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2-14 15歳になった

「はい、今日もキッチンスタジアムを開催しまーす」


「パチパチパチザワザワザワ」


「今日は、お菓子を教えたいと思いまーす。最初は、まんじゅうでーす。まんじゅうの存在は既にジョーンから聞いている事と思いますが、まんじゅうは和菓子と言って、砂糖は多め、油はほとんどゼロのお菓子でーす。主に、緑茶や番茶に合いまーす。まず、薄力粉と微粉末米粉を半分ずつ混ぜて、そこへ重曹を適量加えまーす。ここに、味醂粕も少し加えまーす。これは風味付けになりまーす。そこへ水を、パン生地くらいになるように入れたらキッチンロイド魔法で捏ねまーす。油が入らないのでベタベタしまーす。捏ねあがったら、濡れ布巾を被せて、しばらく寝かせておきまーす。これでまんじゅうの皮の、完成です! その間に、中にいれる具を作りまーす。カボチャの皮を皮むき器魔法でペロンと剥いて、種を抽出魔法で取り出しまーす。その後、スライサー魔法で適当な大きさに切ったら鍋に入れ、そのまま蓋をして圧力鍋魔法で柔らかく加熱しまーす。加熱が終わったら、カボチャの三分の一くらいの量の砂糖を加え、石臼魔法でよく混ぜまーす。混ざったら、濃縮魔法で水分を飛ばしまーす。カラカラにはしないでくださーい。これを、カボチャあん、と言いまーす。他にも使えるので、覚えておいてくださーい。ここまでは大丈夫でしょうか?」


「はい、ミチイル様。大丈夫です」


「では続けまーす。もう一度、まんじゅうの皮を作りますが、その際に食紅魔法で色を着けまーす。トマトを使えば赤色に、カボチャを使えば黄色に、春菊を使えば緑色になりまーす。ナスの皮だけを使えば紫色に、ニンジンを使えばオレンジ色に、そして食紅魔法ではなく、味噌を加えれば茶色で味噌風味の皮ができまーす。さ、カボチャあんが冷めたら、小さく丸めておきまーす。まんじゅうの皮生地をスライサー魔法で小さく切り分け、おにぎり魔法でカボチャあんを具にして皮をにぎりまーす。後は、マフィンカップ魔法で小さく正方形に切った竹皮に乗せて、蒸籠に並べ、蒸しまーす。蒸しあがったら、風が当たるところで冷ましまーす。風に当てて冷ます事でつやが出まーす。これで、色つきまんじゅうの、完成です! なお、まんじゅうが三つ入るサイズの正方形の箱を、マフィンカップ魔法で作り、まんじゅうを三種類入れて、その箱ごとガス袋魔法で包んで密閉して、仕上げに殺菌消毒魔法をかけまーす。こうすると、常温で日持ちするまんじゅうになりまーす。これはエデン価格でまんじゅう三個入り一パックで金札5枚で販売してくださーい。プレミアムまんじゅうとなりまーす」


「次もカボチャあんを使いまーす。強力粉に重曹適量、砂糖多めに入れ、卵も加えまーす。そこへ、味醂も少し加えたら水を入れ、天ぷら衣より少しもったりする感じの生地をつくりまーす。熱くした鉄板に、生地をお玉ですくって流し入れ、直径10cmくらいにして、そのまま焼きまーす。表面がプツプツしてきたら裏返しまーす。これを二枚焼いたら、焼き色が着いていない方を内側にして、カボチャあんを二枚の間に適量挟みまーす。縁を指でつまんで閉じたら、どら焼きの、完成でーす。どら焼きを焼くときは、鉄板にほんの少しだけ油を敷きますが、その後、布巾で油を拭き取ってから生地を焼いてくださーい。油が残っていると、きれいな茶色ではなく、まだらになってしまいまーす。カボチャあんにバターを加えたり、カボチャあんではなく、イチゴジャムとバターや、要冷蔵ですが、生クリームなどを中身にしても、大変に美味しいでーす。生クリーム入りは、エデンでは販売しないでくださーい。他のどら焼きはエデン価格で、一つ金札5枚のプレミア和菓子でーす。紙に包んで販売してくださーい。色つきまんじゅうのようにロングライフパックにしても良いですが、どら焼きは手間暇がかかりますので、大量販売の必要はありませーん」


「さ、次は温かい和菓子でーす。カボチャあんを同量の水で薄めて弱火にかけまーす。沸騰したら、イモダンゴを小さく作ったのを入れて、イモダンゴが柔らかくなるまで煮まーす。加熱が終わったら、塩をごく少量加えまーす。お椀に汁ごと盛り付けたら、カボチャ善哉の、完成です! これは持ち帰り用ではなく、レストランのデザートとして少量出してくださーい。どうしても持ち帰りたいと我が儘を言う客には、牛丼の紙入れ物に入れて、一人前金札3枚で販売しても構いませーん」


「はい! ミチイル様!」


「どうぞ、ジョーン」


「はい! なぜ塩を入れるのでしょうか。砂糖の甘いお菓子なのに塩を入れるのは少し変な気がします」


「大変良い質問です、ジョーン。砂糖を使った和菓子の場合、他の焼き菓子などに比べると、砂糖の分量が多いのです。砂糖が多いと口が砂糖に慣れてしまって、だんだん甘みが足りない気分になってしまうのです。ですが、そこに少量の塩を加えてあると、口が塩を感じて、砂糖に慣れずに済むのです。その結果、最後まで甘くて美味しい和菓子を堪能できます。まんじゅうやどら焼きに塩を加えなかったのは、重曹を使っているからです。重曹は、それ自体がしょっぱいので、塩の代わりに、その役目を果たしますが、善哉には重曹を使わなかったので、別に塩を加えました」


「はい、わかりました」


「はい、次は、食事にもなる中華まんじゅうを作りまーす。肉まんなどは知っている人もいるかも知れませんが、肉まんも中華まんじゅうのひとつでーす。ここでは、中華まんじゅうの皮を使用した蒸しまんじゅうを、すべて中華まんじゅうのくくりとしまーす。まず、中華まんじゅうの皮ですが、強力粉に酵母と重曹を適量加え、菜種油を少しと塩も少し、そしてお湯を加えまーす。パン生地程度の硬さで大丈夫でーす。キッチンロイドで捏ねたら、これも濡れ布巾をかけて休ませておきまーす」


「はい! ミチイル様!」


「どうぞ、ジョーン」


「はい! 酵母も使っているのになぜ、重曹も入れるのでしょうか。酵母だけで膨らむのではないかと思うのですが」


「とても良い質問です、ジョーン。もちろん酵母だけで発酵し膨らむのですが、それでは時間がかかります。そこで重曹を加えて発酵時間を取らずに済むようにしましたが、風味は欲しいので、味付けとして酵母を少し加えてあります」


「はい、ありがとうございました!」


「では、中華まんじゅうの皮を休ませている間に、中身を作りまーす。豚バラ肉、もしくは豚のどこでもいい肉を石臼魔法でミンチにしまーす。バラ肉以外を使う場合、豚の油身も適量加えてくださーい。そこへ、タマネギとニラとニンニクのみじん切りも加えてキッチンロイドで混ぜまーす。これを中華まんじゅうの皮におにぎり魔法で適量包んで竹皮に乗せ、蒸籠で蒸せば、肉まんの、完成です! そして、ナスを1cmくらいの輪切りにし、二枚の中に田楽味噌を適量挟みまーす。これを中華まんじゅうの皮に包んで蒸せば、ナス味噌まんの、完成です! 中身を適当なキンピラとマヨネーズにすれば、キンピラまんに、肉まんの種にニラのみじん切りをたっぷり入れれば、ニラまんに、カボチャあんを入れれば、あんまんに、角切りベーコンとナポリタンソースとチーズ適量を入れれば、ピザまんに、それぞれバリエーションが広がりまーす。ピザまんは、高級なのでエデンでは販売しませーん。それ以外の中華まんじゅうは、エデン価格で一個金札1枚でーす。センターで大量調理したものを、できれば冷蔵運送し、エデンで蒸しなおして紙に包んで販売してくださーい。ピザまんは材料費が嵩みますし、チーズももったいないので、神聖国内限定でお願いしまーす」


「さあ、最後は禁断のお菓子でーす。まず、薄力粉と重曹適量を合わせまーす。そこへ砂糖を多めに入れて、卵と牛乳も入れ、キッチンロイドでパン生地のような感じになるまで軽く捏ねまーす。水は使わずに、卵と牛乳だけで生地を作りまーす。そして、パンではないので、捏ねるというよりは、合わせてひとまとめにする、と言った感じが良いでーす。捏ねあがったら生地を少し休ませ、パスタマシーン魔法で3cmの厚さに延ばしまーす。そうしたら、型抜き魔法で小さめの円形に抜き、生地の真ん中に、粉をつけた指でつついて穴を開けまーす。穴は大きめに開けるようにしてくださーい。穴を開けたら両手の指を穴に入れ、広げながらクルクルとすれば、穴が広がりまーす。生地が輪っか状になったら、油で揚げまーす。いい色になって油に浮いてきたら、上下をひっくり返し、両面とも茶色になったら油から引きあげ、熱いうちに砂糖をまぶしまーす。これで、ドーナツの、完成です! 生地を作る際、トマトペーストを入れたり、カボチャペーストを入れたり、春菊ペーストを入れたりすると、それぞれ違う風味のドーナツができまーす。イチゴジャムなどを混ぜても美味しいのですが、材料がもったいないのでエデンでは販売しないでくださーい。イチゴドーナツ以外のドーナツは、センターで調理したのを、紙で包んでそのまま販売してくださーい。エデン価格でドーナツ各種、一個金札3枚でーす。手間暇と油を大量に使うので、超プレミアお菓子ですが、おそらく中毒性がありまーす。食べ過ぎには注意してくださーい」


「はい! ミチイル様!」


「どうぞ、ジョーン」


「はい! ドーナツの日持ちはどのくらいでしょうか」


「はい。ドーナツはカリントウ以上に油を吸う危険なスイーツです。販売期限は当日です。余ったら持ち帰り、ご近所などへ配って翌日中には食べるようにしてください。給食センターへ持っていき、小さくカットしてお茶とともに出してもよいですし、同じように交流センターでお年寄りに配ってもよいです。これは栄養もありますし、少量でカロリーが高いので、少しでも食べるとお年寄りの力となるかも知れません」


「わかりました!」


「今回のキッチンスタジアムで、しばらくキッチンスタジアムは開催されない可能性が高いです。今回は販売価格の高いお菓子をお教えしました。これらをエデンで売りまくって、食文化の拡散に、協力をお願いします」


「かしこまりました!」


「はい、では、お供えもして、皆さんで試食タイムにしましょうか」


「では、いただきましょう」


「いただきまーす」


「 !!! 」




***




――そしてミチイルは、15歳になった




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