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3-32 ほったらかし食材

「さて、今日は色々なほったらかし食材の使い方を教えたいと思いまーす」


「パチパチパチ」


「まず最初は、葉っぱでーす。新たに出来た葉っぱ、シソ科と言いますが、その葉っぱを使いまーす。まず、シソは青じそと赤じそがありまーす。青じそは、そのまま刻んで刺身のツマやサラダに使いまーす。後は、天ぷらにしても美味しいですし、唐揚げを揚げる時に鶏肉に巻いて揚げても、チキンカツの時に鶏肉に貼り付けて揚げても風味があって美味しいでーす。それに、ハンバーグにもおすすめでーす。ハンバーグを成形してから青じそを貼り付けて焼きまーす。そして、ダイコンおろしとポン酢を混ぜたものをかけて食べまーす。他には、梅干しととっても相性がいいでーす。蒸し鶏のサラダに梅干しと一緒に入れたり、ダイコンを千切りにしたダイコンサラダに混ぜたり、練り梅を青じそで巻いてご飯と食べたり、砂糖を混ぜた味噌を青じそで包んで、ごま油で焼いて食べたり、万能ダレに青じそを漬け込んで漬物にしたり、青じそを刻んでごま油でサッと炒めて味噌と砂糖を入れて混ぜ、シソ味噌にしても良いでーす」


「ずいぶんと料理の種類があるのねえ」


「ほんとうです! とても香りもありますし、生でも揚げても炒めても漬けてもいいなんて!」


「うん。いつも用意しておいてもいいくらいだよ。お茶漬けにちょっと入れても風味があるしね。さ、次は赤じそでーす。これも青じそと同じようには使えるのですが、赤い色が出てしまうので、青じその方が使い勝手がありまーす。ですが、逆に赤色を生かした料理の場合、青じそには無い使い方ができまーす。まずは、梅干しを漬ける時に、塩揉みした赤じそをたっぷり一緒に漬け込みまーす。すると、とってもキレイな赤い色が梅干しに付きまーす。そして、梅干しに使った赤じそは、少し乾かしてからみじん切りにして、干物魔法でカラカラにすると、ゆかりふりかけという、ご飯のお供になりまーす。このゆかりは、ピクルスや酢の物に入れてもキレイな色が着きますし、甘酢に入れて寿司飯を作るとキレイなピンク色になりまーす。そして、ゆかりを混ぜたご飯でおにぎりを作るのもおすすめでーす。さらに赤じそは、漬物に使うと赤い漬物ができまーす。まず、ナスとキュウリを食べやすい大きさに切りまーす。適当に塩をして重石を乗せ、塩漬けにしまーす。塩漬けができたら、水気を少し切って、梅干しの時と同じように塩揉みした赤じそをたっぷり混ぜて、塩と酢を入れ、重石をしまーす。数日経ったら、柴漬けの、完成です! これは、独特な風味の漬物で、定食のお供に、お茶うけにと、使い勝手もいいでーす。塩を強めに効かせて置けば日持ちもしまーす。柴漬けを漬ける時に、酢の代わりに梅干しの梅酢を少し入れても、風味が増して色もキレイになるのでおすすめでーす」


「これは……とても紫色のお漬物ね」


「ほんとうです……」


「ハハ 見た目は変わってるように見えるかも知れないけどね、美味しいんだよ。柴漬けもね、紫葉漬けっていうのが語源なの。むらさきはづけって言ってたらしいよ。さ、続きまして、赤じその真骨頂! まずは洗った赤じそを鍋にいっぱい入れまーす。そこに、鍋の半分くらいの水と、水と同量の砂糖を入れまーす。そして電気ポット魔法で鍋を沸かしまーす。圧力鍋魔法だと、加熱し過ぎになるので気をつけてくださーい。鍋の中の湯が沸いたら、それ以上加熱はしませーん。中の赤じそがクタクタになって、赤い色が抜けて葉っぱが緑色になっていたら、煮汁と葉っぱに分けまーす。葉っぱはコンポストしてくださーい。そして、煮汁がすごい色になっているので、そこへレモン汁を多めに入れまーす。すると、みるみるうちに綺麗な赤色になりまーす。これを冷まして、徳利に入れて保存しまーす。はいこれで、シソジュースの、完成です! これはシソジュースの原液でーす。水で5倍に薄めると、シソジュースになりますし、バニラアイスに少しかけるとシソアイス、シソジュースをゼリーにすると赤いゼリーに、イモダンゴなどに少し加えると、薄赤色のダンゴに、白あんに混ぜて水分を飛ばせばピンク色のシソあんになりまーす。また、焼きあがったケーキに塗るシロップにしても良いですし、ゆかり同様、甘酢に入れたり、寿司飯に入れたり、ピクルスに入れたりするとキレイな色になりまーす。そして、甘酢と混ぜて、茹でたイカを入れて置くと、ピンク色の酢イカという食べ物になりまーす。これは、切ると中が白くて外はピンクで、とってもキレイでーす」


「んまあ! 本当にピンク色と白色ね」


「はい! とても華やかな食べ物です!」


「うん、酢イカはおつまみにもいいしね、酢の物に混ぜてもいいし、何より日持ちもするからね」


「酸っぱい水産物なんて、なにか不思議ねえ」


「そう言えば、そうですね!」


「そっかな。ま、ワカメの酢の物以外だと、あまり作って無かったかも。エビとかも甘酢につけたり、カニだって酢をつけて食べたりもするんだけど、紹介してなかったかな。ま、赤じそはいったん終了しまーす。次は、同じシソ科のバジルでーす。バジルは主に、洋食に使いまーす。一番相性がいいのは、トマトでーす。ピザを作る時、具は控えめにしてチーズとともにちぎったバジルを乗せて焼くと、マルゲリータというピザになりまーす。そして、バジルを山のように用意し、そこへオリーブオイルをドバドバ入れ、塩と山椒粉とトウガラシパウダーを少し、味醂と砂糖も加えて石臼魔法でペーストにしまーす。これで、バジルペーストの、完成です! これは、茹でたスパゲティに絡めて食べると、スパゲティバジリコという料理になりまーす。ジャガイモのニョッキに混ぜてもいいですし、オムレツにかけても、バターと一緒にパンに塗っても、マヨネーズに混ぜてバジルマヨにしても、蜂蜜と混ぜて鶏肉などに塗って焼いても、ドレッシングに混ぜてバジルドレッシングにしても美味しいでーす。少し癖がありますが、生のままサラダで食べても美味しいですし、ベーコン炒めに生の葉を入れてもいいですし、トマトスープに入れてもいいでーす」


「これは、シソとは風味が違うのかしら。匂いは違うようだけれど」


「そうですね、何か梅干しとは合わないような気がします!」


「うん、洋風に合うね。シソよりも風味があるからね、万能ではないかな。さ、同じようなので、オレガノがありまーす。これは、野菜ではなく、ハーブやスパイスとして、少量だけ使いまーす。これも、トマトと相性が良いので、ナポリタンソースに混ぜたり、スープに少し入れたりしまーす。乾燥させて使うのがおすすめでーす。そんなには使用しないので、これは適当に栽培するのが良いでしょう」


「これは、バジルよりもさらに癖がある感じねえ」


「ほんとうです……確かに少しだけで充分な気がします……」


「うん、入れすぎると結構きついからね、気をつけて。さて、お次はオリーブでーす。オリーブのメインは油でーす。なので、ぶっちゃけ、油を搾って、カスを家畜飼料にするだけで、使い方としては充分なのですが、少しだけ、他の使い道も紹介しまーす。まず、オリーブの実を塩漬けにしまーす。以上でーす」


「それだけなのかしら?」


「うん、こんなもん。この塩漬けのオリーブは、種をとって刻んでサラダに混ぜたり、スライスしてピザのトッピングにしたり、後はせいぜいタルタルソースに入れたり、ピックを刺しておつまみで食べるくらい。僕はそんなに好きじゃないからね、別に無くてもいいかな。オリーブは油のためにあると思ってるからさ~」


「そうなのね」


「では、オリーブの実の塩漬けは、少量の生産で様子を見る事にします!」


「うん。ワインと相性がいいからね、もしかしたら、好きな人は好きかもね。さ、オリーブオイルに移りまーす。オリーブオイルは、風味のあるオイルでーす。一番使うのは、スパゲティでーす。そしてドレッシング、サラダでーす。トマトとの相性が良いですし、チーズとの相性も良いでーす。そして、地味に鰹節との相性もいいので、鰹節に醤油を混ぜたおにぎり用の鰹に、少しだけオリーブオイルを混ぜたりしても、変わった感じで、それなりに美味しいでーす。揚げものにも使えますが、揚げたものが全部、オリーブオイルの風味になるので、そんなに使いませーん。後は、水産物との相性も良いでーす。エビやイカを食べやすく切って小鍋に入れ、オリーブオイルをたっぷりかけて、ニンニクを丸ごと入れて、弱火でじっくり火を通せば、海鮮アヒージョの、完成です! 後は、スパゲティの時にでも、別に教えたいと思いまーす」


「この、あ、あひい」


「アヒージョね。オリーブオイルでね、揚げるんじゃなくて、煮るの。強火だと揚げ物になっちゃうからね、弱い火で低温で煮るんだよ。ま、カロリー高いし、油っぽいし、僕はそんなに好きじゃないんだけどさ、ワインとかお酒に合うから、好きな人は好きかも知れない」


「確かに、油まみれです!」


「そうよね……なにか、体の中まで油だらけになりそうよね」


「ま、少しだけ作って、一口二口食べる、みたいな感じがいいかも知れないね。グラタン皿に材料入れて、オーブンで適当に加熱する作り方だとさ、少量でも作れるし、オーブンに入れっぱなしで完成するからね、それはそれで楽かも知れない。さて、最後は、ゴマでーす。ゴマは、ちょろちょろと出てきましたが、ここでちゃんと教えたいと思いまーす。まずは、ゴマを皮付きのまま、オーブンで焼きまーす。極厚に剥いた皮部分を石臼魔法でペーストにしたら、黒ゴマペーストに、皮を剥いた中身だけ同じように処理したら、白ゴマペーストの、完成です! 黒ゴマは以前に教えましたね?」


「はい! ゴマダンゴに使いました!」


「はい。黒ゴマペーストの使い方は、主にそれでーす。後はパン生地に混ぜて黒ゴマパンにしたり、砂糖と万能ダレを合わせたものを茹でた野菜に和えて、胡麻和えなんかにも使いますが、胡麻和えの場合は、ペーストよりも粗い摺りごまの方が使い勝手が良いでーす。オーブンで焼いた後、石臼魔法では無くて、スライサー魔法で細かくカットしたら、摺りごまの、完成です! これは、胡麻和えに使いますし、味噌と混ぜたり、スープに入れてゴマ汁にしたり、酢の物に混ぜてゴマ酢和えにしたりしまーす。皮を剥いた白ゴマも同じですが、白ゴマペーストの場合は、麺つゆと混ぜた後に甘酢も少しだけ入れて、ゴマダレで使う事が多いでーす。これは、茹でた薄切りの豚肉と生野菜にかけて食べたり、鍋物のタレに使ったりしまーす。しゃぶしゃぶと言って、牛肉や豚肉の極薄切りを鍋の湯にさっとくぐらせて食べる鍋料理のタレとして使うのが、一番美味しいかも知れませーん。後は、ドレッシングと混ぜてサラダでも美味しいでーす。ゴマも、オリーブよりは使い勝手がありますが、油を取ると言うのが、一番の目的でーす。ですが、美容にも良いので、食べるのもおすすめしときまーす」


「な、何ですって!」


「はいはい。摺りごまをたくさん食べてね。摺りごまと砂糖を混ぜたものをダンゴにかけても美味しいからね」


「ダンゴは偉大です!」


「ハハ ほんと、ジョーンはダンゴが好きだよね」


「はい! モチモチして、優しい味で、何にでも合いますし、煮ても茹でても焼いても揚げても、甘くても汁物でも、おやつにもおかずにもなります!」


「言われてみれば……ま、イモダンゴだからね……本物のダンゴもあるんだけど……」


「ほ! ほ! ほ!……ほんもの?」


「あら、ミチイル、ジョーンが固まっちゃったじゃないの。本物のおダンゴがあるなら、教えてあげればいいのではないかしら」


「うん……まだ無いの。いや、厳密に言えばね、米粉があるからさ、米粉というか上新粉のダンゴは作れるんだけどね……ま、ちょっと品種改良を頑張ってみるよ。じゃ、今日もたっぷり料理があるけど、お昼ご飯にしよう。ま、一応お供えもしとくか」


「そうね、ダイニングに移って、いただきましょう」


「ほ! ほ!」


「ジョーン? 大丈夫?」


「んもう、早く品種改良してあげてちょうだい、ミチイル」


「う、うん、わかった」




***




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