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1-34 たんぱく源

とりあえず、品種改良した綿花は、リサの農業部に栽培してもらうようにした。


綿ができたら、どうするか考えよう。糸にするのも、糸車?とかいるだろうけど、僕、イマイチわかんないんだよね……何かいい方法があるといいんだけどさ。


で、久々にお取り寄せして思ったんだけどさ、お取り寄せって、スキルだし、僕しか使えない。魔法は多くのアルビノ人が使えるけど、それでも材料が近くにないと発動しない。僕の魔法は、材料が近くになくても、勝手にお取り寄せして魔法が発動する。


ということは、お取り寄せは、植物とかに限らないってことだと思うんだよね……


もしかしなくても、食べ物じゃなくても無機物とかも行けるんじゃないか、っていうか、多分、いける。


それに、植物以外でも、()()でもいけると思う。


ということで、実験実験。




***




何にしよう。とりあえず魚とか? でも、魚、だと魔獣系の魚が来たら困るよね……いるのかどうかもわからないけど。


うーん、海の植物、こんぶとかワカメとかならいいんじゃない?


出汁になるしね。スープが美味しくなるはず。


スキルにいい仕事してもらうために、ざっくりした範囲にしよう。


ということで~


『お取り寄せスキルで食べられる海藻!』 レッツトライ!


ピッカリンコ ドチャ


どれどれ……はい、昆布~


ま、もしかしたら昆布じゃないかも知れないけど、食べられるのは間違いないから!


昆布をよくよく見てみると、中心部は昆布みたいに肉厚で、縁は薄々ヒラヒラでワカメみたい。両方使えそう。


でも、昆布の養殖とか良くわかんないんだよね……胞子で増えるんだっけかな……


海産部のジョン爺とかも、海では何も採っていないって言ってたし、浜に海藻とか打ちあがった事もないと思うから、少なくともアタシーノ公国近辺には、昆布は生息していなかったと思う。


よくわかんないから、公都から一番近い海に投げ入れることにした。


公都から西へ、海方面に向かうと、岩壁に着く。岩壁はたぶん10mとか15mとかだと思うんだけど、海にそのまま出られないの。段差があるから。


だから、トム爺と海産部のジョン爺と一緒に、公都最寄りの岩壁へ行って、漬物石魔法で石を階段状に切り取って、岸壁から海に歩いて降りられるように細工した。


そんで、海に行ってみると、海岸は、何か透明な残骸がいっぱい散らばってるけど、中くらいの岩がゴロゴロしてたから、これはいけるんじゃね?と思って、お取り寄せした昆布をいくつかに裁断して、ポイポイ岩場の海面に投げ入れた。


昆布は確か、岩とかにへばりついて生きているはずだからね。


もう、わかんないんだから、後は、放っておこう。


ジョン爺に、たまーにでいいから、昆布の辺りをチェックしておいてもらう事にしたよ。


そして、次は……いよいよ……禁断の、あれ、をお取り寄せしてみようと思う。


ちょっとこわいんだけど。




***




「カッカッカ! 坊ちゃーん! ほれほれ、おんぶじゃ!」


「うん、トム爺、いつもありがと~ 今日はね、北に行きたいの」


「桐の林かの! それともブドウ畑かの!」


「うんと、桐の林の、さらに北に行きたい」


「何するかわからんが、合点じゃ! しっかりつかまっとくんじゃぞ! カッカッカ!」




***




桐の森予定地の、さらに少しだけ北の荒れ地に着いた。公都から5kmくらいかも。


岩がゴロゴロしていて、草もろくに生えていない。そして、公都より心持ち寒いかも知れない。けど、誤差の範囲だろう。


そして、漬物石魔法で、高さ1.5mくらいの、頑丈なブロック塀で四方を広めに囲んだ場所を用意。そして、中じゃなく、外側に階段を数段設置した。僕がのぼるために。じゃないと、塀の中の様子が見えないからね。


さて、ドキドキするよ……


「さあ、いくよ! 『お取り寄せスキルよ、夫婦で牛乳たっぷりのおとなしい丈夫な牛だ!』 ヘーイカモーン! 」


ピッカリンコ ドスン ブモーー


「坊ちゃん!! これは牛じゃ! エデンにバレたら面倒くさいぞい!」


「やった! 成功~ うん、まぁ、ここならバレないとも思うけど、そもそも誰かのものは取り寄せできないからね、この牛たちは、誰のものでもないから、大丈夫~」


「そうか! なら良かったわい! カッカッカ!」




***




――牛、である事は良いのか、トム




***




「牛の夫婦一組じゃ、寂しいから、もう少し取り寄せよう!」


ピッカリンコ ピッカリンコ ピッカリンコ ピッカリンコ


「おおお! 牛が10頭になったわい! カッカッカ! さすが坊ちゃんじゃの!」


「うん、これくらい居れば、繁殖するよね、きっと。っていうか、もしかしたら絶賛妊娠中かも知れない……乳房というよりも、お腹が膨らんでいる気がするような……わかんないから、ま、いいか~」


「なんでも坊ちゃんに任せておけば、大丈夫じゃ! カッカッカ!」


「いや、トム爺、僕が僕にまかせるって、変じゃな~い~? ま、ちょっと狭かったら困るから、この石の囲いを三倍くらいに広げておこう! あ、水場も要るよね。石のプールをつくっておこうっと」 


ピカピカピカピカッ


「トム爺、アタシーノ川からさ、この石のプールまで流しそうめんしておいて欲しいんだ~」


「おう! 合点じゃ!」




***




――その頃、南部の放牧地帯では、牛が数頭、忽然と姿を消したが、ワイルド農法で放し飼いのため、それに気づくものはいなかった




***




さて、牛エリアから、ちょっとだけ離して再度ブロック囲いを作った。そして……


「 『お取り寄せスキルで、丈夫でおとなしい男女豚!』 ヘイカモン! 」


ピッカリンコ ポテポテ ブー


「あ、子豚? いやこれ、豚なのかな? いやいや、スキルが豚っていうんだから、豚に決まってるよね! なんか妙なワイルド感が漂っているけどね! ついでになんか、魔力を感じるような気もするけどね! 大丈夫! 大丈夫……だよね?」


『はい、救い主様』


「ああ、アイちゃん、これって豚?」


『はい。元々は預言者様と共に来た地球の豚でしたが、今は魔獣と呼ばれています。アルビノ人に魔力器官が与えられた際、女神(くそ)が辺りに居た生物まるごと慈悲を与え(しょりし)ましたので、豚にも魔力器官が発生し、現在は魔力のみを栄養として北の方で生きております。あの女神(くそ)は、なぜ豚に魔力器官があるのかは、アタシーノ星の七不思議であるなどと言って(ぬかして)おりますが……ともあれ、元が豚なので、魔力以外の普通のエサでも飼育可能です』


「もしかして、アイちゃんがよく入ろうとしている豚?」


『左様にございます。今ここで入りましょうか? すぐさま五体投地を』


「いやいや、大丈夫、ありがと~」




***




とりあえず、豚は問題ないようだから適当に増やして、もう一つ、頑丈な囲いを作って~からの~


「 『お取り寄せスキルで、卵いっぱい生む丈夫な鶏繁殖セット!』 ゴーアヘッド! 」


ピッカリンコ バサバサバサバサ


「おお! 鶏~? だよね?」


『はい。豚と同じ経歴を持っています。もう一度説明いたしましょうか?』


「いや、大丈夫~ そういえば、囲いはそんなに高くは無いんだけど、鶏だから、飛ばないよね?」


『はい。問題ございません』


「そういえばさぁ、前も話に出てきたけど、卵が先か鶏が先か、どっちが先なの?」


『もちろん、卵が先です。神が造り給いし造物ですので』


「ハハ そうだよね~ そりゃそうだ ハハハ うん」




***




「坊ちゃ~ん! 牛の方は流しそうめん終わったぞ~い!」


「あ、トム爺、ありがとう! 魔法、すごく早くなったね~ この辺りだと川の勢いもあるし、多少の高低差はもろともせずに水が届くね……んじゃ、こっちの豚と鶏の方にも、流しそうめん引いておこうかな~ 水がないと死んじゃうしね~」


「こりゃこりゃ! ぶったまげたわい! カッカッカ! 坊ちゃんはとうとう魔獣まで手なずけおってからに! さすがは坊ちゃんじゃ!」


「ハハ とりあえずね、この子達は魔獣なんだけど、普通のエサでも育つから、これからここで飼育しようと思ってるの。それでね、もちろん僕ができる訳じゃないからね、誰に世話を頼んだらいいと思う~?」


「そりゃ、わしが手配しとくでの! 石切りや金属石拾いのもんらは、もともと魔獣も狩ってるからの! 」


「そっか~ さすがトム爺、いつも頼りになる~ それでね、この牛とか魔獣、家畜って言うんだけど、この子達に食べさせるエサもね、作ったり運んだりしないとならないと思うの」


「それは大丈夫じゃ! 南の畑とかから運ぶんかの? 石切りや金属石拾いのもんは、北に向かうときは手ぶらじゃ。じゃから、帰りは荷物があるがの、行きにはエサくらい持っていくのは訳ないぞい! 」


「あ、そっか~ さすがトム爺、僕、そこまで頭が回らなかったよ! トム爺が居てくれると、とっても助かる~」


「カッカッカ! そうじゃろそうじゃろ~ このわしに何でも任せたらええぞ!」


「うん、お願いね~」




***




鶏も増やして、水をそれぞれ引いてから、公都に戻った。


そんで、あちこち手配してもらって、家畜農場のエサについて、算段をつけた。


どう考えても農業部の仕事っぽいんだけど、魔獣と関わったり、北に向かいやすかったり、エサを運んだりするのに適していたから、トム爺たち土木部の管轄にしてもらった。


エサは、今までコンポストで捨てていた野菜の残骸とか、菜種のしぼりかすとか、ラム酒やワインの搾りかすとか、テンサイの搾りかす、そして栽培したけど人気が無くて南の畑で野生化してしまったレモングラスと同じく人気が無かったニンジン、さらに、このために貯蔵していたのかと思うくらい、貯まりに貯まっていた乾燥トウモロコシ、ついでにまだ使い道がスープに入れる位しかない大豆、それとびっくりすることに、他の食べ物を食べだしたから実は余り始めている乾燥マッツァ、こんなのをエサにすることにした。


考えてみれば、家畜のエサ、いっぱいあるじゃん。


これらをせっせと土木部に北の牧場に運んでもらって、塩とかも混ぜて、牛、豚、鶏にエサとしてあげてもらうようになった。コンポスト魔法でペレット状にして、全部混ぜてエサとしている。


鶏は、早くも卵を生み出したみたいだけど、それは繁殖のため、基本、しばらく放置しておく。


他の牛も豚も、しばらくは食べずに繁殖だけ。


食べたらすぐに無くなっちゃうもんね。


ああ、はやく肉とか食べたい!




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