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3-29 シルバーセンター

取り急ぎ、シルバーセンターを作らないと。


しかし、寿命が延びて長生きするようになると、それはそれで色々出てくるんだね……


どのくらいの規模の建物が必要なのか……増えた人口分は子供なんだから、元々は二万人くらいの人口で……あ、混血の民も居るか……ま、いいや。二万人が60歳まで生きるとすると、同じ歳の人がざっくり400人くらい……その人たちが10年長生きしたとして……4000人!


そっか……4000人とかの生活が不自由な老人が……居るかも知れないんだ……はあ、僕ってほんと、抜けてるよね。


ま、言っていてもしょうがない。老人が全員住むとは限らないから、取り敢えず、500人が住める老人ホームじゃなかったシルバーセンターを4つ建てよう。




***




「さて、今の首都は中央に貴族区があるから変則的な作りだけど、作り足していく区は、普通に街道に沿わせて設置しよう」


「いまのまちの、東とか西とかのあきちは、つかわないのですかー?」


「うん、マーちゃん。いずれは使うかも知れないけどね、今回は南を使う。首都から南へ通勤している人が大多数だからね、その通勤途中にシルバーセンターを作ったらさ、そこに立ち寄りやすくなるでしょ。行きに年寄りを預けて帰りに連れて帰るとか、シルバーセンターで暮らしている親の様子を見に帰りに立ち寄るとか、そういう人の流れができて欲しいからね」


「ほわー、かんがえることがたくさんですね! さすがすくいぬし様でーす!」


「ハハ じゃ取り敢えず道路で1平方キロメートルを囲って、中を1ヘクタールに小道路で区画整理して……はい、南区の、完成です! ま、増えていくなら南西一区とか、そんな名前にしよう。さて、南北街道沿いの土地は将来の商業用地で開けて置いて……今の健康ランドは複合公共施設だから、やっぱりそれが基本だよね。それにオーベルジュの寮の部屋みたいなのを公営住宅クラスの建物でつけようかな。えっと……500人が住むとなると……夫婦の人も居るかも知れないし……300部屋でいいかな……学園寮の時は廊下の左右に15部屋、みたいな感じだったから……部屋は10畳一部屋に……うん、この30部屋分を基本にして、これを10棟、健康ランドの建物の周りに接続しよう。そして一棟につき一か所、システムキッチン付き談話室リビングと集合トイレも付けて……お風呂は健康ランドで入ってもらって……うん、これでいいかな。じゃ行くよ!」


ピッカリンコ………………


「うわー! いつもすごいですー」


「うん、そうだよね……僕の力じゃないんだけどね。ま、これでシルバーセンターが4つできたから、後は伯父上にやってもらおう。従業員も必要だからね。そう言えばさ、マーちゃん、前から聞きたいことがあったんだ」


「なんでしょうか!」


「うん、マーちゃん達は蜂蜜をくれるでしょ? その蜂蜜ってさ、本来は自分たちの食べ物じゃない? 子供を育てたりとかさ」


「はい! けんぞくたちはそうですけど、みつだけをたべているのではないでーす。ですからみつがあまるのでーす」


「そう言えば、クーちゃん達が集めた木の実とかも食べるって言ってたっけ……それでさ、ハチって巣を作るイメージなんだけどさ、ハチの眷属たちは巣を作っているの?」


「おおきくなったけんぞくは、巣がひつようありませーん。こどものうちはひつようでーす」


「あ、そうなんだ。だから離宮の部屋で普通に過ごしているって話なんだね。じゃあさ、蜂蜜は普段はどこに溜めているの?」


「みつをためておくためのいれものをつくりまーす。でも、そのいれものはふたもないので、もちはこぶとみつがこぼれてしまいます……べたべたするいれものですし……」


「それで、蜂蜜を入れる容器が必要だったんだね」


「はい!」


「それでさ、そのハチの眷属が作る入れ物、蜜蝋だったりしないのかな?」


『はい、救い主様。ハチ共は蜜蝋を作成可能でございます』


「ああ、アイちゃん、やっぱりそうなんだね……その蜜蝋って余ったりしていない?」


『どうなのだ? ハチ!』


「は、はい! いくらでもよういできます!」


「そうなんだ! じゃあさ、その蜜蝋も材料で貰いたいんだけど……ある程度の量でいいからさ、定期的に」


『迅速に用意せよ! 良いな! ハチ!』


「か、かしこまりました!」


「ハハ ありがとう。じゃ、南区の南北街道沿いに店舗を建てちゃうね。えっと、路面店で……長屋タイプで……今のキッチンカーが50台だから、取り敢えず50店舗。調理スペースと、飲食スペースと販売スペースに、ミニサニタリー付きの休憩室でいいかな。はい、ピカピカピカ、これで、商店街の、完成です!」


「おみせ?がたくさんです!」


「うん、じゃあ離宮に戻ろうか。マーちゃん、よろしくね」





***




後のシルバーセンターの運用は、伯父上に丸投げした。


そして、新たに南区に作った商店街の店舗には、今、キッチンカーで営業している人たちに入居してもらう。


空いたキッチンカーを使って、新たに、おにぎり、おでん、焼き鳥、コロッケ、うどん、どら焼き、まんじゅうの屋台を始める事にして、その募集と許可とか決定も、もちろん伯父上に丸投げ。


これで、選択肢も広がるしね、楽しみも増えるだろう。


商店街は、似たような業種が集まっちゃったけど、この先、キッチンカーでうまく営業している人に入居してもらい続けて行くからね、街道の向かい側に新たに商店街を建てて、そこに移動してもらうとか、そんなのを繰り返して行けば、適当にバラけていくだろう。


そして、現在の健康ランドのレストランは、お金が必要な販売形式に変更。給食が必要な年寄りはシルバーセンターに行ってもらうし、託児所も兼ねている健康ランドだから、レストランの昼間は普通に給食を出すけどね、夕方からは居酒屋に。


ま、居酒屋は別な建物を用意してもいいんだし、今は公営住宅も設備が整っているからね、老人とは違って、給食が無いと死んじゃうような民もあまり居ないと思う。どうしても給食が欲しい人は、昼間に健康ランドに行けば給食は食べられるしね、乗り合いコーチでシルバーセンターにでも行ってもいいし、それはどうにかしてもらおう。


さて、キッチンカーでコロッケを販売する事にしたし、魔道具でも作ろうかな。




***




「オーブン魔道具はさ、温度を設定はしてないんだよね。だから最大出力のオーブントースターみたいな使い方なんだけどさ、魔法陣に温度とかを仕込めば、温度の設定もできるんじゃないかなって思うんだけど、どうかな? アイちゃん」


『はい、救い主様。魔法陣は理を指定するものでございますので、もちろん可能であると思料致します』


「だよね~ オーブン魔法180℃とかって魔法陣なら、多分その温度になるよね」


『左様にございましょう』


「じゃさ、オーブン魔道具をさ、大きな鍋に変更してさ、そこに温度を指定した魔法陣を仕込めばさ、中の水とか、その温度になるはずだよね。それでさ、お風呂用の給湯器が出来るんじゃないかって思うんだ。今の給湯器はさ、大きな釜の下で魔石を燃やしているからさ、別に何も問題は起こって無いけど、何となく火が出ない給湯器が良いかなって思うんだよね~ 電気温水器みたいな感覚でさ、ボイラー室が灼熱地獄にならない感じの給湯器、作っちゃおう!」




***




さて、取り敢えず露天風呂から……って言うかさ、これは既にお湯を沸かす道具だからさ、このままこのボイラーに魔法陣をつけちゃおう。ペルチェ金属板に温度が50℃になるオーブン魔法の魔法陣を記入して……さ、これを魔石ともども貼り付けたら完了だ~ ピカッとして、密閉シーラーで接着して……あ、もう下の魔石コンロ部分は要らないよね。消火して収納して置こう。


はい、高温にならない温水器魔道具の、完成です!


これは、今の公営住宅の小さい給湯器に、そのまま貼り付けるだけで良いから、大量生産して配給してもらおう。オーブン魔道具と殆ど同じ魔法陣だけど、オーブンの本体を作る必要が無いからさ、ペルチェ合金とかも作らなくてもいいし、小さいペルチェ金属板に魔法陣を掘るだけだもんね……って、それが大変だろうけど、ま、魔法陣を作成する練習にもなるでしょ。


オーブン魔法用著作権金メダルも、もう5枚増やして置こう。これで、オーブン魔法陣を作れる人が10人に増えるからね。


さて、離宮の中の給湯器はあと二つあるから、それも新型魔道具にバージョンアップさせて置こう。


ま、魔法陣を接着するだけだからね、すぐ終わるし……


「すくいぬし様! みつろうがとどきました! どこへおきますかー?」


「あ、そうなの? 取り敢えず僕の研究室に入れて置いてくれる?」


「かしこまりました! けんぞくたち、よろしくー」


「じゃ、さっさとバージョンアップさせて、一度研究室に戻ろうかな」




***




「これが蜜蝋か~ ハニカム構造じゃなくて、なんか板状なんだね」


「はい! このいたで、いろいろつくっていますので!」


「そうなんだ。取り敢えず、小分けして収納して置こうかな。それで、これを金属のボウルに入れて……圧力鍋魔法で少し加熱……お、ちゃんと融ける! ま、蝋だもんね。それで、この融けた蜜蝋に……アイテムボックスに溜まっているオレンジの皮から、オレンジオイルを抽出して……と、そんで、グレープシードオイル少しと蜜蝋に混ぜる~ そんで~ ガラスで小さなクリームジャーを作って~ コルク栓の蓋を用意して~ オレンジオイル入り蜜蝋を熱いうちに流し入れて~ はい、練り香水の、完成です!」


「これはなににつかうのですかー?」


「うん、これはね、手首の裏とか耳の裏とか、そういう所に薄く塗るとね、体からいい匂いがでるものなんだよ~」


「ジュースのにおいがしまーす!」


「ハハ マーちゃんはオレンジジュースが好きなんだ?」


「はい! みずうみのしょくぶつよりも、とてもおいしいので!」


「あ、そっか。品種改良したからね、オレンジとかは。元のままだと確かにフルーツというより、酸っぱい木の実だもんね、あんまり美味しく無いかも」


「はい! おれんじはおいしいでーす」


「じゃ、レモンと~ 母上が好きだから、茶の花のオイルと~ あ、バニラオイルのも作ろうかな。見た目が区別つかなくなっちゃうから、適当に食紅魔法で薄めの色もつけとこう。さて、ピカピカピカ……はい、これで再び、レモンとジャスミン風とバニラの練り香水の、完成です! そして、アロマキャンドルも作っちゃおう! これは練り香水と違って硬いままでいいから、蜜蝋とアロマオイルとリネン芯でいいよね~ あ、小さなグラスで作ったら、おしゃれじゃない?」


『はい、救い主様。とても良いのでは無いでしょうか』


「ハハ アイちゃん、本当はどうでもいいんでしょ~?」


『その様な事はございませんが、私めは匂いを感じる事が不可能でございますので、一級天使どもが少しだけ、うらやまし』


「ああ! アイちゃんならさ、匂いを感じなくても、他の人には絶対に分からない成分とか分かっているんでしょ? それってさ、匂いを嗅ぐよりすごいよね~ ね、マーちゃんもそう思うでしょ?」


「は、はい!」


「あ、アイちゃん、いつもありがとう! さ、母上にプレゼントして来ようかな~」


『救い主様の、御心のままに』




***




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