表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/237

1-7 魔法とは

あのモヤモヤは魔法だよね、魔法っていうか、魔力?


地球でも見たことがない力、っていうかエネルギー?なら、この世界だけのものだと思うし、地球とこの星の差って、文化文明はともかく、根本的には魔法が使える世界なのか違うのか、っていう事だと思うし……


女神が魔法のある世界だって言ってたんだから、間違いなく魔法があるんだし、魔力が濃い土地なんだから、魔力もあって……


特に呪文?みたいなのも唱えてる感じじゃなかったけど、心の中で呪文唱えてたらわからないか……


困ったときは……



「アイちゃ~ん!」


『はい、救い主様』


「さっきドン爺が使っていたのは魔法だよね?」


『魔法かどうか、と言えば、そうとも違うとも言えませんが、魔力が使われていたことは確かです』


「やっぱり。あの蛍光色のモヤモヤが魔力だよね? はっきり見えたり見えなかったりしたけど」


『はい。土地や空気に拡散している魔力は見えないのですが、濃縮された魔力は、救い主様ならば見ようと思えば見えると思います』


「ということは、あれは濃縮された魔力だったんだね?」


『はい。体の中の魔力が魔力器官に集められたときは、結果として魔力が濃縮されています。本来は、体から魔力を排出し、魔力を生命維持の一部として使うための魔力器官なのですが、私めも認識しないうちに変化したのかも知れません』


「アイちゃんが認識していない、この世界の事があるの?」


『あまり無いのですが、預言者様が降臨されていた時代に、預言者様の力があれば多少の魔法を使えるようにしましたので、その後、私めが知らないうちに変化した可能性があるのです。当時、預言者様は問題なく簡易な魔法をお使いでした。そして、この世界では預言者様しか魔法が使えなかったのです。ですが、預言者様と長く接していた魔力器官持ちのアルビノ人が、預言者様の使う魔法を数えきれないくらい見ていたはずなので、それをイメージして、魔法とは認識せずに無意識に使えるようになっていた可能性があります』


「そっか。確証はないんだね?」


『はい。預言者様が天にお還りになった後は、この星の天使は休暇をとっておりましたので……数百年ほどの間ですが』


「すうひゃくねん……」


『よくある話です。地球でも、神も天使も仏もない、暗黒の時代があったかと思います』


「ということは、魔法って呪文は必要ないんだ? イメージで無意識ってことは」


『基本的には必要ありませんが、呪文に相当するものがあれば、事象がはっきり形をとって、より魔法が使いやすくなったり、強力になったりする可能性はあります。ですが、預言者様もそうでしたが、救い主様も、魔法を使うときは一切呪文は必要ありません。そして、使ったそばから、この星にある魔力が補充されますので、魔力切れも起こしませんし、魔法は使いたい放題です』


「使いたい放題の魔法って、そういう意味だったんだね」


『ですので、呪文は必要がないのです。ただ、魔法を使うにあたっては、きっかけというか入口というか、原因となる理が形成され、世界のルールが構築され、それが記録される必要があります。一度記録されれば、次からは何のきっかけも予備動作も必要なく、制限がない状態で魔法が使えます』


「なんてチートな!」


『預言者や救い主の力とは、そういうものなのです。元をたどれば宇宙に存在する無次元の力、ですので』


「むじげんのちから」


『それについては今は理解できないと思いますので、時が来たら、もう少しだけ説明いたします』


「うん。それで、一般人が魔法を使えるかどうかの件なんだけど」


『はい。今お話ししたとおり、なんやかんやで一度ルールが記録された魔法なら、イメージで理が動き、この世界の魔法が発動すると思われますので、それが一般民であっても、結果的に魔法を発動させられる、ということに繋がるのかも知れません』


「じゃ、おそらくそういうことなんだろうね。それだけじゃなくて、無意識だった魔法を有意識にすれば、もっと魔法が使いやすくなるかも知れないし、誰でも魔法が使えるようになるかも知れない」


『誰でも、ということにはなりません。そもそも魔法を使うには魔力器官が必要です。魔力器官の中の濃縮された魔力を使うのが絶対条件となるでしょう。これは救い主様であっても変わりはありません。この魔力器官の中の濃縮魔力の量によって、発動させられる魔法の種類や魔法の威力や発動範囲が変わりますし、魔法を起動させるために必要な濃縮魔力量も、魔法によって様々であり、起動魔力が不足していれば、魔法は発動しません。ですので、同じ魔法であっても、効果は人によりますし、そもそもアタシーノ星では魔力器官をもっているのはアルビノ人だけですから、魔法が使える可能性があるのも、アルビノ人だけです』


「そうだったね」


『それと、信仰も必要になっていると思います。女神の星ですので。女神の慈悲によって魔力器官が与えられたので、女神への信仰が不可欠に設定されていると思います。あの女神なら、きっとそうしていると思います』


「アイちゃんは女神さまに中々厳しいんだねぇ。僕には、神々しく、慈悲と威厳のある女神に感じられたけど……アイちゃんは女神様のこと嫌いなの?」


『現在、女神信仰が素朴ながら残っているのは、アタシーノ公国を始めとしたアルビノ人の国です。ごくごく一部、誤差の範囲レベルで王国の南部に、ほ~んの少し、すぐに蒸発し消え失せてしまうような、女神信仰があるような気もしますが、無視してかまいません』


「……さっくりスルーしたね」


『ですので、本日のドンの魔力の動きは、無意識に身体強化系の魔法が発動されていた、と考えられます』


「……無かったことにする気だね」


『おそらくですが、預言者様の技術を真似て何度も何度も試行錯誤し、研鑽しつづけ、研究しつづけて図らずも再現した職人がおり、その弟子にそのまた弟子にと何百年も受け継がれ続け、さらに女神信仰も続けていたから、この国の職人が無意識に魔法が使えるようになったのでは、と愚考いたします』


「ということは、ドン爺の他にも魔法を無意識で使っている人が居そうだね」


『その可能性は高いと思われます』


「探せば見つかるかも知れないね。とりあえずドン爺みたいに蛍光色のモヤモヤが出せる人を探してみようかな」


『魔力器官は、魔力が流れれば流れるほど大きくなります。シンプルに言い換えれば、魔法を使えば使うほど、魔力器官が大きくなるのです。ですから、無意識にでも魔法を使ってきた回数が多い人ほど、魔力器官が大きいと思いますので、長年経験を積んだ職人の方が、見つけやすいかも知れません』


「じゃぁ、ドン爺みたいな引退後の職人から確認してみることにしよう。でもさ、その前に、いつになったら僕も魔法が使えるようになるの?」


『はい。今までの話からすぐにご理解いただけるかと思いますが、魔力器官が大きくならないと、魔法を発動させられません。それぞれの魔法に必要な起動魔力量が魔力器官に存在しなければ、魔法が発動しないので。ですから、救い主様の魔力器官を、もっと大きくする必要があります。魔力器官を大きくするためには魔法をたくさん使う必要があるので、卵が先か鶏が先か、の話なのですが、とりあえず、体が成長すれば、魔力器官も比例して大きくなりますので、急がずもう少し、お待ちください』


「はぁ、そうだね。何てったって、まだ2歳だしね。じゃあ、スキルも同じ?」


『はい。魔力を使うのは魔法と同じです。というより、スキルとは、救い主様だけが使える魔法、と言い換えても良いかも知れません』


「そうなんだ。いずれにせよ、もう少し待ってみよ」




***




――ミチイルが魔法を使えるようになる日がくるのは、実はそう遠くない先なのだが、別にそんなに急ぐ必要もない


――なにせ、女神はまだ寝ているのだから……




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ