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2-27 スープの素

「さて、ではスープを試作してみますかね」


「ミチイル様! よろしくお願いします!」


「わたしも応援しているわね!」


「ハハ はいはい。焼き肉のタレは製造開始した? ジョーン」


「はい! 調味料を合わせるだけですので、問題ありません!」


「そう、南部にも配送されるようにお願いね。それとね、あの焼き肉のタレは、七輪で網焼きした肉だけじゃなくてね、フライパンで普通に焼いた薄切り肉とタマネギとかに絡めてね、その後にご飯の上に乗せたら、焼き肉丼とかになるから、給食とかで使ってみて。もちろん、平民家庭でも使いやすいと思うよ。肉と野菜をフライパンで焼きさえすれば、一食ができちゃうからね、便利なの」


「かしこまりました!」


「それにね、焼き肉のタレとマヨネーズを混ぜたりしても、ドレッシングになったりするからね、試してみて」


「さすが、ミチイル様ですね! 一つの調味料から色々展開されるので、深謀遠慮がすごいです!」


「調味料って、そういうものだからね。じゃ、早速スープを作ろう。僕は鶏ガラと牛骨を作るからさ、ジョーンは豚骨スープを作ってくれる?」


「かしこまりました!」


「ふふ ジョーンは豚骨スープの匠ですものね」


「獣汁だね」


「とんこつスープは魔法のスープですからね!」




***




「さて、スープが三種類できた訳だけどさ、このままスープの素にすると、油がすごいんだよね。でもさ、半練りっていって、粉じゃないスープの素もあるんだ。だから、とりあえず半分を取り分けて、半練りを試してみよう。もう半分は、そのまま置いておいて、油が浮いてくるまで静置ね。それじゃ、この鶏ガラからやってみよう。さ、濃縮魔法でピカッ」


「あ、ミチイル様! スープの量がとっても少なくなりました!」


「ほんとうね。スープっていうより、お味噌みたいな感じよねえ」


「うん。これをね、小さな缶かガラス瓶に入れて小分けして蓋をして殺菌消毒魔法ね。多分、塩分もあるし、常温でもそれなりに日持ちすると思う。ガラス瓶の場合は、使い終わったガラス瓶は集めて洗浄して、再利用してね。ガラスは、そんなに潤沢に原料が無いと思うし」


「かしこまりました!」


「それじゃあ、この鶏ガラ半練りをお湯で溶いてみよう。スープカップを三つくれる? うん、これにスプーン一杯ずつ鶏ガラ半練りを入れて、お湯のポットちょうだい、はい、ここにお湯を注いで、スプーンでよく混ぜまーす。じゃ、飲んでみよう」


「あら、ほんとうにスープに戻ったわね」


「ほんとうです! お湯を注ぐだけでしたよ!」


「じゃ、いただきまーす」


「まあ! これは本当に鶏ガラスープじゃないの! 鍋で普通に作ったものと、違いがわからないわ!」


「ほんとうです! これがあれば、あっという間に料理ができます!」


「うん。当然と言えば当然なんだけど、ちゃんとスープだね。ま、水分を減らした半練りの素だから、余計に美味しいんだよね」


「これは、麺つゆに続く、料理の革命ではないでしょうか!」


「うん、そうかも知れないね。じゃ、同じように牛骨スープと豚骨スープもやってみよう。豚骨の方は、ジョーンもやってみて」


「かしこまりました!」


「はい、どちらも普通にできましたー。これで、半練りの鶏ガラと牛骨と豚骨のスープの素が、完成です!」


「パチパチパチ」


「じゃ、残りの方をやろうか。こっちはね、粉にしたいから、上に浮いている脂をすくって減らすの。一晩くらい置いておけば、神聖国は夜は少し寒いくらいだから、上に脂が固まって白くなるからね、それを取り除けばいいよ。今日は時間が無いからね、一晩ピッカリンコ。はい、上に白く脂が浮いているでしょ、これを取っちゃいまーす。この脂はね、炒め物とかに使うと美味しいから。あ、目玉焼きとかね、この脂を使って焼くと、とってもコクがでて美味しいからね、捨てずに使って。従業員で持ち帰ってもいいよ」


「かしこまりました! ミチイル様は、いつも無駄がなくてすごいです!」


「うん、なるべく無駄は減らしたいからね。それじゃ、この脂を減らしたスープを、限界まで濃縮魔法でピカッとしまーす。さ、これでかなり固形っぽくなりましたー。これを、さらに干物魔法にかけて、カラカラに乾燥させまーす、ピカッとね。うわ、石みたいになったね……ま、でも大丈夫。魔法があるからね。これを石臼魔法で粉にしまーす。はい、ピカッとね。うん、ちょっとしっとり目だけど、ちゃんと粉になりましたー」


「確かに、すこし油分がある粉という感じです!」


「うん。じゃ、またスープカップとお湯をちょうだい。カップに粉を小さじ一杯くらいいれて、お湯を注いで~ はい、いただきまーす」


「あら、これはさっきのと違って、あっさりしているわね。これはこれで、美味しいわ!」


「ほんとうです! さっぱりして、とても美味しいです! 昆布スープの代わりにできそうです!」


「うん、油を減らしているからね、すっきりした味だね。豚骨の方は、ゼラチンがあるからね、粉って感じじゃないかな……ん? ゼラチン? そうだよ! ゼラチン作れるじゃん! 冷蔵庫も普通にあるし、ゼラチンも作ろう!」




***




――ピロン ゼラチン魔法が使えるようになりました。材料があれば、ゲル化剤を作れます




***




「ミチイル、ゼラチンとはなにかしら」


「……うん、動物のタンパク質なんだけどね、スイーツに使うんだよ。あ、料理にも使ったりはするけどね」


「ミチイル様……豚からスイーツができるのですか……なにか、ほんのちょっとだけ……食べるのに気合が必要な気がします」


「ハハ 確かに! 豚から作ったお菓子とか、僕もいやだけどさ、既に脂とかは精白して使ってるしさ、それにゼラチンも原材料だからね。前に豚骨スープは美容にいいって話をしたでしょ? その美容にいい成分が、ゼラチンなんだよ。コラーゲンって言ってね」


「な、なんですって? じゃあ、もしかして、豚骨スープを毎日飲まなくても、そのゼラチンを飲めば、美容効果は変わらないっていうのかしら!」


「う、うん、そうだけどさ、豚骨スープを毎日飲んでたんだっけね、母上」


「もちろんですよ! 豚骨スープは魔法のスープです! お肌がプルプルですから!」


「そ、そうなのよ。美容のためにね……美容は一朝一夕にして成らず! はい!」


「美容は一朝一夕にして成らず!」


「よくできました、ジョーン!」


「はい!」


「なんの宗教なの……」


「ま、まあとにかく! そのゼラチンを早く飲ませてちょうだい!」


「うん、ちょっとまって。豚骨スープは、粉は難しいからさ、半練りだけの製造にしてくれる? ジョーン」


「かしこまりました!」


「それと、牛骨スープの方はもっと材料を足して、スープの素にしよう。えっと、牛骨に、タマネギとニンジンとリンゴも少しだけ、それにニンニクと塩と山椒と砂糖もほんの少し、隠し味程度にウスターソースも入れて、圧力鍋魔法ピカッ固形分だけ抽出魔法ピカッ濃縮魔法ピカッ脂取りピッカリンコ干物魔法ピカッ石臼魔法ピカッ、さ、これで粉になりました。これをスープカップに小さじ一杯いれて、お湯を注いで、と」


「あら、ミチイル、このスープは牛骨だけのよりも香りがするわね」


「ほんとうです! なにかスパイスっぽい感じもしますし、これだけで料理のような香りがします!」


「じゃ、飲んでみよう。いただきまーす」


「あら! あらあら! これは、とっても美味しいわ! あっさりしているのに、風味も豊かで美味しそうな香りがたまらないわ!」


「ほんとうです! これだけで野菜を入れて煮込めば、手間暇かけたようなスープになると思います! もうこれは、スープというよりも料理です!」


「うん、すこしあっさりした風味だけど、美味しいね。これはね、コンソメスープと言いまーす。コンソメの素、だね」


「これは製造すべきよ!」


「絶対に優先して作ります!」


「うん、今日は普通に野菜を使ったけどね、これは材料に野菜の皮とか使えるからね、給食センターとか大規模調理センターとかで野菜の皮が出るでしょ? それをコンポストじゃなくて干物魔法で乾燥させておいてね、それを集めてコンソメスープをつくると良いよ。ゴミも減るし無駄がないから」


「それはすごいです! もともとゴミは少なかったですけど、本当にゴミが無くなりそうです!」


「うん、じゃさ、まず半練りのスープの素は、牛骨と鶏ガラと豚骨の三種類でしょ、そして粉スープの素は、鶏ガラとコンソメの二種類ね、これを調味料工場で作って、小さな缶か小さなガラス瓶に入れて流通させてもらえる? ジョーン」


「かしこまりました! すぐにでも製造させます!」


「ねえねえミチイル~ わたし、ずっとずっと待っているのよ~」


「え? 何を?」


「いやあねえミチイル~ 決まってるじゃない~ 神聖国最重要美容アイテムよ!」


「ゼラチンです! ミチイル様!」


「あ、忘れるところだった。じゃ、ゼラチンも作ろうか。まず……っていうか、材料が無いよ。ジョーン、悪いけどさ、明日でいいから、豚足っていう豚の足を皮付きで用意して置いて欲しいんだけど。後、牛の足の部分とかでもいいよ。毛は取っちゃって皮が付いているようにしてね。皮からゼラチンが多く取れるから」


「かしこまりました!」


「ええ……わたし、待ちきれないのだけれど」


「明日、ちゃんとやるからさ、今日はコンソメ料理でも食べようよ」


「わかったわ。コンソメ料理ってどんなのかしら」


「うん、まずはピラフを作ろうか。無洗米をフライパンに入れてバターで炒めまーす。それを鍋に移して、空いたフライパンでベーコンの角切りとニンジンの賽の目切りとタマネギのみじん切りとニンニクのみじん切りを炒めまーす。鍋の米の上に乗せて、トウモロコシの実を少し加え、さらに、お湯で溶いたコンソメスープを注ぎまーす。味醂少しと塩を適量入れて、炊飯器魔法でご飯を炊きまーす。炊き上がったらアオネギのみじん切りを混ぜて、ピラフの、完成です!」


「まあ! とっても色鮮やかね!」


「ほんとうです! オレンジと黄色と緑色がとっても華やかです!」


「じゃ、これはアイテムボックスに入れておいて、次は、鍋にコンソメとタマネギの薄切りを入れて、お湯を注ぎまーす。火にかけて煮立ったら火をとめ、乾燥ワカメを入れまーす。仕上げにアオネギも散らしたら、コンソメワカメスープの、完成です!」


「さ、次は、ジャガイモをスティック状に細く切りまーす。水にさらしてから干物魔法で水分を取りまーす。その後、揚げ油に入れて、フライドポテトを作りまーす。ポテトが揚がったら、コンソメを少量振りかけて、全体を混ぜまーす。ポテトにコンソメが満遍なくついたら、フライドポテトコンソメ味の、完成です! これは、ポテトチップスの味付けにも同じように使えまーす」


「ささ、次は、カボチャの薄切りをグラタン皿に並べまーす。圧力鍋魔法で軽く火を通しまーす。そして、ボウルに生クリームと多めのコンソメと粉チーズを入れて、良く混ぜまーす。そしたらそれを、グラタン皿のカボチャにかけまーす。上にチーズを乗せて、高温のオーブンで焦げ目がつくまで焼きまーす。美味しそうに焼けたら、カボチャグラタンの、完成です! 味付けは粉チーズとコンソメだけで行うのがポイントでーす」


「まあ! あっという間に夕食が完成したわね! ジョーンも食べていくでしょう?」


「はい! もちろんです!」


「ハハ じゃ、お供えもして、コンソメづくしの夕食にしよう!」




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