の香り高い色つきの……お酒?」


「うん、そう。このリンゴでね、アップルブランデーっていうお酒をつくったんだ。これはね、お菓子の香りづけのために作ったから、ゴクゴク飲めるほどはないんだけどね、これを後で、ブドウ畑のワイン工場で作ってもらうようにしようと思っているの」


「ええ、それはいいわね。ラム酒の香りも素敵だけれど、このリンゴのお酒の香りも、とてもいいわ! パウンドケーキに入れたら、とても合いそうね」


「うん、美味しいと思うよ~」


「……まあ、ほんと冷たくてさっぱりして、魔法の練習疲れが吹き飛んだわ!」


「うん、それは良かったよ」


「うふふ」


「アハハ」




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