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3-56 スイーツの王様2

「どうしてそれを、もっと早く言わないのよ! ミチイル」


「いや、でもでもだって~」


「でもでもだって~ じゃないのよ! そんな重要な事を隠しているだなんて!」


「だから、これからレシピ講座を開くんじゃないのさ」


「あらそう、早くやりましょうよ!」


「まったく……では、えっと、何をするんだっけ……あ、そっか。まずはチョコレートの作り方だね。まずはね、チョコは大きく分けて三種類あるの。でね、普通にカカオの胚乳で作るのがダークチョコね。そして、原料に粉ミルクをプラスするとミルクチョコ、そしてカカオから抽出した油分だけと粉ミルクを使って作るとホワイトチョコになるからね、これは覚えておいて」


「かしこまりました!」


「それでね、さっきみたいにカカオを原料にしたら、ここに油分が少なくなった塊ができるでしょ? これはココアっていうの。これは一応干物魔法をかけて乾燥させてから微粉末にしておいてね。それで、カカオの胚乳から油分を抽出した油はね、カカオバターって言うから。そして油分を抽出した残りはね、これもやっぱりココアになるからさ、これも石臼魔法で微粉末に……できるかな……ま、出来なかったらコンポスト飼料でもいいよ。チョコレート魔法じゃ無いと、もしかしたら微粉末には難しいかも。ま、ココアはチョコレートを作った時に出来る分だけでも間に合う気がするからさ」


「なんだか複雑なのねえ」


「ほんとうですね! さすがはスイーツの王様です!」


「ハハ それでね、この白っぽいカカオバターは美容製品に使うと色々美肌効果があるからね、蜜蝋とかとブレンドしてクリームとかに使うといいかも」


「それは、とってもステキね! 早速試しましょうね、ジョーン」


「はい! マリア様!」


「でね、これで三種類のチョコが出来たまではいいでしょ? 後は、今までみたいに小さく薄い板状になるような型を作って、そこに流してしばらく時間が経つと固まるから。そしたらホットドッグを包んでいたワックスペーパーに包んでガス袋で販売して欲しいの。チョコはね、配給じゃなくて販売にしよう。贅沢品だからさ」


「そうですね! 手間暇もかかりますし、魔石の消費も激しそうです」


「えっと、さっきの魔石は……ほんとだ、もう殆ど透明じゃん……何か月も燃料にできる魔石だってのに。ま、いくら無尽蔵で使える魔石とは言ってもさ、これだけのエネルギーを消費するスイーツだから、やっぱり贅沢品の扱いね。今ってさ、販売しているお菓子とか料理とかは、もう配給にしてないんでしょ?」


「はい! 配給に入れてしまうと、お店の意味がありませんので!」


「だよね。じゃ、チョコも販売だけど、これは店舗で売ってもらえる? チョコは暑いと溶けちゃうからね、外を売り歩いていたらドロドロになるかも知れないから。店舗の冷蔵庫で保管でいいかな」


「かしこまりました!」


「はい、では続けまーす。このチョコには色々混ぜる事ができまーす。まず、オレンジピールやレモンピール、ローストして皮を剥いたパンプキンシードなどでーす。後は、ブランデーも混ぜると、香り高い大人のチョコになりまーす。また、チョコレートは一度溶かした後に、他のスイーツなどに塗ったりトッピングしたりしても使いまーす。プレーンのクッキーに溶かしたチョコを線の様に絞ったり、ドーナツの片面に付けたり、カリントウに付けたり、ポテトチップスに付けたりする事もできまーす。また、板チョコを細かくスライサー魔法で裁断したものは、チョコチップと言って、クッキーの生地に混ぜてチョコチップクッキーにしたり、パウンドケーキに混ぜて焼いたり、パン生地に混ぜて焼いたりもしまーす」


「とてもバリエーションがありますね!」


「ほんとうね。聞いているだけで、何にでも付けられそうじゃ無いの」


「うん。フルーツに溶かしたチョコを付けて食べる、チョコフォンデュもあるしね。そして、裁断したチョコチップではなく、溶かしたチョコを混ぜてスイーツを作る事もできまーす。バニラアイスに混ぜればチョコアイスに、ホイップ生クリームに混ぜればチョコ生クリームに、カスタードクリームに混ぜればチョコカスタードになりまーす。そして、実は求肥にも混ぜられまーす。チョコ風味のお餅になりますよ!」


「それは! お餅の革命ではないでしょうか!」


「かも知れませーん。そして、溶かしたチョコは、ケーキの生地に混ぜて焼く事もできまーす。こうやって、ジェノワーズの生地を二つに分けて、一つはそのまま、もう一つに溶かしたチョコを入れて黒い生地にし、両方とも型に入れて軽くひと混ぜだけしてケーキを焼けば、マーブルケーキの、完成です! こうやってマーブル模様と言う模様にしてもいいですし、全部均一に混ぜて、チョコレート色の焼き菓子にしても構いませーん。後で紹介しますが、全部混ぜたりする場合、溶かしたチョコではなく、ココアの粉を、薄力粉とかの粉類に混ぜてチョコレート風味のケーキにする事もできまーす」


「す、すごいです!」


「でしょ~ そしてチョコは、混ぜたりトッピングに使ったりするだけではなく、コーティングをする事もできまーす。まず、溶かしたチョコとキューブ状に切ったプレーンパウンドケーキを用意して、おにぎり魔法でピッカリンコすると、パウンドケーキの全面にチョコレートがキレイにつきまーす。これでチョコケーキとする事もできますし、このように一口サイズのケーキをプチフールと言いますが、こうやってチョコレートケーキのプチフールにできまーす。これは、アフタヌーンティーセットとかに加えると、とってもロイヤルな雰囲気でーす」


「ろ、ろいやる……なにか、とっても高貴な雰囲気でステキ!」


「ほんとうです!」


「まあ、そういう意味だからね」


「はい! ミチイル様!」


「どうぞ、ジョーン」


「はい! おにぎり魔法はおにぎりとかを握ったり、おまんじゅうを作るものだと思っていましたが、チョコレートを、包む?にも使えたんですね!」


「うん、チョコに限らず、色々な物を包めるでしょ。まんじゅうもそうだしさ、パン生地とかもそうだし、生地では無いけど、こうやってチョコレートを生地に見立てれば中身のケーキを包めるじゃない」


「パン! パンも包めるのですか!」


「うん、だって、肉まんとかもそうやって包んでいるでしょ?」


「そう言われて見れば! では、あんぱんとかの生地を包んだり……」


「うん。握ったり、包んだり、こうやって薄くコーティングをしたりできる……って言うか、当然できるものだと思ってたんだけど、ちゃんと出来たからね~」


「では、早速パン工場にも伝えませんと!」


「え? パン工場ではおにぎり魔法を使って無かったの?」


「はい、一つ一つ手で包んでいます! おにぎり魔法は、おにぎりとか、おまんじゅうとか、おダンゴとか、何かそう言うものに使う魔法だと思ってました!」


「ああ、無意識に洋風の使い道には使って無かったのか……でも、コロッケとかには使ったはず……ああ、コロッケって和食の扱いなのかも。ま、僕の所為だったかも知れないけど、とにかく使えるからね、便利に使ってもらってよ」


「かしこまりました!」


「えっと、どこまで……ああ、そうそう、パウンドケーキの小さいのでプチフールのチョコケーキね。それで、チョコ生地で丸く焼いたジェノワーズを横に薄くスライスして、間にチョコカスタードクリームか、チョコ生クリームを塗って、その後、ケーキを全部チョココーティングしたら、ザッハトルテの、完成です! これは、とても贅沢でスペシャルなケーキとして有名でーす。この様に、薄くツヤツヤにチョコをかけて加工するのがとても大変なのですが、魔法があれば、手軽ですね~ さ、続いては、チョコを溶かして温めた生クリームを加えて良く混ぜると、ガナッシュチョコの、完成です! これは、生クリームを加える量を調整する事で、硬めにもなりますし、流れるようにもなりますし、クリームのようにもなりまーす。さっきのザッハトルテのコーティングチョコも、少し生クリームを加えたものを使用すると、チョコがパキパキ言わないので、おすすめでーす」


「ほんとうに、目まぐるしいほど種類がたくさんねえ」


「ほんとうです! いつになったら全て食べられるのか、わからなくなってきました!」


「ハハ そうだよね~ そして、このガナッシュチョコを硬めに作り、ブランデーなどを混ぜたり、ラム酒を混ぜたりしまーす。これを、とても小さな球状に丸めて冷やしまーす。そしたら、ココアパウダーを満遍なくまぶしまーす。小さな紙の器に入れ、キレイに並べたら、トリュフチョコレートの、完成です! これも、アフタヌーンティーセットなどに加える、高級でロイヤルなスイーツでーす。トリュフチョコは、生チョコレートと言って、生クリームやフルーツを使用したケーキと同様に、あまり日持ちがしませーん。中にドライフルーツを入れてもいいですし、ジャムなどを入れてもいいですし、ワインなどを入れてみてもいいでーす。形も、色々変化できますので、おもてなしにぴったり! とってもとっても高級なチョコなのでーす!」


「まあ! とっても小さくて、見た目もかわいらしいわ!」


「貴婦人に相応しいです!」


「そうね、これなら手も汚れないし、お口の周りもあまり汚れないわね」


「でしょ~ チョコはね、色々形も変えられるし、色々混ぜられるし、硬くもなれば柔らかくもなるの。贅沢品だけど、庶民から王族まで、全対応のスイーツだよ! さっきも言ったけどさ、板チョコは国民に販売してあげてね。他のものは、焼き菓子とかならいいけど、手間暇がかかって日持ちもしないものは、貴族用になっちゃうかもね。あ、そうだ! 国民用にもう一つ作ろう。さて、牛乳を温めてチョコとココアと砂糖を入れて溶かし、良く混ぜまーす。そこへ水で溶いた小麦粉を適量加えて混ぜながら加熱し、トロっとしたら、チョコレートスプレッドの、完成です! これは小さな瓶詰で販売して、冷蔵保存としてくださーい。配給のパンに塗って食べたり、ホットケーキやクレープなんかにも塗って食べると、手軽にチョコ菓子となりまーす。生クリームは使わず、ココアでチョコを減らしているので、庶民向けでーす。ジョーン、よろしくね」


「はい! おまかせください!」


「いまご紹介したチョコ菓子は、ダークチョコでもミルクチョコでもホワイトチョコでも作れまーす。そして、ホワイトチョコには特別なレシピがあるので、教えたいと思いまーす。まず、イチゴを小さく切って干物魔法でカラカラに乾燥させまーす。それを、溶かしたホワイトチョコに混ぜて固めれば、ストロベリーチョコレートの、完成です! とっても美味しいですよ!」


「まあ! これは見た目にもエレガントね! まるでドレスにお花が咲いているみたいよ!」


「ほんとうです! 白いチョコに、ピンクの小花が咲いているみたいです!」


「でしょ~ エレガントでしょ~ さ、本日の最後に、ココアの使い方を~ 先ほども言いましたが、ココアは粉に混ぜてチョコレート風味のスイーツを作る事ができまーす。チョコそのものを使うよりも、油分が少ないのであっさりめに仕上がりまーす。そして、ココアパウダーに粉ミルクと砂糖を混ぜたものをミルクココアと言いまーす。これは、お湯で溶かすだけで、とっても美味しい飲み物になりまーす。これも、缶か小瓶に詰めて民に販売してもいいでーす。粉ミルクが入っていますし、栄養価もありますので、年寄りとかも飲むと良いですよ~ それに、ポリフェノールも多いですし、美容にも最適でーす」


「なんですって!」


「はいはい。砂糖を減らせば、もっと体に良いかも知れないけどね。毎日飲みたいなら、砂糖は少なくした方がいいかもよ、母上」


「わ、わかったわ!」


「き、気をつけます!」


「ココアの粉はね、さっきのトリュフみたいに、上から薄く振りかけたりして味付けとデコレーションにも使えるからね、チョコを作ればどうせココアも出来ちゃうからさ、流通させよう!」


「はい!」


「じゃあミチイル、試食をしましょうよ~」


「そうだね。とても食べきれる量じゃ無いけど……ま、女神様にも大量のお供えして、と。そもそも女神様からの贈り物だからね~」


「え? そうだったの? そんな大切な事を、なぜもっと早く言わないのよ!」


「そ、それは大変です! 女神様のお慈悲の作物だったなんて!」


「あれ、言って無かったっけ……ま、そんな感じだからね、貴族はもちろん、平民も含めてさ、このカナン王国の全体で女神様のお慈悲チョコを食べよう!」




***




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