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3-7 首都建設

雨が日中でも降るようになった。


でも、土砂降りにはならないみたい。さっと降って水たまりも出来ずに、すばやく地中に浸みこむ程度なんだってさ、アイちゃんが気候を計算してみた結果ね。ま、深夜の雨が日中にも降るようになったって以外は、そんなに変化も無かったっぽい。


取り敢えず、資源は確認できたしね、資源が不足する事も無さそうだから、カナン北側の確認は落ち着いてからに後回しして、新首都の建設を始めよう。建設予定地は、果樹園と森林地帯の間の空白地。南北10kmで空き地にしてあるからね、そこの中央を首都にする。


まずは、例によって道路から。今は大街道が南北に敷いてあるだけだから、取り敢えず一旦道路を剥がす。そして、大街道と同じ規格の大きな通りで1平方キロメートルずつ囲う感じにして、東西南北3kmで合計9平方キロメートルの首都用地を、南北大街道を中心線とする辺りに作った。首都の南端からは4km南下すれば果樹園ね。北も4km行けば森林地帯。


南北の大街道は、首都を貫通はしないの。なので、完全に迂回して首都を通り抜けてもいいし、危険が無ければ街中を通ってもいいよ。大街道を首都方面へ進んだら、居住区域にぶつかっちゃうから直進はできないけど、街中の道路自体は大街道と同じ規格だからね。でもま、首都に向かう運送がほとんどになるだろうから、首都を通り抜ける機会は少なくなると思う。もう何も輸出もしないからね、消費地は首都だもん。


で、周りを1平方キロメートルの8つの区に囲まれた中心部、ここは貴族区だけど、そこを整備しよう。とりあえず、貴族区の道路に面した外周部分を0.5ヘクタールに区画して、男爵屋敷にしよう。男爵屋敷は、旧ジェームズ邸と同じ建物でいいかな。この男爵屋敷を30家分建てる。部屋が足りなかったら増築でもなんでもしてもらおう。


そして、男爵家群の内側には、道路を挟んで敷地が1ヘクタールで旧ジェームズ邸と同じ建物で部屋数が2倍の屋敷を子爵屋敷にして、10家分建設。


子爵屋敷の残りの区画とさらに内側には、伯爵屋敷を敷地2ヘクタール、僕の別邸と同じ建物で、部屋の広さは半分、でも部屋数が2倍の伯爵屋敷を10家分。


貴族区中心部の辺りには、道路で囲まれた敷地面積4ヘクタール、オーベルジュ寮と同じ建物で部屋数を半分にした侯爵屋敷を2家分。


その近くには、もちろん道路付き敷地面積8ヘクタールで、豪華なオーベルジュ寮と同じ感じの建物の公爵屋敷をひとつ。


最後は、貴族区の真ん中に東西南北500mの敷地、道路で囲った25ヘクタール分に王宮を建てる。


王宮は、オーベルジュのスキルが解禁されたときにさ、本当は可能になっていたんだけどね、もう憂いも何もないし、二階建てにしよう。


まず、直方体の建物は変わらずだけど、玄関を端っこじゃなくて中央に持っていき、石畳道路も敷いて、玄関には屋根付き車寄せも作ったよ。玄関というか、でかい王宮入り口両開きドアを開けると、広い玄関ホールが吹き抜けに。そして吹き抜けにはなぜかシャンデリア……意味不明。そして、玄関ホールには二階に上がる階段を左右に分かれるように配置してみた。王宮と言えば、こんなイメージでしょ。そして、一階の右に続いている廊下を行けば、トイレと洗面所、謁見室に、応接室やサロンが数室に中広間、保管庫など。左に続いている廊下を行けば、大広間にサロンに食堂にキッチン。一階はパブリックスペースだね。


二階は、プライベートスペース。一階とは違って廊下を挟む感じで、多くの客室・居室にサロンにサニタリー関係を数か所かな。僕の別邸は一部屋が広すぎたからね、王宮は一部屋25畳、40平方メートルくらいを基本にしてみた。一階中広間は80坪くらい、大広間は長細い200坪くらいでシャンデリア付き。魔石の交換はどうするんだろうね? ま、面倒くさいから、後で適当に確認してもらおう。この世界には音楽も何もないけどさ、大広間では舞踏会がギリギリ開けるかな。ま、そんな予定も無いけどね。


二階は、客室やサニタリーとかを別にして、個室が30部屋。これだけあれば、お祖父さまも分家も一緒に住めるでしょ。王家は総勢でも20人も居ないんだからね。建物の両端には、二階へ上がるスロープを付けた。階段じゃ厳しいお年頃の人も、いるかも知れないしね……


王宮の内装は、部屋の床は暗めの赤絨毯、廊下と壁は大理石風、屋根は天井板張りで木材三角屋根に銅板瓦葺き。銅の瓦ってさ、経年劣化すると緑色で高級な感じになるからね、とっても王宮らしいと思うよ。内装の木材は、母上もお気に入りのダークブラウンだからね。白っぽい大理石の壁に、ダークブラウンの木材が随所に使われているの。とってもとっても豪華でおしゃれじゃない?


しかし、一階の広間には柱も無いし、二階には水回りとかもあるんだけどさ、どうなってるんだろうね?




***




『はい、救い主様』


「ああ、アイちゃん、いや、わかってるよ、魔法ですので、でしょ~」


『左様でございます』


「ま、地震とかも無いだろうしね、継ぎ目も無い石や木材だし、密閉シーラー魔法でくっついてるんだもんね、きっと問題ないはず、うん」


『一切の問題はございません』


「ハハ それよりさ、シャンデリアがあるんだけどさ、きっと僕のイメージの所為なんだろうけど、これって魔石の交換とかスイッチを入れたりするのとか、めちゃめちゃ大変じゃない? 吹き抜けの上からぶら下がっちゃってるし」


『その点も解決されているようでございます。壁をご覧くださいませ』


「ん? あ、スイッチボックス的な? どれどれ、パカッ、おお、ここに魔石を入れて、このスイッチをぽちっとな、おお! 普通に電気と同じ感じに使えるんじゃん!」


『魔法でございますので』


「ハハ ありがと」




***




さて、もちろん他の部分の照明もスイッチボックスだったし、部屋には魔石暖炉も完備だよ。でも、暖炉は要らないかも。カナンは旧神聖国に比べて温かいのね。そして、窓はガラス窓にしてみた。木製の窓枠に板ガラスが、とってもとってもいい感じ! 後の家具類は、適当にそろえてもらって欲しい。とりあえず、いまの旧大公屋敷で使っている家具を運び入れて、当面しのいでね。僕、家具とかは作れないからね。


さあ、これで、この世界では初の2階建て、世界初のシャンデリア付き、ほぼ世界初のガラス窓で、建物の端から端まで200mくらいのシックで豪華で大きな王宮が、完成です! とってもとっても横に長い建物だけどさ……ま、敷地が広いんだから、これくらいはいいよね。僕は住まないけど、王族は歩くの頑張って欲しい。


後は、敷地の外側に執務棟を作っておこう。これはオーベルジュ寮と同じ建物でいいよね。そしてもちろん、鐘楼も設置。ここで鐘を撞けば、首都の端っこまで遠くても1.5kmくらいだからね、聞こえるんじゃないかな。騒音も無い世界だしさ。


ふう、あちこちに適当に空き地もあるけどね、これで貴族区は完了ね。後は、明日にしよう。




***




さて、次は平民の居住区だけど……8区設置の予定だからね。将来的には一区一万人が住める感じに、でも当面は一区あたり5000人として作って行こうと思う。とりあえず、1ヘクタールずつ小道路で囲って、と。


まずは公共施設だね。教会に、平民学校に、区役所付きレストラン兼公衆浴場兼幼老交流センターでしょ、もうこれはほとんど公民館付き健康ランドだよね、以後、健康ランドで! それと、配給所かな。これを各区にひとつずつ作ろう。教会も、オーベルジュスキルでステキに作っちゃおうかな。健康ランドは区役所もついているからね、これは大規模施設にして、配給所も一区当たり5000人分だからね、大型スーパーにしちゃおう。例によって貨幣経済では無いけどね。学校は普通でいいよね。一年しか通わないしね。


という事で、8区ある区の、貴族区側の道路沿いに、オーベルジュの高級教会と平民学校と乗り合いコーチ発着場つき大規模健康ランドと大型スーパーを作りました!


これで、どんなところに住んでいても、約1kmくらいも歩けばさ、区の公共施設には行けるからね、アルビノ人血脈なら歩いて数分でしょ、多分。公共施設の全部が貴族区の周りに配置されている方がさ、国の運営も楽でしょ。子爵と男爵に平民をまとめてもらうしね。新首都からは平民も魔石を使う事にするからさ、区役所とかで魔石を交換させるからね、そんなのを含めても健康ランドに行けば、たいていの用事は済んじゃうから便利でしょ~


そして、いよいよ平民の公営住宅に着手。


以前はシンプルな部屋がメインの住宅だったけどさ、今度は、サニタリーもつけようと思うの。


これからさ、どんどん国も発展していくだろうしさ、もう誰に遠慮も要らないしね、何もしたくない人は、健康ランドに行けばいいけどさ、もっともっと、各家庭での選択肢も増やしたいから。


でも戸建てにするほどは余裕も無いから、やっぱり長屋の平屋にするしかない。なので、日本のマンションみたいな間取りにしようと思う。


まずは、北側に普通に玄関でしょ、そしたら廊下があって、片側はサニタリーね。バンガロータイプの小さな浴室換気窓付きと、小さな洗濯場兼洗面所にトイレ。サニタリーエリアの廊下を挟んで反対側は、小さな窓付き北向き寝室が一つ。そして、玄関から廊下を進んだ先には、広めのLDKね。旧公都の時は真っ暗なリビングにしちゃったけどさ、今回からは魔石コンロを普及させるからね、排煙も窓だけあれば充分だから、端の窓側にオーブン無しの小さめシステムキッチンを配備して、その前がダイニングスペース、そして中央は南向きで大きな窓付きのリビングね。リビングの隣には、これまた南向きで窓付きの寝室だけど、ドアを二か所つけて、窓つきと窓無しの二部屋に分けられるような構造にした。ふすまのような板をはめて部屋を二つにしてもいいし、そのまま一つで使ってもいい。これで、一応は3LDKのマンションと遜色ない、一戸当たりの床面積が70平方メートル程度の平民住居のイメージが完成。


ざっくり、北側寝室が押し入れ付き六畳、LDKが12畳、南向き寝室は、そのまま使えば押し入れ付き10畳程度、分けて使えば、押し入れ無しの南窓付き6畳に、押し入れ付き窓無し4畳くらいかな。もちろん、各居室に照明付き。暖炉は要らないと思うからつけてないよ。夜でも寒くないからね、カナンは。ま、それでも今までの平民住宅から見れば、一気に時代が進んだでしょ?


小さいながらもお風呂もついているし、トイレも水道シンクもついたシステムキッチンもあるからね。部屋の数も広さも増えた。これで、かなりしばらくは、このまま住めると思う。なにせ、日本の現代のマンションと、そう遜色がない作りだからね。平屋の長屋だしさ、各戸の前にも裏にも庭のスペースもあるしね、逆に贅沢かも知れない。


後は、この見本の住宅を職人が作れるかどうかだけど……お風呂の給湯設備も、旧北部工業団地でも再現していたしね、照明は電球を設置すればいいと思うし、魔石コンロも建具も何もかも、職人で作れる。床と壁は相変わらず石のブロックだしさ、屋根は竹材で片屋根だから簡単だし、屋根の鉄骨すら必要ないからね。後は、井戸だけ1ヘクタールに一つ掘っておけばいいよね。


さ、例によって5戸長屋にして、もちろん区ごとにナンバリングもするようにしてもらおう。


取り敢えず、各区に一棟ずつ見本を建てておいたからね、職人たちには頑張って欲しい。


石材は、なにせ岩山で岩の壁に囲まれているカナンだからね、使いたい放題つかえるからさ。岩山の壁も、ずいぶんと厚みがあるしね、いくら石を使っても、山の壁が無くなることはなさそうだし。エレベーター前までは街道もあるからね、荷車で石材も運べるだろう。


あ、でもさ、この5戸長屋、職人達なら一日で一棟くらいは作れるとは思うけどさ、8区で同時進行したとしても200棟建てるのに下手したら1年くらいかかっちゃうかも……それはあんまりだから、やっぱり僕が三分の二くらいは建てちゃおう。一区辺りに……ああ、面倒だから、一区辺り150棟で750戸分建てればいいよね?


『はい、何も問題はございません』


「ああ、アイちゃん。そうだよね、みんなが早く引っ越しできる方がいいもんね! 残り50棟分とかならさ、職人達でも2か月もあれば建てられるしさ、新首都は森林地帯のそばだからね、木材も運びやすいしね! そうしちゃおう!」


『救い主様の、御心のままに』




***




――こうして結局、首都はミチイルの手により、ほとんど完成した




***




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