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3-10 国の土台完成

首都移転は無事に完了した。


なので、仮首都は全部撤去して、更地に。


そして、製造地帯も、予定通りに牧場地帯と果樹園の間に新設移転。大規模健康ランドと、服飾、パン製菓、調味料、醸造、食肉加工、消耗品の各工場とコーチ駅、そして物流センターを建設し、工業以外の製造拠点とした。各工場は、1000人くらいが働けるように、今までよりも全て大規模にしたよ。


そして、新設製造地帯は牧場地帯の北に隣接しているからね、牧場地帯の人達も普通に使えるから。仕事の都合で泊まろうと思えば健康ランドに泊まれるしね。


それに、この製造地帯は首都の南端から5kmも無いしさ、健康ランドもあるから平民住居は作らなかった。乗り合いコーチも使えるし、歩いても通勤できるだろう。


そうそう、乗り合いコーチの駅もね、カナン王国のポイントに設置した。首都の中は、各区の健康ランドに併設で、この製造地帯も健康ランド併設、後は、森林地帯の離宮入り口に工業地帯ね。この間を、10人乗りコーチが乗客が居なくなるまで、ずっと往復する。もう輸出もしないからね、乗り合いコーチも数を増やした。ま、ルートに不都合があるなら、いい様に変えて行ってくれるだろう。


そして、役目を終えた農場地帯よりも南側は、全て更地にし、資材はリユース用に加工して、首都建設の時に用意しておいた資材が置いてある首都郊外に積み足しといたよ。


これで、エレベーターから農場地帯までの間の6kmくらいが完全に更地に。土のむき出しはどうかと思ったから草も一応戻して置いた。これで、農場を広げたくなっても、南へ広げられる。と言ってもさ、東西方向にも何キロメートルも土地があるからね、そっちにも広げられるんだけどさ。


そして、カナンに来て以来、ずっとほったらかしだった海岸を整備。


避難所が10棟あったから、半分に減らして、残りの半分を加工施設と冷蔵設備にし、舟も作り足して桟橋に、エレベーターまでの道路も作った。牛の囲いや牛舎は避難してきた時に作ったからね、そのまま。牛もコーチもそのままエレベーターに乗れるからね。これで、漁業部も通常営業ができるだろう。ただ、舟で北方面や大陸には近づかないように、舟はあくまでも沿岸で鰹を獲るためだけに使用するように厳命したよ。エデンに知れたら、せっかくの新天地がどうなるかわからないからさ。ま、舟を漕ぐ手段も無いからね、心配はないとは思うけど。


そして、一番北にある、工業地帯も再整備。


取り敢えず、北部工業団地時代の物をそのまま出してあるだけだったからね、これを一新した。学校タイプは変わらないけど、より大規模に1000人以上が働ける工場に、鋳造所、鍛冶場、木工場に、大規模な物流センターに小規模な健康ランド、そして、平民用の公営住宅もある程度、1000人くらいが住める感じで建設。ここは北村だね。


さあ、ようやくこれで、神聖カナン王国の土台が完成!


カルデラの南にあるエレベーターから北へ、6kmは更地、農場地帯、牧場地帯、製造地帯、果樹園、首都、森林地帯、工業地帯とエリアも分かれた。北の工業地帯から、南の農場地帯までは南北20km程度。コーチで1時間もかからないからね、以前の神聖国よりもコンパクトで、でも必要充分で、かつ将来の拡大も可能な、とっても素晴らしい国土になったと思うね!


で、僕は疲れたよ。


と言ってもさ、カナンに来てからまだ2か月くらいんなんだけどね……


ちょっとゆっくりしようかな。




***




「さて、料理でもしようかな。……はあ、なんかほっこりするものが食べたいよね……和食かな。でもねえ、この世界じゃあんまり材料も無いしね……なんかさっぱりとした、梅おにぎりとか、そんなのが食べたい気がする……梅とは言わないけどさ、アンズとかあれば、梅干しが作れるんだけど……ん? アンズじゃないけど、桃が……あるよね。いわゆる桃になっちゃったらフルーツだけどさ、小さいうちに摘果した桃なら、梅干しができるんじゃない?」


『はい、救い主様。私めの地球データによりますと、梅の実大の大きさの桃で、梅干しを作る事もあるようでございます』


「ええ! そう言えば、外国で梅とかが手に入らないと、スモモとかプラムとかアンズとかで梅干しのようなものを作って食べるって聞いた気もするけど……ま、試してみようかな~」




***




「中庭はリンゴがあるしね、同じバラ科だから何か悪い影響があってもイヤだからさ、とりあえず屋敷の表側にでも、桃を植えてみよう。花壇も無いしね、花代わりにもなるでしょ。季節も無いから、きっと年じゅう桃の花が咲くと思うしね。はい、では、エデンで手に入れた桃の種を一粒、地面に植えてーの『促成栽培で直径3cmの青い桃!』 さあ、ヨロ!」


ピッカリンコ ニョッキリ


「おお! 当然だけど、見た目はあんまり梅と変わらないよねえ、桃も。ま、花もそっくりっちゃあ、そっくりだしね、とりあえず、収穫っと。さてさて、キッチンへ戻ろう。あ、このままじゃ寂しいから、促成栽培でもう一回花を咲かせましょう! ピッカリンコ! では、お元気で!」




***




「さて、見た目は青梅っぽい硬い桃の実がある訳なんだけど、普通は水にさらしてあく抜きするよねぇ。種に毒があるって事だけど、杏仁豆腐の杏仁もさ、アンズの種でしょ、アーモンドとかも食べるし、そんなに気にしなくてもいいかな。んじゃ一応、水にさらして数時間分ピッカリンコして、ちょっと干物魔法をかけて乾燥させようかな。水気が飛んだら、計量器魔法で重さを計って……お、10kgくらいはあるね。んじゃあ、この世界には腐敗菌も居ないし、低塩の10%で漬けちゃおう。赤しそは無いけど、別に白梅干しでいいよね、ま、食紅魔法で赤くしてもいいけどさ、とりあえず自然のままに漬けてみよう。さて、甕に梅じゃなかった青桃と塩を交互に入れて、中ブタ作って、その上に漬物石をドン! おわ? 甕魔法で作った赤茶色の甕に漬物石だよ! 本来の魔法の使い方じゃんね~ さてさて、準備も終わったから、2か月くらいピッカリンコして、と」


「あら、ミチイル、何を作っているのかしら」


「うん、梅干し」


「うめぼし……何か、割と、どうでもいいような気分になる言葉ね」


「ああ、女神様は好きじゃ無いのかもね。でも、さっぱりして美味しいんだよ。おにぎりの具とか、和え物の衣とかに使うし」


「そうなの。じゃ、頑張ってちょうだいね」


「うわ、テンション低っく! まあ、いいや。さてさて、お、良い感じに漬かってる! 一応ザルに広げて少しだけ干物魔法で乾かして、っと。さ、おひとつ……うっ、ちゃんと酸っぱくて梅干しだ! まあ、酸味は少な目だし、少し桃の風味がするようなしないような感じだけど、充分梅干しだよ。うんうん、これでいいよね。あ、梅酢も徳利にでも入れて、一応とっておこうかな。ドレッシングとかにも使えるしね。そして、軽く干した梅干し……まあ、梅じゃ無いけど、これは梅干しね! はい、決定! この梅干しは、茶色い甕に入れて、はい、梅干しの、完成です!」


「すくいぬし様! これはおいしいのですか!」


「うん、マーちゃんには美味しくない気がする……って、そうだ、半分は蜂蜜をかけておいて、蜂蜜梅にしよう。マーちゃんありがと!」


「は、はい……」


「さて、半分は蜂蜜をたっぷりかけて、味醂と酢も少し加えて、少し時間を進めてピッカリンコ。さてさて、んー、とっても美味しい蜂蜜梅! はあ、何だか懐かしいなあ。何も無い無いとか言ってないで、もっと工夫をしないとね、無いものを欲しがってもダメじゃんね! さあ、梅干しを細かく裁断して、干物魔法でカラカラに! あ、そうだ、ワカメもサッと湯通しして裁断してから干物魔法でカラカラにして、削り節とカラカラにした梅も全部混ぜて、はい、梅ふりかけの、完成です!」


「おつかれさまです!」


「はい、ささ、次は、種を取った梅干しを、味醂と一緒に石臼魔法でペーストにして、はい、練り梅の、完成です! さささ、次は梅干しをスライサー魔法で細かく叩いて削り節と混ぜて、はい、かつお梅の、完成です! ささささ、次は、梅と蜂蜜と味醂と酢と昆布茶を全部石臼魔法でペーストにしたら、梅ドレッシングの、完成です! さてさて、次は梅干しとマヨネーズを石臼魔法でペーストにしたら、梅マヨネーズの、完成です! うほー、梅バリエーションが!」


「ミチイル! ありがとう! うれしいわ!」


「え? 今度は何~?」


「わたしのために神24シリーズの原料を供給してくれたのでしょう? 離宮の目の前にあるなんて! 原料が取り放題だわ! わざわざ果樹園から取り寄せなくてもいいもの!」


「えっと、桃……かな?」


「もちろんよ! って、何をしていたのかしら? なにか、たくさん色々な物があるようだけれど」


「うん、梅のレシピをね、色々試していたんだよ」


「あら、梅、なんてものが、あったかしら……」


「ええとね、厳密には梅じゃないんだけど、離宮の正面に植えた桃のね、若い実を漬物にしたの。少し酸っぱいけど、美味しいんだよ」


「あら、お漬物だったのね。……なにか、あまりステキな見た目では無いけれど」


「うん、地味な色だよね、でも美味しいよ。蜂蜜梅でも食べてみる?」


「ええ、頂くわ」


「じゃ、番茶と一緒に食べようか。お供えはしなくてもいいかな。では、いただきまーす」


「ハム……あら? 少し酸っぱいけれど、なにか爽やかなお味ね……頭がすっきりするような気がするわ……」


「うん。酸味があるからね、それに少しだけフルーティな風味もあるし。梅干しはね、抗酸化作用と言って、体を若く保つ効果もあるしね」


「何ですって! どうしてそれを早く言わないの! まあ! なんだかとてもすっきりとした味わいで、体の中がキレイになった気がするわ!」


「まったく……あんまり食べ過ぎないようにね。塩分もそれなりにあるからね」


「わかったわ! とりあえず、何十個くらい食べたら効果があるのかしら?」


「だから! 一日一個だけね! 梅干し料理は、まあ別に計算外にしてもいいけどさ」


「なんですって! 若返る料理ですって!」


「いや、そこまでは言ってないけ」


「んまあ! 大変よ! 今晩は早速それにしましょう! さあ、わたしは何をしたらいいのかしら!」


「んもう、母上。別に何もしなくていいよ、僕がするから。じゃさ、今日の晩御飯は和食にしよう。梅干し料理もちゃんと作るからね」


「さすが、わたしのミチイルね! 楽しみだわ~ うふふ」




***




「さて、ご飯は炊くとして、梅と昆布のお吸い物に、梅ドレッシングサラダでしょ、サラダは千切りダイコンとオニオンスライスに削り節でもかけよう。それと、メインは……鰹の刺身とかもいいけど、鰹は漁獲がまだそれほどでも無いかも知れないから、梅を挟んだチキンカツにしようかな。さてさて、鶏むね肉を薄く開いて、中に練り梅を塗って、閉じてカツにしよう。ソースは、あ、梅入りタルタルソースかな! うん、とってもいい感じの梅尽くし料理」




***




「ミチイル、そろそろ晩御飯の時間じゃないかしら?」


「うん、用意できてるよ。今日はね、梅尽くしの和定食です! じゃ、出すね。あ、一応、お供えもして置こう」


「まあ! とっても美味しそうな和食ね。この料理は、全部に梅干しが使われているのかしら?」


「うん、ご飯を炊くときにも梅干しを一個入れたからね、ご飯にも梅が入っているよ!」


「んまあ! それじゃ早速、いただきましょう」


「うん、いただきまーす」


………………


「……それでね、わたし…………」


「アハハ」


「うふふ、そうなのよ…………」




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