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1-55 ジェームズの我が儘

別邸の家具や調度品については、母上がきゃいきゃい言いながら張り切っているので、工業製造部との折衝含め、全部母上に任せることにした。使用人をどうするかも母上に任せよう。


さ、数日ゆっくりしたし、中央工業地帯に建物を建てて行こう。粉ミルクも作らないといけないけど、とりあえず喫緊で必要な分は給食センターで作って配っているみたい。近いうちに大量生産に対応できる施設は作るとして、最優先と言うほどでも無い状況だから、少しほっとした。


そう思って、部屋で色々思案していると……




***




「ミチイル様、失礼致します」


「ん? セバス、珍しいね~」


「今、お時間宜しいでしょうか」


「うん、いいよ~ どうしたの? 何か深刻そうな様子だけど」


「はい。このようなことをミチイル様に申し上げて良いものやら……」


「えー? どのような事でも言ってくれていいけど、セバスが言いにくい事って、なんか怖い……」


「はい、その……」


「もしかして、誰かが亡くなったとか、そういう話、じゃないよね?」


「はい。そういう話ではございません。筆頭執事として、このような事を申し上げようと思ったことも今までございませんし、申し上げたこともございません」


「えー? なになに? そんな勿体ぶらないで教えてよ~」


「……はい。ミチイル様が近々別邸にお移りになられる……そしてミカエル様も引退後に、お移りになられるご様子」


「そうなの? お祖父さまとちゃんと話はしてないんだけど」


「はい。話すまでも無い事の様で、もはや決定していると思われます」


「ハハ そうなんだ~ 良かったよ、お祖父さまの部屋も用意しておいて」


「はい……その件なのです。大変申し上げ難い事なのですが、ミチイル様の別邸の隣の土地を、私どもにお譲り頂くことは可能でございましょうか?」


「ん? まだ工業団地には何も建ててないから、隣でもどこでも、セバスが使いたいなら使っていいよ~」


「はい! ありがとうございます。では、ミチイル様の別邸の隣をお願い致します」


「うん、わかった~ 北側は屋敷の裏になるからね、西隣にしよう。1ヘクタールでいいの?」


「いえ、そのように広大な土地は必要ございませんので、小さな屋敷が建てられるくらいの土地があれば、十分でございます」


「屋敷?」


「はい。ミカエル様が引退なさる際、私ども夫婦も家督を息子夫婦に譲り、引退致したいと思っております」


「ああ、お祖父さまと一緒にセバス男爵家も代替わりして、お祖父さまの隣で暮らすって事だね?」


「はい。このような我が儘を申し上げることは大変心苦しいのではございますが……」


「そんなことないよ! セバスとカンナが隣に住んでくれたら、お祖父さまも僕も安心だし、助かるよ~」


「ありがとうございます。できましたら、あの別邸の実務維持管理も、私たち夫婦にお任せいただければ、と思っております。この大公屋敷と同様の管理を致します」


「え? それは願ってもないよ! ありがとう!」


「この老骨がどこまで言う事を聞いてくれるのか、定かではございませんが……」


「いやいや、老骨って、セバスはお祖父さまと同い年でしょ? っていう事は、もうすぐ50歳でしょ。まだまだじゃない」


「はい。今でこそ、大親方々が60になろうとしているのに大変精力的ですが、少し前まではそれくらいが寿命でしたので」


「うん、トム爺たちは、もっと長生きすると思う。トム爺なんかも最近は、さすがに僕をおんぶして走るのはきつくなってきているはずだけどね、おんぶも卒業したから確認はできないけど」


「はい。ですので、私どもも最低でも10年はお役に立てるものと考え、このような我が儘を申し上げた次第です」


「大丈夫。魔法をどんどん使うようにすれば、もっと元気になるよ。大親方が元気なのは昔は無意識で、だったけど、今はガンガン魔法を使っているせいもあるしね」


「はい。精進いたします」


「ハハ じゃ、セバスの家も僕がつくっちゃうね。何か希望はある?」


「いえいえ! ミチイル様のお手を煩わせるなど、とんでもない事でございます。職人に依頼しようかと」


「いえいえ! フフッ 僕がしたいことをするだけだから~ 別邸と同じ建物なら一瞬でできるよ?」


「……相変わらず神の御業でございますね。私とカンナの二人で暮らしますので、別邸のような大きい屋敷は必要ないのです」


「ま、そうだよね~ じゃ、小さめの屋敷、っていうか家を建てよう! 別邸の敷地内に建てる? この大公屋敷みたいに。あ、でもセバス男爵家の職務とかに取られちゃうと、後の世代に面倒をかけるから、やっぱり隣の敷地にしよう」


「後のことまでお考えくださり、恐れ入ります。すべてミチイル様にお任せいたします」


「うん、わかったよ~ じゃさ、母上が家具とか調度品とかを発注してるからね、セバスのところのも一緒に注文しておいて~ 家はすぐにできちゃうからね」


「はい。誠にありがとうございます。これからも、よろしくお願い致します」


「ハハ セバスはセバスだね~ あ、今度からセバスじゃなくて、ジェームズって呼ばなきゃね、代替わりするんだもんね~」




***




さて、別邸の隣の土地に来た。


工業団地の土地は、残り全部1ヘクタールずつ四方を小道路で区切ったからね、別邸の隣も当然そうなんだけど、これを四分割して2500㎡を使おうかな。


とりあえずブロック塀で敷地を囲って、と……うん、敷地の奥に家を建てると、ちょうど別邸の屋敷と横並びになるから、そうしよう。裏庭無くなるけどいいよね。前庭が広いしね。別邸が横幅50mくらいだから……ジェイムズ宅は右寄りに建てれば、別邸との往復も2~3分くらいで済むよね。うん、そうしよう。あ、別邸との間のブロック塀に出入口作っておこう。


さてと、別邸よりはすべてを小ぢんまりさせるとして……玄関でしょ、玄関は一番東の別邸寄りにしよう。そして、応接室兼サロン、食堂とキッチン、サニタリー、客間、ジェイムズの部屋とカンナの部屋、これくらいでいいかな。広くても管理に手間だし、おそらく夜しか家に居ないだろうし。4DKってやつね、もしくは3LDKかな。それぞれの部屋は北側の直線廊下と接続させて、ジェイムズとカンナの部屋の間に扉もつけよう。あ、キッチン向かいの廊下に一応勝手口もつけておこうかな。裏庭ないけど。


別邸は一部屋あたり40畳くらいの広さにしたけど、ジェイムズ邸は一部屋20畳くらいで充分かも。うーん、別邸は感覚で付けたしながら作ったからなあ。うーん、うん、横幅35mで奥行10mの長方形、計350㎡の平屋にしよう。別邸の四分の一くらいの大きさかな。それでも日本で考えたら豪邸だよね……


サニタリーにも別邸の機能は全部入れることにしよう。洗濯室と風呂場は小さくして、キッチンも給食センターよりは、かなり小さくして表に勝手口もつけよう。燃料とか運び入れないとならないしね。もちろん井戸と水道管も作って排水設備も完備、小さい冷蔵庫も冷凍庫もつけよう。各部屋には小さい暖炉と……もちろん、すべての空間には窓もね。今回は北側が低い板葺き片屋根にして、屋根のすぐ裏側は、むき出しじゃなくて柱隠しの竹板を貼ろう。これは屋根の裏じゃなくて、吹き抜けだよ、吹き抜け。面倒臭いから天井材を貼らないんじゃないんだからね、うん。よし、とってもいい感じにイメージ完了。


さ、建築だ!


ピカピカピカピカ……




***




ジェイムズ邸を建てた後、中央工業団地の敷地で構想を練る。


食べ物関係は、この後、どのくらい増えていくのかわからないから、ちょっと置いておこう。


今、何の建物もない部署は……農業部と海産部だけど、建物がメインの仕事じゃないから、取り敢えず除外。


後は、服飾だ。服飾は完全なる家庭内制手工業だからね。


これを、まとめて行えるようにしたい。とりあえず、リネンを繊維にする作業は工場でまとめて行うようにして、糸にするのも工場でやって、あ、綿花もだね、そして、布を作るのも工場でやって、縫物も工場でしょ、検品とか保管とか、出荷とか管理とか、全部工場だ!


っていうか、各家庭で千人単位で女性たちがやっているんだもんね。少なくとも1000人くらいが働ける施設にしないといけない。


うん、これはかなり大規模な工場にしないと、ね。


もう少し、構想をブラッシュアップしてから作ることにしよう。




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