表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
208/237

3-31 美容品革命

で、取り敢えずキッチンカーでラーメンを販売する事にした。


もちろん、一食500円。基本的に具はチャーシュー2枚くらいにアオネギだけね。海鮮とかは、キッチンカーでは無し。贅沢だしさ、ちゃんとしたキッチンじゃ無いと無理でしょ。


なので、キッチンカーで各自が売るラーメンは一種類限定。違う味のは、別な人のキッチンカーで食べてねって感じかな。


うどんの屋台も始めてたから、スープで食べる麺類への抵抗も特に無いし、普通に売れているらしい。ただ、ラーメンを一日に2回以上食べるのは禁止。栄養バランスが悪いからね。ラーメンだけを常食したらさ、栄養失調になるもんね。


ま、始まったばかりだからさ、これから色々頑張って。


それとね、オール(じい)ズの皆なんだけどさ、もう第一線では働けなくなってね、シルバーセンターに移ったんだって。元気は元気で相変わらずらしいけどさ、せっかく老人施設ができたからね、皆で引っ越ししたらしい。


考えてみれば、僕が20歳だからね、トム爺たちは70歳くらいでしょ……まだまだ元気だとは言っても、そりゃ第一線では無理だわ。でも、お迎えが来るような気配も全然ないらしいからね、ちょっと安心。シルバーセンターでもさ、色々出来ると思うしね、別に仕事をしちゃダメって事はないんだもん、趣味の延長として適度に頑張って欲しいな。


そしてさ、伯母上が貴族学校を作りたいんだってさ。


平民は、10歳で職業学校へ行くでしょ、でも貴族は行かないから。


それでね、職業学校の代わりに、貴族学校が欲しいんだって。そこで、貴族としての色々な教育をするんだって。


伯母上とキャンティが中心となって、貴族学校を運営していくらしいよ。ま、そんなに貴族の人数も居ないはずだけどさ、これから男爵とかは増えていく可能性があるし、新たに作った南区もさ、今は商店街とシルバーセンターしか無いけど、市街地を作ったりしたら、子爵も必要になるかも知れないしね、後の事を考えれば、まあ貴族学校があってもいいとは思う。


今の貴族の総人数は、500人とか600人くらいらしいからね、一学年でも20人も居ないレベルだろうけど……取り敢えず、校舎が出来るまでは、セルフィン公爵邸で教育するらしい。どんだけやる気満々なんだろう……


どんな教育をするのかは分からないけどさ、ま、頑張って欲しい。


さて、今日は蜜蝋の残りを……




***




「さあ、母上。これから蜜蝋関係の仕上げをしたいと思いまーす」


「パチパチ!」


「さてさて、最初は蜜蝋を使って一品。まずは、化粧水を用意しまーす。そして、蜜蝋を圧力鍋魔法でさっと融かし、お好みの化粧油、今日はグレープシードオイルを混ぜて、そこへお好みの化粧水を適当に入れて、温めながら石臼魔法で良く混ぜまーす。そしたら、これをクリームジャーに詰めて、はい、美肌クリームの、完成です!」


「んまあ! び、美肌ですって!」


「うん。この蜜蝋はね、保湿効果が高いの。だから肌がカサカサしている時なんかにね、これを薄ーく塗るとね、保湿されて肌がプルプルになるよ」


「お、お肌が……ぷ、ぷる……」


「うん。ま、母上には必要ないんじゃないかな。でもさ、すこし歳を取ったような人だとさ、肌の油分が少なくなったり、肌のセラミドだか何だかの成分とかが少なくなったり、コラーゲンとか色々が減るからね、それの代わりって言うか、そんな感じかな」


「ん、んまあ! それなら高潤クリームね!」


「まあ、そうかな。好きな香りをつけたり、色も少しくらいはつけたり……あ、そうだ、空になった魔石のガラス石とかを微粉末にして混ぜたらいいかも知れない。ちょっと微妙に違うかも知れないけどさ、似たような原料でファンデーションとかだった気がする……あ、そういえばカニの殻も原料になったんじゃなかったかな。カニの殻の白い部分だけを抽出して微粉末にして、クリームに混ぜるとか……うん、多少は使えそう」


「ミチイルは、ほんとうにゴミを使うのが好きなのねえ」


「いやいや、いつも言うけど、ゴミじゃないの! ま、試してみよう。まずは空の魔石で……ピカッとね。そして、カニ……の殻は今は無いから、カニ本体を使おう。皮むき器魔法でカニの殻を取り出して……殺菌消毒魔法を一応かけて……さらに白い部分だけを抽出、あ、一応加熱でもして置こうかな。圧力鍋魔法でがっつり加熱して、干物魔法でカラカラに……そして石臼魔法で微粉末に。さあ、蜜蝋と美容オイルと美容液と、この微粉末を混ぜて、クリーム状にして……はい、ファンデーションの、完成です!」


「何か、クリームが白っぽくなったわね……それに……クリームは見るからにしっとりな感じだったけれど、これは、どちらかと言えば白い土なのでは無いかしら……」


「うん、まあね。でもこれをね、顔とかに薄ーく叩きつけるとね、肌が白く輝くんだよ」


「な、何ですって!」


「白く輝くの! 肌が!」


「な、なんですっ」


「はいはい、どっか遠くへ行かないでね、母上。後が大変だからね。このファンデーションは、カニのキチン?だか何だかも入っているし、白い粉になってるし、マイカだったか雲母だったかの代わりにガラス石の粉だからね、白くなるのと光るのが入っているの。だから、肌に薄く乗せておくと、白くも見えるし輝いても見える……はず」


「し……ひ……か……」


「うん、白く、光り、輝くの。さて、パフみたいなのは無いから、化粧筆でも作ろう。牛の耳とかの柔らかーい毛を使って、料理刷毛魔法で密度みっちりの化粧筆、ヘイ! ピカッ はい、これで筆ができたから、これでファンデーションを少し擦り取ってね、お肌にポンポンでもいいし、サラサラでもいいし……試してみたら?」


「え、ええ。……ポンポン……サラサラ……ポンポン……ミチイル、自分では見えないのだけれど」


「ああ、そうだった。はい、手鏡」


「ありがとう。……! 何かしら! これ! 私の肌が!」


「うん、いつもキレイだけど、もっとキレイになったんじゃない?」


「キレイなんてものでは無いわ! 光っているもの!」


「うん。作り方は見てたでしょ? 色々研究してみて」


「わかったわ!」


「それじゃ、続きをやりまーす。まず、蜜蝋を温めるのは一緒で~ そこに色花の赤色で粉を作って~ そして融けた蜜蝋に~ 混ぜてーの、クリームジャーに入れて―の、はい、口紅の、完成です!」


「これは……真っ赤ね……口?べに?」


「うん、口紅って言ってね、唇に塗るの。指で少し取ってね、唇につけてみてよ」


「え、ええ……想像もつかないけれど……ヌリヌリ……まあ! とっても明るくて、キレイじゃない!」


「うん。オレンジ色とかもいいかもね~ 青とかは止めた方がいいかな。顔色が悪く見えるかも知れないしね」


「ええ! 赤とオレンジね!」


「まあ、それに少し黄色を混ぜるくらいはいいかも知れないね。あ、赤と白を混ぜるとピンク色になるよ」


「何ですって! 神24のお花の色になるのですって!」


「うん。ちょっと母上の歳じゃどうかと思うけどさ、若い人とかなら似合うかも?」


「何ですって! 24歳のわたしではダメだって言うのかしら!」


「い、いや、ダメ……じゃないけどさ、うん。どうしても実年齢にイメージが引っ張られちゃうんだよね~」


「実年齢は24歳なのだもの、何も問題は無いわね!」


「……さ、ついでに、色花も使おうかな~ これはさ、元々は紅花っていう食用の花と同じだと思うんだ~ 取り敢えず、花を干物魔法で乾燥させて~ 電気ポット魔法でお湯を沸かしてティーポットに乾燥した花びらを入れて~ ティーカップにコポコポ……はい、紅花ハーブティーの、完成です!」


「んまあ! これはなんてエレガントでステキな……お紅茶?」


「ううん、茶の葉っぱは使ってないからね、ハーブティーって言うの。ポリフェノールが豊富だしね、白は多分色が出ないだろうから……それでも色も11色あるしね、体にも美容にもいいし、見た目もキレイでおしゃれでしょ?」


「んまあ! 美容とおしゃれは切っても切れない関係ですもの、それはとても重要な要素よ。ほんとうにキレイでステキ!」


「うん。あ、面白い事もできるよ、ちょっと待ってね。青い色の花でハーブティーを作って~ レモンの輪切りを入れまーす。見ててね」


「あら? あらあら? 色が……どんどん変わっていくわ……んまあ! なんてステキ! 赤色に変ったわ!」


「うん、面白いでしょ? こんなのもおしゃれじゃない?」


「ええ、とってもとってもステキよ! 貴女会で披露したら、カンナは腰を抜かすわね!」


「んもう、あんまりカンナを驚かせないでよ、母上。もう結構な歳なんだからさ」


「あら、カンナは若いもの、大丈夫よ」


「でも、もう60歳でしょ? お祖父さまと同じ歳なんだから」


「……そう言われてみれば……でも、全然そんな歳に見えないわよ」


「うん、僕もそう思うけどさ」


「大丈夫よ。体の中からも外からもキレイになっているのですもの、見た目の年齢が実年齢なのよ!」


「はいはい。それでさ、色花も色草と同じく染料にもできるしね、種から油も取れるから、そろそろ大々的に栽培開始してもらおう。それにね、ティンクチャ―も花から作れるしね、なにより花びらは食べられるの。このままサラダにしてもいいしね、さっと茹でて和え物とか、お浸しとかね。あ、そうそう、花を天ぷらにしても美味しいんだよ」


「お花を……食べるだなんて!」


「今までは花を摘んじゃうとさ、実が生らなくなるから、して来なかったんだよね。でも、カボチャの花とかも食べられるんだよ。で、紅花も食べられるからさ、花を摘んだら種ができなくなっちゃうけど、たくさん育つからね、食べきれないくらいだもん、遠慮なく使おう」


「そうだったのね……この色々な色のお花をサラダに入れたら、キレイでしょうねえ」


「うん。あ、そうだ! お菓子もあるよ。ちょっとまって、直ぐに作るから。えっと、卵白に水を混ぜて~ 良くかき混ぜて~ 花を浸して~ 少し乾かして~ 砂糖をたっぷりまぶして~ 仕上げに干物魔法で、はい、花のクリスタリゼの、完成です!」


「きゃーー! とってもキラキラして、とっても色がキレイで、ステキー!」


「でしょ~ これはこのまま食べてもいいし、紅茶に浮かべてみたりさ、クッキーに貼り付けてみたり、ケーキの飾りにしたりね、見た目もキレイだし、おしゃれじゃない?」


「それに、く、くり」


「クリスタリゼね」


「クリスタリゼ……なんてエレガントでゴージャスな名前なのかしら!」


「うん、ちょっと御大層な名前だけどさ、母上が好きそうなバージョンを選びました! 本当は、砂糖漬けって言うんだけどね」


「いいえ、これはクリスタリゼよ。それ以外は認めません!」


「はいはい。どう? 母上。母上が喜びそうなものを取り揃えてみたんだけど」


「ええ! さすがはわたしのミチイルよ! 絶対にステキなものをわたしにくれるもの! いえ、別に物が欲しい訳では無いのよ、わたしはミチイルさえ元気で居てくれたらそれで充分なのだけれど、それでも、それ以上のことをしてくれるわ! わたしはほんとうに幸せ者よ!」


「ハハ 取り敢えずさ、今日の色々でしばらくは楽しめるでしょ?」


「ええ、そうね。早速農業部に大増産の指令を出さないといけないし、色々研究もしないとならないし、美容品制作の練習に……大変! 忙しいわ!」


「ま、寝不足とかだけはやめてよね、僕、後が本当に大変なんだからね、わかった?」


「はーい」




***




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ