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3-17 ひらがな

「文字を増やそうと思うんだ。今までのはカタカナって言う文字なんだけど、ひらがなも増やす。これも表音文字でね、カタカナと完全に対応しているから、50音表を覚えていれば、それをそのままひらがなにするだけなの。曲線が多いから少し難しいんだけどね、絵とかも描いたりし始めるからさ、ひらがなも行けると思うんだ。これを見てくれる?」


「……これは、確かに50音表と同じ感じですね。カタカナと似ているような文字もありますね」


「うん。殆ど同じのもあるね。ひらがなを使うとね、カタカナだけよりも文章が読みやすくなるから。まあ、そんなに劇的に何かが変わる訳では無いんだけどね、文字の種類が増えると、色々選択肢が広がるからさ。ゆくゆくは少し漢字も使いたいから」


「漢字……と言うのは……確か紙幣に書かれていた模様ですね」


「うん。あの文字ね。ま、とっても難しいからそれはずっと後でいいんだ。だから、取り敢えずひらがなの勉強もして欲しいの。シェイマスとかなら、このひらがなの表を見るだけで覚えるはず。それで平民学校の授業にも取り入れて欲しいの。もちろん、民にも覚えて欲しいからさ、前の時みたいに仕事の時に業務として覚えてもらっていいと思う。このひらがなの表を焼き印でコピーして、民に行きわたるようにしてもらえる?」


「かしこまりました」


「それとさ、他にも魔法の授業を始めて欲しいの。今は子供たちの魔法はどうなってる感じなの?」


「はい、各家庭で生活魔法をメインに親が教えているものと思います。職人の魔法は、それぞれ学校を卒業後に見習いに入ってから、各職場で教えているはずです」


「ま、そうだよね。それをさ、学校である程度の魔法を教えるようにしたいの。魔法には結構適性っていうかさ、得意不得意があるんでしょ?」


「はい。全員が全ての魔法を使える訳ではありません」


「僕はそこら辺が良くわからないんだ。でもさ、学校である程度の魔法を教えるようになったらさ、見習いに行く前に、自分の適性がわかるじゃない? そうすればさ、職業も選びやすくなると思うんだ」


「そうですね、それはとても良いと思います」


「学校の校舎は余裕があるでしょ? 各区にひとつ学校を建てたから。後は教師の問題だけど」


「魔法に関しては、職人なら誰でも自分の仕事の魔法は使えますから、各適性に応じた職人を学校へ派遣すれば良いと思います」


「うん、そうだね。そのうちに、教師っていう学校の先生の職業とかも作ればいいよ。子供とかに教えるのが好きな人とかがさ、出てくると思うんだよね」


「そうですね、既に子供相手に授業をするのが好きな人材も居りますので、そういう民は今も平民学校で授業をしてもらっています」


「うんうん、いいね。それで魔法の先生と、美術の先生がプラスね。そしてさ、平民学校を卒業したら、職業学校とかに進学できるようになればいいなと思ってるんだ」


「職業……学校……」


「うん。今は見習いに行くでしょ? それを各個人の希望や適性に合わせてね、ある程度は学校で仕事を教えるの。そうするとさ、どんどん民が暮らしやすくなるじゃない。自分は向いていると思っていたのに、いざ仕事を始めてみたら、ちょっと違うかも?とか思う人も居ると思うんだけどね、そういう人を減らせるでしょ。職業学校に通っている間に気づけるからさ」


「それは、とても素晴らしいと思います」


「うん。だからね、学校の重要性が高くなる。それで今は一年間だけ学校に行くけどさ、それを2年間とかにしてね、職業学校を1年プラスしたり、魔法学校とかを作ってもいいし、何なら貴族学校とかがあってもいいけどさ。……うーん、そうだね……今までと同じ平民学校のカリキュラムは最初の一年間でやって、次の一年間で美術と魔法とかにしたらどうかな」


「そうですね、子供の数はどんどん増えていますしね、学校に通っている間は家庭で面倒を見る者が必要ありませんし、学校に通う期間が長くなることは、良い事のような気がします」


「うん、そうだよね。普通はコストとかがかかるからさ、簡単にはできないんだけど、この国では全員公務員っていうか、全員国の仕事をしている状態だからね、割とやりやすい。じゃさ、今は10歳になる歳に一年間……一月入学にしたんだっけ?」


「はい。それぞれ10歳になる歳の1月に入学としました。まだ二年目ですから、これを変更しても特に問題はありません」


「うん。じゃあさ、8歳で平民学校に入学して、最初の一年間、一年生の時には今と同じカリキュラムを、二年制になったら、美術と魔法の授業を開始にしようか。そして9歳で卒業して、10歳の一年間を職業学校にすれば、見習いも今までと同じ歳で開始できるしね、いいんじゃないかな。今の平民学校の人はさ、申し訳無いけどそのまま。今年8歳になる子から始めてくれる?」


「かしこまりました」


「そして、職業学校はさ、各部門一つだけ作ろうかな。取り敢えず、製造地帯に色々まとめて一か所でしょ、そして工業地帯にも一か所、一応海産部にも小さいのを作ろうか。そうすれば、それぞれの職人に先生をしてもらえると思うし」


「かしこまりました。この職業学校は、今の平民学校の子供たちが卒業してから稼働しますか?」


「いや、もう作っちゃおう。そして、最初の一年は子供に限らず、民が自由に使えるようにしてさ、正式に稼働するのは来年からって事でどう?」


「いいと思います。ですが、学校の建物が」


「ああ、それはもちろん僕が建てておくから、心配しないで。じゃないと建築してる間の時間がもったいないからね」


「恐れ入ります。宜しくお願いします」


「いやだなあ、もう。一応僕も王家の一員なんだからさ、働いて当然でしょ?」


「クックック そうでした。では、人員の手配は私がしますので、職業学校の校舎をお願いします」


「はーい!」




***




という事で、まず製造地帯の空き地に、大きい校舎を建築。農場地帯とか牧場地帯とかは外で勉強する機会の方が多いと思うけどさ、調理とか服飾とか、そういうのは場所が必要だもんね。工業地帯に建てた、廊下と教室の間の仕切りが無いオープンタイプの校舎を建てた。


かなり大きい学校にしたよ。将来的には1000人くらいは通うかも知れないからね。一学年1000人くらいになるでしょ、7万人とかの国になったら。平均寿命も延びてるしね。


そして工業地帯の学校は500人規模で、海産部の学校はエレベーター前の養殖池の所に小規模に建てた。海産部は一番従業員が少ないからさ。海産部も水産部とかに名前を変えた方がいいかも知れないね。ま、組織名は任せよう。


あ、教科書も作る事にした。


基礎的な魔法の呪文が書いてある教科書に、レシピの教科書。僕が色々やっているせいで、この国の仕事は食べ物関係に偏重しているからね……


レシピ教科書は、調味料の作り方とかがメインだけどさ。


ともあれ、これで合計3年間、子供の教育を国が行う事に。前世の感覚だと短い期間だけどね。




***




「救い主様、只今お時間よろしゅうございザマスでしょうか」


「ん、どうしたの? クーちゃん」


「はいザマス、新たな服が完成しましてございザマス」


「ああ、ありがとう。これはまた……絹の服だね」


「はいザマス、北のねぐらで飼っている虫の絹でございザマスが」


「眷属たちは黒いドレスでしょ? 虫の絹は黒いんじゃないの?」


「はいザマス。ですが、それに精白魔法を致しザマス」


「ああ、それで白くなったんだ。という事は、これに食紅魔法で色も付けられるんだね」


「左様でございザマス」


「でもさ、僕は別に絹じゃなくてもいいんだ。貴重な絹なのに、もったいないじゃない」


「黒いドレスが何万着もございザマスので、その布地を再利用致しておるのでございザマス。ご心配は必要ございませんザマス」


「ドレスが何万着も?」


『はい、救い主様。救い主様の民をこの地で受け入れるために、あらかじめ衣食を準備させていたのですが、この一級天使は、あろう事か、服の準備を全てドレスにしていたのでございます。きつく灸をすえましたので、何卒ご容赦をお願い致したく存じます』


「は、はいザマス……本当に申し訳ございませんのでございザマス……」


「ああ、クーちゃんたちは美しいドレスが普段着だもんね、ズボンなんて必要なかったんだから、気にしないでね。そっか、その在庫を有効活用してくれていたんだね、じゃあ、遠慮なく服を作ってもらおうかな」


『是非、存分にお使いくださいませ、救い主様』


「うん、アイちゃん。クーちゃんも、そうしようね!」


「あ、ありがとうございザマス!」


「……しかし、昔はダボダボしていたのに、クーちゃんが活躍するようになってから、体型にフィットした服が多くなったね」


「はいザマス! ドレスの技術を応用致しましてございザマス!」


「ありがとう。ダボダボは前から少しだけ気にはなってたんだ。でも、こういうのって、立体裁断?とか何とかいうのかな、手間がかかりそうだけど」


「左様でございザマスが、一度型紙を作ってしまえば、後は型抜き魔法で裁断するだけザマスので、大変効率が良くなりましてございザマス。救い主様の偉大なる御業でございザマス!」


「ああ、本当に魔法は汎用性が高いよね~ でも、眷属たちは魔法が使えないんでしょ?」


「左様でございザマスが、救い主様のおっしゃるところの、身体強化魔法は使っておるのでございザマス。作業は速いので、問題は無いのでございザマス」


「ああ、そうなんだ。という事は魔力は放出できるんだから、何か魔法が使える手段とかもあるかも知れないね……そう言えばさ、ドレスは布に解いて使っているの?」


「はいザマス」


「それだと端切れが出るんじゃない?」


「左様でございザマス……」


「それってさ、そのドレスを原料にしてタコ糸魔法を使えばさ、普通に糸に戻ると思うんだけど」


「 ! そ、それは本当でございザマス?」


「うん、多分ね。それにさ、絹100%だと高級だけどさ、普段使いには高級すぎるでしょ? そのドレスを原料に糸にする時にさ、綿も一緒に使ってタコ糸魔法を使えばね、多分、絹と綿の混紡糸ができる気がするんだよね。そしたら、普段の服にもしやすいかなと思うんだ」


「 ! な、なんと! なんと素晴らしいザマス! さすが救い主様でいらっしゃるザマス! 正しく神の御業でございザマス!」


「ハハ 確認はしてないからさ、試してみてよ。そしたらせっかく用意してくれた虫絹も無駄にならないしね」


「かしこまりザマス! ありがとうございザマス! 山のように服を縫い、救い主様に献上致しザマス!」


「ハハ ほどほどにね~」




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