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1-23 女性管理職

「母上~」


「なあに? ミチイル」


「僕ね、こないだの水田に行きたい」


「そうね、どうなっているのかしらね。楽しみね」


「うん!」


(……小さい入れ物があると言うことは、ミチイルは、今日も何かを持っていくのね……)




***




「 ! こ、これは……」


「あら、良くわからないけれど、青々として随分大きくなったのね」


「大きくなったっていうか、おかしい……」


「初めて見る草だし、あ、米だったわね、わたしには良くわからないけれど……ダメだったのかしら?」


(ちょっと育ち過ぎじゃない? まだ10日とかしか経ってないのに、もう実がついてる……しかも、植えたの一合分くらいなのに、水田じゅうにわっさわさしてるし……すっかり水も引いちゃってるってのに)


「…………う、ううん、とっても順調! ……だと思う」


「あら、そう、良かったわ。それで、後どのくらい経ったら食べられるようになるのかしら」


「う、うーん、そうだね……色が黄金色になって、穂先が垂れ下がってきたら収穫できる……と思う。……あと、と、10日くらい?」


「まあ! そんなに早く食べられるのね! とても楽しみね」


「ハハ 楽しみにしておいて~」


「失礼いたします。マリア様、ミチイル様」


「あら? リサじゃない。どうしたの?」


「ミチイル様が、お作りになった、その……水田? と言うものが気になってしまって……毎日様子を見に来ておりました」


「母上~ ? 」


「ああ、ミチイルは初めてよね。この女性はリサと言ってね、ブッシュ地帯で採取されるリネン草を取りまとめる仕事をしてもらっているのよ」


「初めまして、ミチイル様。リサと申します」


「うん、よろしくね~ リサは水田に興味があるの?」


「はい。このように人の手で草を植えて育てるというのを初めて見ました。雑草やリネン草は、そこら辺に生えているものを集めるだけですので、日によっては多くなったり少なくなったりしますので……」


「そりゃ、そうだよね~ この辺りはリサが管理しているの?」


「はい。集める場所を計画的に変えて行ったり、集める量を決めたりして、ブッシュ地帯から草が無くならないように、皆に指示をしています」


「ああ、それで、自分で増やせたら管理しやすい、と思ったんだね」


「はい。同じ種類の草が、こんなにも一度に生えているのを見るのは初めてで、興奮して気合が入ります!」


「え? 草を見て、気合が入る?」


「はい。私は草が好きなので、リネン草の処理をしている時などにも、思わず気合が入ってしまいます。気合のせいか、草が好きなせいかわかりませんが、草の扱いに長けていると評価をいただきまして、女だてらに管理を任されております」


「リサすごいね! とってもすごい~ 公国にも女性管理職が存在したんだね~ 」


「数は少ないけれど、女性でも管理の仕事をしている人はいるのよ。ただ、子育てがあるから、自然と子供の手が離れた女性になってしまうけれど……うちのカンナだって、公国の布を取りまとめる管理職なのよ」


「え? そうだったの? 確かにカンナは布仕事が得意って言ってたけど……そうだったんだ」


「ミチイル様は、草に興味がおありなのですよね? 先日、カンナ様から指示があって、ミチイル様に献上するリネン草をカンナ様に届けましたし」


「あ! あれを採って届けてくれたのは、リサだったんだね~ ありがと」


「とんでもないです。あのリネン草は、お役に立ちましたか?」


「あ、うん、とっても助かったよ。……それで、今日はリネン草を植えようと思ってきたんだ~」


「 ! リネン草も、このように一度にたくさん育てる事ができるのですか?」


「うん、できると思う……そうだ! リサ、手伝ってくれない?」


「はい! 私のようなもので良ければ、よろこんで! ミチイル様にご指示をいただけるなんて、光栄です!」


「ハハ もっと普通に気楽にしてね~ とりあえず、畑をつくっちゃおう!」




***




――ピロン 畑魔法が使えるようになりました。畑を思いのままに作れます




***




「アハハ そうこなくっちゃ! では、ここから公国の畑作文化、開始~」




***




――ピロン 畑作文化スキルが使えるようになりました。畑を作って収穫まで思いのままできます




***




「…………と、とりあえず、リネン草を植えてみようかな。米からちょっと離して、あそこらへんにしよう!」




***




「さあ出でよ! 『畑作文化スキルでリネン草がいっぱい!』 ヘイ、カモン!」




***




ピッカリンコ グワングワンシャコシャコポトポトジャバーバッサー




***




「 !!! これは……私はいま、何を見て…………あっと言う間にリネン草が…………これって………………リネン草?」


「うん、こないだリサが持ってきてくれたリネン草をね、品種改良して大きくしたの~」


「……ふーむ、確かに、この茎はリネン草と同じ感じですね、とても太くて長いですけど……」


「うん、これだけサイズが大きかったらさ、一本からたくさん繊維が取れるでしょ?」


「……ハッ、確かに! 確かにこれ一本で、普通のリネン草の何十本分もありますし、それに長い繊維が取れそうです!」


「全部採ってしまわないで、種用に少し取っておいてね、種を収穫するの~ それでその種をここに撒けば、また収穫できる~」




***




――ピロン 収穫魔法が使えるようになりました。任意の部分を任意の状態で収穫できます




***




「……ハッ、それを繰り返して行けば、いくらでもリネン草が……」


「……うん。リネン草は、この辺りで自然に生えてるくらいだしね、特に水やりも肥料も必要ないと思うし、病気も虫もついてないから、撒いたら育つまで放置で行けると思う~」


「良くわかりませんが、畑に種を撒くだけで、このように育つのですね?」


「うん。リサに任せようと思うんだ~ お願いね」


「かしこまりました。全身全霊で取り組みます」


「ハハ それなりに頑張って~ それでね、もう一つ、お願いしたいことがあるの」


「はい、何でもおっしゃってください!」


「あそこの水田の管理と……ここで、小松菜と春菊とセリの葉物も育てようと思ってるんだ~ それもお願い」


「葉物……良くわかりませんが、かしこまりました」


「んじゃ、とりあえず、葉物もやっちゃうね! もう少しここから離して、あっちの方に作ろう」




***




「ヘイ、カモン!」


ピッカリンコ ピッカリンコ ピッカリンコ




***




「 ! これは! またとても大きな雑草……じゃなくて葉物?ですね!」


「うん、これが小松菜、それが春菊、そしてあれがセリなの」


「葉がとても大きいですし、茎も……若い木のようです」


「うん。葉っぱはね、雑草よりもおいしいの。たくさんとれるしね、みんなでいっぱい食べられる。茎はね、燃料になるよ」


「燃料と言うと……南の工場で使っている薪、ですよね……」


「うん。薪と同じく使えるの。でも木材じゃないからエデンには関係ないし、公国で自由に使える。平民でも使えるよ!」


「 !! で、では、家で燃やして水をお湯にしたり、南で焼かれているマッツァナンも、公都で食べられる……!」


「うん、そうだね。鍋とか竈とか必要にはなるけど。それで、この葉物も、リネン草と同じで種をとって、また植えるのを繰り返すの」


「そ、そうすれば、葉物もたくさん食べられて、燃料も…………!」


「うん! とりあえず、この葉っぱ、食べてみて、リサ」


「はい。ムシャムシャ……! 柔らかくてサクサクしてさわやかな味で……おいしい! 雑草とは全然違います!」


「そうなの~ みんな喜んでくれると思うんだ~」


「はい! さすがは救い…………ウッ……ミチイル様です!」


「それでね、リサ、リサにも魔法を使えるようになって欲しいんだ」


「私に……魔法なんて使えるのでしょうか……」


「多分、大丈夫。気合が大切だしね、トム爺とか魔法が得意だから、こんどコツを訊いてみて。それでね、畑魔法と……収穫魔法を使えるようになって欲しいの」


「ハタケ……シュウカク」


「うん。すごいね、一回聞いただけなのに。発音はバッチリだから、気合を入れてね、呪文を唱えるの。その時に、いまここで作ったこの畑をイメージしてね。それで『畑』と唱えるの。魔力が、あ、気合でもいいや、それがどんどん吸われていくから、倒れそうになる前に止めてね」


「はい、わかりました」


「とりあえず、今、やってみてくれる?」


「はい! えぇっと……ふんす! 『ハタケ』 」


「………いずれできるようになると思うから、焦らないで研鑽して~ 収穫魔法は今度ね」


「………………………………かしこまりました…………」


「じゃあリサ、また少し経ったら母上とここに顔だすから、よろしくね。あ、葉物は自由に採ってみんなにあげたりしてみて~ 魔法は焦らないでね~」


「はい! お待ちしております」




***




――こうして、アタシーノ星にも畑作文化が生まれた




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