表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/237

閑話4 ミカエル・ケルビーン4

わしは、ミカエル・ケルビーン。


このアタシーノ公国の大公を務めておる。


わしの可愛い可愛い孫は、凄すぎる。


この国中に明かりを灯したと思っておったら、次は肉だ。


今まで肉と言えば、たまに狩れる北の魔獣を塩まみれにしたものだった。


これは、そのままでは食べられぬ。細かく切ってスープに入れて少しずつ食べるものだ。それほど美味いものでもないが、平民の口には入らぬ貴重品。この大公家だけで食されてきた。


なのに、ミチイルは、牛と豚と鶏という家畜を作り出した。


そして、燻製と言う方法でベーコンとソーセージをも生み出しおった。これは、それほど塩をしておらんらしく、スープにせずとも七輪で軽く炙っただけで食える代物だ。しかも、ある程度の間なら星に還ることも無く、保存が利くから民の家でも食べられるようになった。


これもミチイルのおかげだな。民の家で普通に七輪が普及し、燃料も手に入るようになったのだからな。


なにより、このベーコンもソーセージも、美味い! 特にソーセージなど、焼いてもいいが、軽く茹でただけで食らうと、パリッと皮が弾けて中から旨い汁がドバっと出るのだ。しかも、ソーセージを茹でた湯には味が出ていてな、それに野菜などと塩を少し足せばスープになるんじゃと!


ミチイルのやる事には無駄がないの! さすがわしの孫じゃ!


鶏が産んだ卵もな、毎日大公家に届くようになった。これはスープに入っていてな、フワフワとして美味いのだ。


わしが毎日、忙しくも旨さを嚙みしめて過ごしておったら、今度は、服だ!


服だぞ、服! 


服と言えば、古今東西、大きな一枚布を体に巻くものだ。もちろん王国でも変わらん。


それなのに、着て走っても布が落ちず、座っても立っても体を覆い続ける服、しかも、綿だと!


聞いたことが無い植物だったが、リネンよりも柔らかく、薄く、肌触りも滑らかなもんだ。


これで作った作務衣など、もはやそれ無しの暮らしなど、考えられん。わしら、よくもまあ、今までリネン布だけで生きて居ったものだ。


いや、今でもエデンのやつらは布だけで生きておるがな、グフグフッ あ。


そのうちに、冷蔵庫なるものまで出来おって、食物が長く保存できると言っておった。しかも保存だけでなくてな、冷たいのだ!


冷たいなぞ、この国は日が落ちた後など寒いしな、北のように冷たくていいことなど何もないわと思っておった。


なのに、それがまた、冷たい食いもんの美味いことよ!


イチゴなぞ、もはや冷たいものしか食う気がせんし、冷たいワインもキリっとしてての、ソーセージとまた合うのだ。


冷たいのも悪くないな、と思っておったら、今度は暖かいものだと。


そう、羽毛布団だ!


なんだあれは。あのようにフワフワ暖かいものなんぞ、どこにも無いわ! あ、ミチイルが作ったのだから、王国にも無くて当たり前だったわ!


牛の毛皮を下に敷いて、羽毛布団を被って寝るとな、朝までぐっすりだ。時々、このまま女神の元へ行くんじゃないかと思うくらいだぞ。


最近じゃ、羽毛の量が増えてきたと言って、年寄り連中に行きわたるようにしておる。そのうち民の全員にも届くだろう。


なんと慈悲深い子だ。わしの孫じゃがの!


いや、そうじゃなくてな、そうこうしているうちに、給食センターだ。


給食センターで民に給食を食べさせると言う。昔じゃ考えられんことだな。なにせ食べ物が無かったからな。そして、ミチイルは、また、また、新しい食べ物を世に産み出した! あれはミチイルの最高傑作! 神をも揺るがす料理じゃ! 戦争が起きるぞ!


そう、至高の料理、ハンバーグだ!


あれはの、旨すぎて旨すぎて、わし、死ぬ。


ステーキよりも柔らかくてな、ふわっとしててな、ソースがな、またとてもいい香りなのだ。食べたらな、中から汁がな、ジュワっと出てな、知らないうちに口から無くなってな、食べても食べても腹が減る気分になるんだぞ! ハンバーグとご飯の組み合わせはな、まさに楽園の食事だ!


きっと女神様も喜んでいるはずだ。なにせ、教会にお供えしとるからな。


教会と言えば、ミチイルが作ったもの以外にも、民たちが作った教会も増えて、あちこちで祈りと捧げものをしておる。


これでわしも、もう思い残すことは無い、と思いかけて居ったら、なんと今度は荷車だ。


荷車はエデンの王国でしか使用が許可されておらん。木材が無い公国は、目を盗んで作ることも出来なかったのだ。それを、ミチイルは、早生桐っちゅう木を北に植えた。その桐を使って荷車をつくり、牛に牽かせておる。牛だけじゃなくてな、人間用のリアカーも作り出して、少ない人数でも大量にものが運べるようになり、今じゃ公国中が荷車で溢れておる。物流、と言ってたな。とても活気があるもんだぞ。


こうやって、日々、公国は変わっていっておる。職人たちの税の仕事はあっという間に終わり、公国の民が使う便利な道具類を嬉々として作っておる。ミチイルの小さいころに、自分たちのために仕事はしないのか、と訊かれたことがあったが、今じゃ、まさにその通りになっておるわ。


税としての仕事よりも、自分たちで食べたり使ったりするもんを作っている方が、圧倒的に仕事が多いからの。


主に男どもの仕事は激変したが、女どもの仕事は大変な事も多いままだ。中でも洗濯は、川まで行かんとならんし、濡れた洗濯物は重いしで、結構な重労働だったが、ミチイルはそれも、魔法で解決してしまった。


今じゃ、女どもの負担もずっと減って、服飾や給食、はたまた農業に従事する女どもが増えて行っているぞ。しかも、その仕事は取り合い状態だそうだ。


特に給食センターの仕事は、壮絶な戦いで取り合いだそうだ。壮絶な戦いっちゅーもんが何かはようわからんが。


ま、けが人とかは居ないようだからな、あまり触れないでカンナとジョーンに任せておこう、うん、そうしよう。


カンナとジョーンと言えば、マリアも含めて最近、とても楽しそうだな。分家のものどもにも何やら渡しているようだが……


最近のミチイルは、麹菌とかいうものにかかりきり。ずっと研究室、だったかな、そこに居ることが多くてな、わしもほっと一息ついておる。


わしも、そろそろミハイルに大公を譲って隠居するかの~ ミハイル始めエデンに出している者共も、帰りたい帰りたい言うておるしの……


なんて思っておったら! ミチイルは!


禁断の料理だ、と言って、大変なものをこの世に出してしまったぞ!


唐揚げだ!


わし、旨すぎて美味すぎて、本当の本当に死ぬところだったわ。このような天にも昇る食べ物があったとはな……


この禁断の料理の事は、絶対に絶対に漏らさないようにせんとイカン! 特にエデンとミハイルに!


戦争が起こるぞ!


わしは大公として毎日食べるがな! グフグフッ あ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ