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3-13 カナン北部

さて、すっかり放ったらかしにしちゃったけど、今日は湖と植物を確認しようと思う。




***




「じゃ、北へいこう! よろしくね、マーちゃん」


「はい、おまかせくださーい!」


「わたくしも、お供させていただきザマス!」


「クーちゃんは、母上と一緒じゃなくていいの?」


「マリア様は、ドレスの制作でお忙しくなさっておいでザマスので、眷属どもが居れば充分かと思いザマス。それに、湖の中の事は、マーちゃんには分からないのでございザマス」


「え? そうなの?」


「はい、すくいぬし様……ぼくたちは、みずうみのなかには入れません……」


「ああ、そうだよね、雨はともかくとしても羽が濡れちゃうもんね」


「それもございザマスが、湖の中には、わたくしたちのエサがございザマス。そのエサを獲るために眷属が湖に入るのでございザマスから、マーちゃんよりもわたくしの方が、湖の事は適任でございザマス!」


「湖にエサが……」


「はいザマス。わたくしとマーちゃんは、エサは特に必要がないのでございザマスが、眷属どもには、魔力以外にも多少はエサがある方が、都合が良いのでございザマス。ですので、大昔に女神様がエサをご用意くださったのでございザマス」


「そうなの? アイちゃん」


『はい、救い主様。経緯について私めは存じませんが、この地にエサとなるものが生息して居る様でございます』


「ま、いいか。じゃ、マーちゃんもクーちゃんも、よろしくね」


「はい!」「はいザマス!」




***




シュタッ!


「すくいぬし様~ つきました!」


「ありがと。前に上からチラッっと見ただけだけど、まあ湖っていうか、池?」


『左様でございますね、救い主様。南北10km東西30km程度の池でございます』


「そっか。ここって、深いの?」


「はいザマス。底に沈んでしまえば、二度と出てこないザマス」


「ええー! ちょっと危ないじゃない。ここには立ち入り禁止にしないとね。資源場から10キロ以上もある感じだし、大丈夫だと思うけどさ、塀でも作るかな。ここにブロック塀があったらさ、眷属たちは困る?」


「ぼくたちは、なんともありません!」


「わたくしの眷属どもは壁も登れるのでございザマスので、救い主様のお好きになさいませザマス」


「あ、ああ、クモだもんね……ドレスが乱れちゃいそうだけど……大丈夫かな?」


『救い主様、そのような些末な事など、一切考慮の必要はございません。救い主様の御心のままに。よいな! クモ!』


「は、はいザマス!」


「ハハ じゃ、東から西まで、壁を作っちゃおう。えっと、ここは北端からどのくらいの位置なの?」


『はい、およそ2~30km程でございます』


「この湖からは南に10kmくらいでしょ、そして湖が南北10kmくらい……とすると、眷属たちの本拠地は南北20kmくらいあるんだね?」


『エリアはそのくらいかと思料致しますが、湖の向こう側に見えている植物帯が南北10km程ございますので』


「ああ、向こう側の植物は結構な広さで生えているんだね。ま、眷属たちの本拠地にも近づいて欲しくないから、とにかく壁で囲っちゃおう。さて、見えて無いけど、北端から南へ30kmの地点に、東から西までの継ぎ目のない高めの壁! ピカッ」


「かべがあらわれましたー!」


「いつ見ても、神の業でございザマス!」


「ハハ じゃ、いよいよ湖へGO!」




***




「ま、池だね。流れ込む川も無ければ、出て行く川も無ければ滝も何もない……どこから水が湧いているんだか……あ、もしかして、巨大な井戸じゃない?」


『さすがは救い主様であらせられます! 正しく、井戸スキルと同じ構造の湖のようでございます』


「という事は、魔力が源泉って事だよね。ここに、エサ? 生き物?が居るの? それとも水生植物?」


「生き物が居るのでございザマス。少々お待ちくださいませザマス、眷属どもに獲って来させるザマスので。さあ、行くザマス!」


「あ、別にいいよ、眷属たちのエサなんだし」


「さあ! 救い主様にエサを大量に献上するザマスよ!」


バシャバシャバシャ……ポコポコ……ザバーン!


「救い主様、大変お待たせ致しましたザマス、これがエサでございザマス」


ピチピチ サカサカ ビタンビタン


「……えっと、これがエサ?」


「左様にございザマス」


「名前はなんていうエサ?」


「恐れながら救い主様、エサはエサでございザマス……」


「ああ、そうか。いやさ、これって人間が食べられるかな?」


『はい、救い主様。このエサどもは、それぞれ魔獣の様でございますが、家畜の時と同様に、一切の問題も無く召し上がれると存じます』


「えっと、誰かが食べた実績とかあるの? アイちゃんもあまり知らない感じの生き物みたいだけどさ」


『私めも、このカナンの状況は細かくは見ておりませんでしたが、このエサどもは、どうやら地球から持ち込まれたものが魔獣化したものの様でございます。アブラハムよりは古い時代のようですので、私めも実物を見るのは初めてでございます』


「えっと、要するに女神様が用意してくれた地球原産の生き物で、それが魔力をエサにするように変化した、って事だよね?」


『左様にございます。ですので、実績は無くとも救い主様が食するのには影響はございません。確証はございませんが、データでは、そうなっております』


「ま、毒とか無いならいいや! だってさ、これってちょっとサイズが大きいけど、どっからどうみてもエビとイカとカニだもんね!」


「エビ……イカ……カニ……でございザマスね!」


「うん、そう決めよう! ちょっと食べてみたいんだけどさ、クーちゃんの眷属たちはどうやって食べているの、これ」


「救い主様……食事風景をお見せする事は……大変な事になってしまいザマスが……よろしいのでございザマス? お覚悟は」


「ああ、ごめんごめん! 食事風景は絶対に見ないし覗かないからね! いや、調理法って言うか、そんな感じの情報が欲しかったの」


「安堵致しましたザマス……このエサは、そのまま食すだけにございザマス」


「ああ、うん、わかったよ。でもさ、前にエビとか海産物は無いって言ってたでしょ? アイちゃん。ここにあるじゃない!」


『恐れながら救い主様、このエサどもは、海産物ではございませんので』


「えっと、この湖は……あ、井戸スキルと同じなんだったね……という事は海水が吹き上げてるんじゃなくて真水なのね……だからこのエビとイカとカニは海産物じゃない……うん、確かにそうだね……フッ」


『救い主様、もしか致しまして、私め、何か非常な粗相を致しましたでございましょうか……申し訳ございません、かくなるうえは、そこら』


「あああ、アイちゃん、大丈夫! 大丈夫だから。いや、淡水エビと淡水イカと淡水カニだもんね! アイちゃんは正しいよ! じゃあ、取り敢えず圧力鍋魔法で蒸して食べてみよう! さ、ピカッとね!」


「あ! すくいぬし様! あかいいろになりました!」


「本当でございザマス! このような色になるとは、知りませんでございザマス!」


「ま、エビとカニはもちろん、イカも皮は火が通ったら赤っぽくなるよね。ま、取り敢えず食べてみよう……って、殻とか皮むき器魔法で剥けるよね、それっ」


「まあ! エサの中身は透明なのは見た事がございザマスけど、このように白く赤く美しいのでございザマスね!」


「うん。じゃ、いただきまーす! パクッ お、塩味は無いけど、紛れもなくエビイカカニじゃん! とても大きいし! ねえねえ、このエビイカカニは、増やせると思う?」


『魔力で生きて成長するものでございましょうから、井戸の水に入れて置けば勝手に増えるものと思料致します』


「ああ、そうか! この湖の水と同じだもんね、井戸の水。じゃあ、石プールの養殖池をつくって、入れて置けばいい? 勝手に飛んだりしてどっか行っちゃわない?」


『勝手に自ら水から出たりはしないようでございます』


「みずからみずからでない……あ、要するに、養殖池に入れて置けば、心配は無いって事だよね~ うんうん、じゃあさ、悪いんだけどクーちゃん、このエビイカカニをさ、生きたままある程度の数が欲しいんだ。これを持って帰るからね」


「かしこまりザマス! さあ、眷属ども、行くのでございザマス!」




***




「さて、海産物じゃなかった水産物もアイテムボックスに収納したし、植物をチェックしようかな~ じゃ、お願いね、マーちゃん」


「はい! すくいぬし様!」


シュタッ!


「ここが、しょくぶつのところでーす」


「おお……えっと、花が結構咲いている以外は、エデンの園と似ているけど……命の木と、ブドウと桃と、蘭の花は一緒だよね?」


『左様の様でございます』


「後は……なにか色々植物があるけど……」


「すくいぬし様! ぜんぶあつめさせますので、すこしおまちください! さあみんな、しょくぶつをあつめて!」


パサ ドサ ハラリ


「えっと、エデンの園と一緒な奴はいいとして……色とりどりのキク科っぽい花、紅花かな。紅色だけじゃないけど。それに……シソ科っぽい、葉っぱ? 色がたくさんあるけど、色以外は同じ葉っぱな感じ。それに……どうみてもオリーブにしか見えないけど、実の色が……ん? 匂いも……なんかゴマっぽい匂いのもある。そして……これまた色の種類があるけど、豆だね。大豆と違って、でんぷん質っぽいと言うか、少しだけ柔らかい感じがする、詰まってないというか。うん、色んな豆になる可能性がありそうね。そんで……これは柑橘の何かだね! うん、柑橘! これは品種改良が楽しみ~」


「すくいぬし様、ぼくたち、やくにたちましたかー?」


「うん、とってもとっても役に立ってるよ! これで、ここにある植物は全種類かなあ?」


「はい、そうだとおもいまーす!」


「そっか。でもさ、前に色々試した時にはさ、お取り寄せできなかったんだけどさ、ここにあるじゃない? なんで?」


『はい、救い主様。救い主様がこの地に足を踏み入れる前までは、この地の所有権と言いますか、占有権が一級天使共にございましたので……申し訳ございません。かくなる』


「ああ! そうだったよね! 誰かの物は、お取り寄せできないからね! うん、そういうシステムだから仕方が無いよ、うん。で、今は僕たちがカナンにいるから、誰のものでも無くなったんだね~」


『いえ、この島は全て、救い主様の物でございますので、ご安心ください』


「いやいや、僕は要らないけど」


『ですが……既にそのように記録されていると存じますが……』


「ふう。ま、いいや。僕が死ぬまでだろうからね、取り敢えず、良しという事にしておこう」


『…………』


「そう言えばさ、クーちゃんたちは木の実とかを僕たちのためにたくさん用意してくれていたって聞いたけど、それは、ここの実?」


「左様でございザマス! 乾燥させて、大量にご用意しておりますザマス!」


「そっか。ありがとう。僕さ、ここの植物を品種改良したいんだ。せっかくクーちゃんたちが集めてくれた実なんだけど、そんなに大量に?」


『はい、救い主様。数万人が幾日も食べられる量を用意させましたので』


「ああ、そうなんだ。ありがとう。どうしようかな……勿体ないから、アイテムボックスに仕舞っておくか……」


「お気遣いの必要は何もございませんザマス! 集めた木の実は、眷属どものエサになりますザマス!」


「うん、ぼくのけんぞくの、ごはんになりまーす!」


「あ、そう? じゃ、無駄にならない? 腐らない?」


『乾燥させて置けば、問題ないと存じます』


「でもさ、雨とかで濡れるじゃん?」


『その点は問題ないな? 一級天使共!』


「は、はいザマス! 地面を掘りました収納穴に保存してございザマス!」


「はい! すくいぬし様! なにもしんぱいはいりませーん」


「ああ、よかった。じゃ、眷属たちで無駄にしないように食べてね。ここの植物と湖はね、人間達は使わないからね、今まで通り、マーちゃんクーちゃんたちの自由にしてね。僕は今日、持って帰ったのを品種改良して使うから」


「はいザマス!」「はーい!」


「じゃ、これで全部が手に入ったなら、離宮に戻ろうかな~ 帰りもよろしくね!」




***




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