1-28 大量の種
お取り寄せスキルが、非常にとてもマーベラスに有用なので、思いつくままに取り寄せてみることにした。
テンサイ砂糖も気にはなるが、現状、砂糖の使い道がないんだよね。マッツァナンにかけるくらいしかない。食材が無いからね、砂糖だけ舐めるのも体に悪そうだし。だから後回しにした。
という事で、お取り寄せ! ピッカリンコリンコリンコ…………………………
なるべくお腹にたまる穀類ベースを優先して色々試した結果、ジャガイモ、カボチャ、トウモロコシが宅配ボックスに届いた。
もちろん、例によって見た目は小さな雑草なんだけど、それぞれ品種改良を繰り返し、地球のよりはかなり大きい実がなるようにして、とりあえず種にしとく。
ジャガイモはナス科だから、きっとたぶん、トマトとかナスとかあるはず、ということで、トマトもナスも宅配ボックスに届く。どこにあったか知らないけどこれ、とてもまずそうだし、毒ありそうだし葉っぱは食べられなかっただろうな……で、品種改良&種へ。
あ、セリがあったから、セリ科の人参もありそう。で、もちろん品種改良&種に。
カボチャはウリ科だから、キュウリはどうかな? で、もちろん品種改良&種に。
そういえば、米は無かったのに、同じイネ科のトウモロコシはあったのね……あ、そうか。アブラハムの時に、地球から色々導入したって言ってたもんね、その時か。米が無かったってことは、アブラハムはヨーロッパとかの人だったのかもね。なんかこの世界の貴族制度もそんな感じだしね。
ネギはどうだろう……? たまねぎとか長ネギとか欲しいけど、あんまり範囲を狭めると、スキルがサーチを放棄しそうな気も何となくするから、ここはやっぱりざっくりと、ネギ科! で行ってみた。でもそれは、ちょっといくらなんでもねぇ……と我ながら反省していると、宅配ボックスに何かが……ん? これは? と思って匂いを嗅いだりしてみたが、多分、野蒜……かな。確かに、ただの臭い草だよねぇ。この世界の人は食べないだろうな。
で、これを品種改良したんだけど、途中で、緑色の葉っぱが長いものと、球根が大きいものとに分化させて品種改良を続けてみたのね。そうしたら、アオネギとタマネギっぽいものができたから、これもそのまま名前をつけちゃって、種に。頑張ったらニンニクとかに分化もしそうだったけど、後回しにした。
そうそう、出来れば大豆も欲しい。スキルの目を誤魔化すために、豆! で発動。で、やってきたのは、大豆に似た感じのツルマメ?かな。ひょろっとしてて豆が数ミリくらいしかない。で、根気よく品種改良し、ツルが無くても栽培できる、ほぼ大豆ができたから、大豆と命名。
やった! 大豆! でも、大豆は想像よりも豆が大きくならなかったよ。そのかわり、一本の茎からいっぱい豆が採れるけど。っていうか、本当は大豆じゃないかも知れないけど。で、種に。
で、いつもアタシーノ川の水を飲んでいるけどさ、やっぱり生水って抵抗あるんだよね、飲んでるけど。だからお茶が欲しい! と思ってお茶にトライしてみたけど、無かった。ま、そうだよね。ヨーロッパにお茶が伝わったのは大航海時代も終盤だもんね。しかたないから、ハーブティーで試したら、草がやってきた。匂いを嗅いでみると、さわやかなレモンっぽいから、レモングラスだね。これは、食べる訳ではないし、大きく育つものを品種改良&種に。
そして、いよいよ、アブラナ科。
まず、そのままアブラナをお取り寄せ。で、極細ミニミニ大根みたいな草が届いたから、これを大根っぽいものと菜の花に分化、そして品種改良&種。
大根は、大根というよりずんぐりした長いカブだけど、食感は大根だから、大根と名付けたわ。菜の花は、油を取りたい!
あと、やっぱり果樹もあった方がいいと思ったから、とりあえず酵母も欲しいし、ブドウをお取り寄せ。山椒の実みたいな小ささの山ぶどうみたいなのが来たから、これもとりあえず品種改良&種に。巨峰サイズになったわ。木が手に入らないけど、ブドウ棚とか作れるかな……
あ、そうだ。木も取り寄せられないか試そう。もちろん、スキルに頑張ってもらうために、木! でトライ。結果、何かの種が届いたんだけど、これは外でやらないとね、わからん。
リンゴは無理だった。いかにもエデンにありそうなイメージだけど、エデンにあったとしても王家のものだしね。仕方ない。というか、果樹は軒並み無理だったわ。
じゃあ、草っぽいし行けるとふんで、イチゴをお取り寄せしたら、ビンゴ! 酸っぱそうな小さい実のイチゴが届いた。多分、葉っぱも美味しくないし、実も外側全面つぶつぶ種だから、食べられないまま野生化しかのかもね。でも、品種改良があるから、僕には何も問題ない! ということで、とっても美味しくてデカい実がなるイチゴにして、種に。
かなり考えて色々試してみたけど、こんなもんで限界かな、お取り寄せは。
ほんと、毎日毎日、品種改良に明け暮れて、時々は南の畑にも顔を出して田んぼ増やしたり、あ、テンサイもすごいことになったけど、手が回らないから、放置したり、そんなこんなで、地球で言うところの何か月も過ぎて行った。
種ばっかり、銅で作った缶に大量在庫があるわ……
とりあえず、南の畑に行かないと、ということで、母上とリサに会いに行った。
申し訳ないけど、母上に荷物を持ってもらったよ。
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「リサ、ちょっとご無沙汰しちゃって~」
「マリア様、ミチイル様、ようこそおいでくださいました」
「うん、今日はね、新しい野菜を植えて欲しくてきたんだ~」
「野菜、ですか? 葉物ではなく?」
「うん、葉物も野菜なんだけど、今日持ってきた野菜の種はね、ぜんぜん別のものなの。葉物よりも役に立つんだよ」
「そうなのですか……全然想像もつきません」
「ハハ だろうね。とりあえずね、色んな種を持ってきたから、畑の一枚を実験に使いたいの。葉物の畑を一枚使ってもいいかな?」
「はい、ミチイル様のご指示の通りにいたします。私が畑を増やす事もできますが……」
「うん、今日の野菜の種はね、どんな出来になるかわからないんだ。ある程度は予想できてはいるんだけど、実際に畑に植えたら、どういう風に育つのか、確かめたいの。それでね、この種ね、種類ごとになっているから、少し間を空けて一種類ずつ植えてほしいんだ」
「かしこまりました」
「とりあえずね、ここに小さな銅缶の詰め合わせがあるんだ。母上、お願い~」
「リサ、これよ」
「ここからね、ジャガイモ、カボチャ、トウモロコシ、トマト、ナス、キュウリ、アオネギ、タマネギ、大豆、レモングラス、大根、菜の花、イチゴの順に種が入っているの。本当はいろいろ植え方とかもあると思うんだけど、とりあえず、種まきしてみてくれる? 名前は今、覚えなくても、種類の順番がバラバラになっても大丈夫だから。育ったら見ただけでわかるからね、心配しないで、とりあえず植えてみて~ ごめんね、リサにばかり負担かけて」
「大丈夫です、ミチイル様。リネン草や葉物の畑はもうすっかり私の手を離れましたし、米の方も、私がいなくても何とかなるようになってきました。手伝いの職人たちも、公都の女たちも、もう何度も米を収穫してますから、慣れてきましたので」
「それはよかった。この野菜たちが成功したら食べるものがずっと増えるからね、頑張ってみて。もし、失敗しても、まだ種は屋敷にあるから気にせず挑戦してみて~ よろしくね」
***
いつものごとく、リサにとりあえず丸投げしてみた。人が足りなければ調整して増やしてくれるだろう、お祖父さまが。
ブドウと不明木は樹木だから、南の畑じゃなくて、公都の北側の荒れ地に植えてみようと思う。そもそも木は品種改良も必要かも知れないしね。
***
――こうして時が過ぎて行き、ミチイルは6歳になる




