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1-75 無次元の力

前に、僕のスキルは無次元の力を使ったもので、女神様を除けば他に使えるのは僕だけ、ってアイちゃんが言ってた。


あ、この星では、とも言ってたかな。


魔法を使うと、普通の人は、作業が速くなるっていうか、早回しを見ているみたいな感じで結果が得られるんだよね。でも、僕が魔法を使うと、一瞬で結果が出る。しかも無詠唱も可能。それは、僕が魔力が多くて魔法が使いたい放題だから、って思ってたけどさ、それでも変だと思うんだよね。何の魔法を使っても、何の作業を魔法で行っても、任意の時点で自由に止められて、任意の結果が得られるけどさ、任意の時点も任意の結果も、あくまで僕のイメージの上であって、結果が出るのが一瞬だから、実際その時間が流れたって感じがしない。


それに、僕のスキルってさ、ま、スキルも魔法だとは言っていたけどね、スキルも結果が一瞬だもん。稲作文化スキルとかだってさ、田んぼ作って水路作って耕して田植えして育てて収穫して、こんな一連の作業、今ではみんなが分担しながら魔法でやっているけどさ、魔法でやるとしたらいくつもの魔法が必要な作業なんだよ、稲作スキル。それなのに、僕のスキルだと、一瞬で結果がでちゃう。


品種改良も促成栽培も、発酵も一瞬だよ。どんなに長い時間が必要なものでも、一瞬。そして、これらは魔法じゃなくて、スキル。僕しか使えない。言い方を変えれば、長い時間が必要な作業はスキルでしかできない、という事だとも思う。長い時間が必要な作業を魔法でするとしたら、その間、ずっと魔力を使い続けないとならない。


今ある魔法で、一番魔力の負担が大きいのは、圧力鍋魔法とオーブン魔法かな。次点で炊飯器魔法かな。それ以外の魔法は、使う魔力によって結果量が変化する。人によっては、一回の魔法で100kgの米を収穫できるし、人によっては、一回の魔法で1kgしか米を収穫できない。これは訓練、練習、慣れでどんどん結果量が増えていくんだけど、作業が進行している時間は、あまり変わらないの。ま、そうだよね、量はともかく、稲を刈って籾摺りして脱穀してっていう作業にかかる時間は、同じだもん。それを、稲一本なのか、稲千本同時にできるのか、の違い。作業の時間はあまり変わらないの。


でも、圧力鍋魔法とかはね、結果が出るまでずっと魔力が必要なの。圧力鍋だから、せいぜい数分とかの加熱時間で、一時間とかは加熱しないで済むんだけどね。オーブンは、一度温度が上がった後は、そうでもないんだけど、最初に立ち上げる時に使うエネルギーが多いせいか、ガスコンロ魔法でちょっと強火、なんてもんじゃないくらい、大変みたい。今は魔石のエネルギーがあるから、普通に使えるようになっただけ。


そう考えると、何週間も何か月も一年もかかるような作業を魔法ではできない。でも、僕にはできるんだ。スキルとは、そういう時間を超越させる魔法なんだ、って思うの。


そして、お取り寄せ。


お取り寄せは、そのものズバリお取り寄せだけどさ、これって、転送魔法だよね。


誰がどこから、はともかくさ、どうやって転送するんだろう。ま、異世界食文化召喚スキルはね、どう考えても神の領域の魔法でしょ。本当は僕が使える事がおかしいんだと思う。最近は、使おうとは思ってないんだけどね。なんか、地球から変な菌がついてきて、この世界でパンデミックとか起きたら、とか思うとさ、よっぽどじゃないと使えない気がしてね……菌を確かめられるような技術も方法もないから……いや、仮にあったとしても、世界中に散らばった菌を抹殺するとか、地球でも無理じゃんね。


でさ、つらつら考えるに、僕だけしか使えない魔法は、スキルになっているし、スキルを使うのは、僕の魔力と無次元の力が必要だって、アイちゃんが言ってた。


今まで、便利だからいいや、って思ってきたけど、そもそも無次元の力ってさ、何? どういう力なの?


『はい、救い主様』


「ああ、アイちゃん。もしかして、無次元の力について、教えてくれるの? 以前は、なんかお茶を濁されたような感じでスルーされた気がするんだけど……」


『はい。ご説明申し上げます。しかし、非常に哲学的な話となってしまいます』


「うーん、聞いても理解ができない可能性が高い、ということね?」


『はい。実は私めも知識が与えられているだけで、完全に理解はできていません。理解できるのは、神だけなのではないか、と愚考致しております』


「そっか。アイちゃんが僕に意地悪していた訳ではないんだね~」


『そんな! そのような事は決して! 決して! かくなるう』


「ああ、大丈夫、ちゃんとわかっているから。いつもありがと」


『思うようにお役に立てず、申し訳ございません』


「そんな事ないよ! アイちゃんが居なかったら、僕、今頃死んでたと思うしね~」


『…………』


「でさ、無次元の力って、どういう説明がなされるの?」


『はい。まず、先ほどから救い主様が考察なされている、スキルとは、次元魔法の事でございます』


「次元魔法……」


『はい。次元魔法とは、無次元の力を直接使用する魔法、の事でございます』


「ここで無次元の力が」


『はい。では、無次元とは何か。与えられている説明をそのまま申し上げますと、無次元とは「始まりも無く終わりも無い、いつも在ってどこにも無い」という概念でございます。ですので、無次元の力とは、その次元の力、と申せましょう』


「うわ、ほんとに哲学的……」


『はい。これ以上は、私めもお伝えする事ができません。これ以上の知識がございませんので』


「うん、アイちゃん、ありがとう。確かに小さいころに聞いても、混乱するだけだったと思う。アイちゃんの心遣いが、いつも助かるよ。ありがとね」


『とんでもない事でございます』




***




うーん、始まりも無く終わりも無い……これって、永遠って事なんだよね。メビウスの輪とか、輪廻転生とか……?


いつも在って、どこにも無い……神出鬼没とかっていうけど……無次元とは、次元が無いっていう言葉でしょ……


次元と言えば、ま、普通は三次元だけど、それ以外の次元もあるもんね、そう、たとえば、時間とか。


時間も一つの次元と考えれば……それが無いという事?


三次元の高さも無ければ……二次元になって、体とかが無くなる? ラインの集合体?


二次元の長さとか幅とかが無くなったら……ただの点になる?


一次元は、点。


じゃ、無次元は?


何も無くなる、もしくは……もしかして魂とか?


仮に、仮に今の僕から次元を取り去って、無次元にしたとすれば、僕は、死ぬか魂になる。


魂になったとして、その僕の魂に、次元を再付与すれば、僕の体が復活する。


次元を取り去って無次元にしたり、取り去った次元を再付与すれば、物体を消したり、現したり、……できる気がする。




***




仮に、時間という次元を取り去ったとする。


三次元の物体は、どうなる?


時間が無いんだから、止まるんじゃないかな。動かない。停止。


時間の次元を再付与したら……動き出す。


時間の次元を……仮に、自分が望む時間に設定して、再付与したら?…………種になったり、実になったり? 菌になったり、発酵したり!


始まりも無く終わりも無い!


時間は永遠、永遠の時間。


そうだ、そうかも知れない!




***




いつも在って、どこにも無い……時間の次元を取り去ったら、物体の動きが止まるとして……他の三次元も全部取り去って……そうすれば、消える。もしくは魂になる。


そして、取り去った次元を再付与したら、また現れる。


その場所に。


その場所?


いや、取り去った次元を、違うところに現すことができれば……


そう、たとえば宅配ボックスとかに!




***




「ここの所、いつもにも増してミチイルが物思いに耽っているわね……大丈夫なのかしら……ねえ、そこのあなた、私は出かけないとならないから、ミチイルの様子を、それとなく見ていてくれないかしら? 独りでふらふら外に行ったりしないように。ええ、悪いけど、お願いね」




***




いつも在って、どこにも無い……これは、


どこにも無いけど、いつも在る、と言い換える事もできる。


いつの時点でも存在を消し、またいつでも現すことができる……こう捉える事も可能なんじゃないかな。


ある物の次元を取り去って無次元にし、そして好きな時に取り去った次元を再付与する。


そうすれば、物を消したり出したり、できるんじゃないかな!


無次元の力……


そう、何かに無次元の力を直接作用させて、次元を取り去ってしまう。


そして、任意の時に再度、取り去った次元を、その時の時間はそのままに、場所とかを変えて再付与すれば……


これってさ、アイテムボックスってやつになるんじゃないの!?




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