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2-15 オーベルジュ寮

さて、15歳になった僕は、いよいよ学園に入学する事にした。


アイテムボックスに色々と大量に詰め込んで、身軽な一人旅。ま、御者さんはいるけどね。使用人はもう向こうで手配済みらしいから、色々準備してくれていると思う。


いやあ、中央エデンのアルビノ商店街は活気があるね。と言っても、パラダイスのアルビノ商店街の営業中も見たことは無いんだけどさ。シンエデンからも買い物に来てるっていう話だし、学園も割と近くにあるらしいしね、それ関係の人が買い物にも来てるのかも知れない。


お? オーベルジュ寮の前に、シェイマスがいるね。何してんだろ。




***



「ミチイル様、お待ちしておりました」


「もしかして、僕を待っててくれたの?」


「勿論でございます」


「いや、いつ着くかわからないじゃん。まあ、お疲れ様」


「ありがとうございます。それでは、ミチイル様のお部屋へご案内致します」


「うん、よろしくね」


「あまり人が居ないけど、みんなは学園なの?」


「はい。もうそろそろ戻って来る頃だとは思います」


「ま、夕方が近くなってきたもんね」


「ミチイル様、こちらのお部屋がミチイル様の居室となっております」


「ええ……いちばん奥の部屋じゃない。この辺りの部屋は高級仕様のはずだけど」


「もちろん、一番奥の、一番高級なお部屋がミチイル様のお部屋となるのが、当然でございますから」


「僕は跡取りとかじゃないんだけど」


「そのような事は些末な事です。ミチイル様こそ、この世界で一番重要なお方ですので」


「ハハ……僕が救い主だって事は、秘密にする事は知っているよね?」


「勿論でございます」


「寮の生徒達には、どんな説明をしてるの? まあ、神聖国民はいいとしてもさ、スローン人とか」


「はい。アタシーノ神聖国の元首であるケルビーン大公家の御子息であり、跡取りのシモン様よりも立場は上である、と周知しております」


「うーん、いいのかなあ。シモンが次期大公なのに」


「はい、問題などございません。神聖国はミチイル様あったればこそ、既に国の運営に携わっていらっしゃると噂を流しております」


「ま、誰も何も文句を言わないなら、それでいいや」


「さ、ミチイル様。お荷物を……」


「うん、荷物はアイテムボックスだから、別にいいよ。クローゼットとかも使わないから。あ、布団だけ出して置こうっと」


「ベッドにお出しいただければ、後は使用人へ申し付けておきます」


「僕の部屋は、掃除とかしなくていいからね。使用人も入らせないように手配してくれる?」


「かしこまりました」


「それでさ、学園にはどうやって行ったらいいの?」


「はい。ケルビーン大公家の子息が近日、入学する事は既に伝達済みでございます。明日、私と一緒に学園へ行き、入学報告をするばかりでございますので、ご心配は要りません」


「ああ、ありがとう。寮の礼拝室はどう? 使われている?」


「勿論でございます。神聖国民は女神様を始めとして、毎日祈りを捧げておりますので」


「そうだよね。スローン人は? 何人くらいいるの?」


「スローン人は10名ほどです。今年度の入学が急に増えたようです」


「あ、そう。なんだろね。ま、スローンの事とかわからないからね、確認のしようも無いし、別に害がある訳じゃないんでしょ?」


「それは勿論でございます。そもそも、神聖国の慈悲によって、この寮に住むことが出来ていますから、何か物を申すなどと言うことは、ありえないと思います」


「ま、そっか。ただで住んで食事もただなんだもんね。文句を言われても困るよ」


「文句など言わせません」


「ハハ で、食事はどうなった?」


「はい。寮のレストランのキッチンは使用せず、商店街から岡持ちで食事を運ばせております。給食スタイルでございます。朝食・昼食をとった後、学園に行き、夕方に戻って夕食でございます。食事の手配などは使用人が致しますし、ミチイル様のご希望を最大限、尊重する手はずになっております」


「うん、そうすると、特に問題もないんだね」


「はい、勿論でございます」


「そういえば、寮の管理する人は?」


「はい。隣の屋敷にいらっしゃると思います」


「挨拶した方がいいかな?」


「特に必要はございません。セルフィン公爵家の分家の方の様ですが、特に交流もございません。寮の管理と言っても、魔石の管理程度ですし、掃除などは使用人が行っております。この寮の使用人は全て、アルビノ人ですので、ご安心ください」


「そっか。本当に何も気を遣わずに済みそう。じゃ、僕は取り敢えずお風呂にでも入ってくるかな~」




***




「ミチイル様~ 元気だった? お疲れ様~」


「あ、シモン。久しぶりだね」


「うん、そうだね~」


「どう? 学園は楽しい?」


「全然~ 気分悪くなるし、退屈だし~」


「そっか」


「ミチイル様、シモン様、夕食の準備が整いました」


「あ、ありがと、シェイマス。じゃあ、食べようか」


「いただきまーす」


「お、今日は和定食なんだね~」


「いつも、こんな感じなの? シモン」


「うん、ミチイル様。だいたいこんな感じ~」


「そうですね、神聖国の給食のような感じでございます」


「そっか。ま、ちゃんとしたものが食べれるから良かったよ」


「ミチイル様のおかげでございます」


「うん、そうだね~」


「ハハ なんかさ、全然人が居ないけど、他のみんなはどうしてるの?」


「ミチイル様がお越しですので、なるべくお邪魔にならないように部屋で控えさせております」


「え? それはなんか……」


「何も問題はございません」


「うん、ここはミチイル様の建物だしね~」


「でも、皆の寮なんだけど……明日からはさ、自分の部屋で食事を摂ることにするから、悪いけど手配お願いね、シェイマス」


「ミチイル様が気にされる事ではございませんが、仰せの通りに」


「もしかしてさ、さっきお風呂が無人だったのも?」


「勿論でございます」


「ふーむ。僕の部屋って一番奥だよね。奥には建物も何もないはずだよね?」


「左様かと思います」


「うん、わかったよ。この後、ちょっと増築工事するからさ、多少物音がするかも知れないけど、大丈夫だから、気にしないでね」


「かしこまりました」「うん、わかった~」




***




ふう。


僕がウロウロしていると皆が大変だからさ、僕専用のスペースを増築しよう。外に大き目の一部屋を足す感じでいいかな。くっつけて建てて、僕の部屋に入口つければいいよね。


取り敢えず、サニタリーだね。僕しか使わないから小さめでいいや。トイレに、魔石風呂に、洗面所に、ランドリースペース、っと。後は、小さいキッチンも作っておこう。マンションサイズのキッチンでいいかな。ま、魔石はいっぱい持ってきたしね~ あ、大きい冷凍冷蔵庫とオーブンも作らなきゃ。


ピカピカピカピカピッカリンコ ドン


ま、これでいいかな。


後は、部屋のドアのカギを一応新調しておこう。それに、やっぱり暑いんだよね、エデンは。なので、ペルチェ冷房もつけちゃえ。どうせ僕の部屋は人の出入りがないからね、別にいいよね、そもそも全部僕が作ったんだし。


うん、最悪、ここに籠っていれば誰にも会わなくて済むね。料理は自分でできるし、後片付けも魔法でさっと終わっちゃうし、洗濯も魔法で直ぐ終わるし、もちろん掃除も魔法だし、アイテムボックスに色々たくさん持ってきているしね、買い物も必要ないし、お風呂は24時間入れるし……あれ、もしかして結構快適じゃない?


『はい、救い主様』


「ああ、アイちゃん。僕さ、結局エデンに来ちゃったけど、大丈夫かな」


『何の問題もございません』


「母上はさ、天使様から僕を隠すように言われていたらしいけど」


『隠す時期は、とうに終わったものと愚考致します』


「そっか。アイちゃんがそういうなら、安心かな~ それにしてもさ、かなり便利な世の中になったよねえ」


『全て、救い主様の御業でございます』


「いやいや、アイちゃんの力じゃなあい?」


『私めは実体も持たない知識の存在でございます。何ものをも成す事はできませんので』


「そうかなあ~ ま、いいや。いつもありがと、アイちゃん」


『救い主様の、御心のままに』




***




「ミチイル様、朝食の準備が整いました」


「あ、ありがと、シェイマス。僕さ、今日から自分の部屋で食事するからさ、悪いけど食事を持ってきてもらえる? シェイマスもシモンも、ここで一緒に食べる?」


「はい! 是非に。すぐに朝食をお持ちいたします」




***




「ミチイル様~」


「あ、シモン、いらっしゃい。早かったね」


「うん、僕の部屋、隣だからね~」


「あ、そうだよね。奥が高級エリアだもんね」


「うん。後は、スローンの公子とか、数人居るくらいだけどね~」


「そんなもんなの? セルフィンとかは?」


「分家の娘が2年生でいるかな~ 後は居ないよ」


「と言うことは、高級エリアには四人か」


「ううん、後はシェイマスがいるよ~」


「ああ、そうだよね。男爵家だもんね、準男爵家よりは身分が高いんだ」


「ミチイル様、シモン様、大変お待たせ致しました」


「あ、ありがと、シェイマス。じゃ、食べようか」


「いただきまーす」


「朝食は洋風なんだね」


「良くわかりませんが、パンにソーセージに卵料理、サラダが少しにイチゴかリンゴなどが多いと思います」


「そうだね~ こんな感じ~」


「ま、朝ごはんだしね、充分だよね」


「ねえ、ミチイル様~」


「なあに? シモン」


「そこのドアさ~ 僕たちの部屋には無いんだけど、何をしたの~?」


「うん、昨日うるさかった?」


「いえ、全然気にはなりませんでしたので、ご安心を」


「そう、よかった。あそこはね、サニタリーとキッチンを作ったんだ。僕、なるべく皆と合わないようにするからさ、寮の人たちには、普通に暮らすように伝えてもらえる? シェイマス」


「ミチイル様が、そのようにお気遣い頂くことなど、ございませんが、ミチイル様の仰せの通りに」


「ねえねえ、ミチイル様~ ちょっと見てもいい?」


「うん、いいよ。はい、ドアを開けたらミニキッチンでーす」


「うわ~ 小さめな感じだけど、最新設備っぽい~」


「うん。冷凍冷蔵庫とかオーブンとかもつけたよ。僕、アイテムボックスがあるからさ、本当は必要無いんだけどね、気分が上がるから」


「ミチイル様、こちらのドアがサニタリーでしょうか」


「うん、シェイマス。一人用だからね、みんな小さいけど、これでお風呂もトイレも洗濯も、全部僕が済ませられるからね、寮の人たちと思いがけず鉢合わせとかはしないと思うよ」


「でもミチイル様~ 掃除とかが大変じゃなーい?」


「僕は魔法が使えるからね」


「あ、そっか~ ミチイル様は便利だよね~」


「シモン様! 便利、などと言う次元の事ではございませんよ、ミチイル様なのですから」


「ハハ なんか二人とも、いいコンビだよね」


「勿体ない事でございます」


「うん、シェイマスはね、優秀だし、色々やってくれるから、僕も安心なんだよね~」


「神聖国の次期元首だからね、シモンは。次期筆頭執事が優秀の方がいいもんね。今のセバスはあんまり知らないけどさ、僕。ジェームズはお祖父さまの片腕だったもんね。カンナよりも長い間、一緒だしさ、今だってセルフィンでずっと一緒だもんね。シモンとシェイマスも、そんな感じになるでしょ」


「恐れ多い事でございます」


「シェイマス、よろしくね~」




***




「昼も食べたし、そろそろ学園に行った方が良さそう?」


「はい、ミチイル様」


「じゃ、ミチイル様、みんなで行こう~」




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