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2-11 世界情勢

エデンでの商売は、ものすごく繁盛している。


ご飯ものの食事を始めたからね。結構高めの設定だけど、平民でも、たまのごちそうくらいには食べられるでしょ。王家は紙幣たっぷりあるから好きなだけ食べられるだろうしね。


米を大増産しないといけなかったけど、米は高収量だし一か月で収穫できるし、収穫とかも魔法だしね、特に問題は無いみたい。大量の籾殻も籾殻炭にしてエデンで販売しているし、水田も畑も、まだまだ増やせるからね。神聖国民の仕事量だけが心配だけど、問題ないって言うから……なんかね、畑の妖精だかなんだかが居るんだってさ。誰も見たことは無いらしいけど、その妖精が作物に恵みを与えるんだって。なにそれ。新しい宗教なのかよくわかんないけどさ、みんな、疲れてるんじゃないかな。元気で頑張って欲しい。


値上げしたクッキーも、それなりには売れているみたいよ。クッキーはなかなか面倒だったからね、需要が少なくなる方が都合がいいから。今はカリントウとかまんじゅうもあるしね、クッキーを5枚袋詰めするよりも、そっちの方が楽で速いから。ま、まんじゅうは日持ちしないけどね、高級生菓子もあった方がいいじゃない?って感じ。


それと、ランプも貴族を中心にバカ売れ。王家もせっせと買っているらしいよ。結構高額なんだけどね。そのうちお金を貯めた平民も、買う家庭が出てくるだろう。僕が作ったランプには持ち手がついてなかったからね、北部工業団地へ製造を指示する時に、持ち手も付けてもらった。これで上から吊り下げても使えるよ。行燈油はマヨネーズボトルに入れて販売している。引火する油じゃないからね、これで充分でしょ。


そうそう、もうアタシーノ公国もセルフィン公国もないからね、アタシーノ神聖国だから。なので中央エデン王国に払う分も、元二か国分として、パラダイスと同額にしたよ。なので、パラダイス王家と中央エデン王家には毎月金札20000枚、二億円だね。これで一切合切の全部。後は、びた一文も払わない。必要以上に充分だと思うしね。ま、超高額ラインナップは増やして行くとは思うけど、もうこれ以上は紙幣は払わない。既に両王国からは、貨幣もコインも消え失せたしね、もう、神聖国から支払われる紙幣でしか買い物もできないよ。ま、神聖国しか商売もしてないけどね。


数百年分もの金と銀が、たくさんアイテムボックスに入っている。ま、使い道もないけど、金本位制とかを考えるとね、持っている事に意味があるような気もするから、それでいいや。良くわかんないけど。


そして、シンエデン王国には金コインを毎月500枚、500万円を払う事にした。シンエデンはね、紙幣を拒否したからね、金貨をあげているの。ま、金コインだけどさ。元々アタシーノとセルフィンは、それぞれ50人ずつしかシンエデンに差し出して無かったしね、元を考えれば本来は月に金コイン100枚で済むはずだもん。しかもマッツァはシンエデンから一切買ってないし、元から考えると五倍なんだからね、これで充分。シンエデンは真北にあるスローンとのやりとりがメインだからね。後はスローンから銅貨をたくさんもらって欲しい。


そうそう、スローンと言えばさ、銅貨を大きく作るから、銀貨と同じ扱いにして欲しいとか言い出したみたいでさ、ただでさえ要らない銅を増やされてもね、こっちにメリットも無いしさ、枚数は減っても重いのは変わらない上にさ、新銅貨の重量は十倍じゃないんだって。馬鹿なのかな。銅の価値が上がっちゃうから面倒が増えるだけだし、当然拒否。女神信仰をすれば色々解決するよ?と教えてあげたらしいんだけど、これは向こうが拒否。なんでも、神が本当にいるなら、真っ先にスローン人に祝福をくれたはずだ、お前たちが信仰している神は、不公平であり、神ではない、だってさ。はいはい、どうぞご自由に~


それにしても、コインじゃ買い物できないからね、シンエデンとかは不便だと思うんだけど……ま、シンエデン王国では商売は一切してないからね、シンエデンが買い物しようと思うと、事実上、中央エデンのアルビノ村しかないんだけど、そこへシンエデンの男爵家が牛運送で買い物に来てるみたいよ。食べ物以外はいいとしても、食べ物は自由に手に入らないよね。なにせ、道路も無い獣道みたいなのをエッチラオッチラ牛運送が行き来してるだけだもん。神聖国もさ、毎月金コインを500枚払うために、数人でシンエデンまで届けに行かないとならないんだよ。面倒くさいったら。スローンの南端っこの森林地帯近くを通ってシンエデンに行ってるみたいだけど、勝手にスローンとかに街道を敷くわけにもいかないしさ。


なんか、東側って面倒くさい土地なのかな。


なんでもさ、中央エデンのやり方が生ぬるい、もっとアルビノ人を扱き使え、みたいな強硬派が分かれてできた国がシンエデン王国らしいよ。そして、そんなにアルビノ人を虐げたらアルビノ人が死んじゃって、結局自分たちが困るんだから、ほどほどにしとこうっていう勢力が分かれてできたのがパラダイス王国。だから、パラダイスは比較的アルビノ人に寛容らしい。いや、全然寛容じゃないけどね、ま、積極的に虐げたりはしないだけ、この世界じゃ寛容なのかも知れないけどさ。だからパラダイスには混血の貴族が少数でも存在してるんだろうね、中央エデンとかには混血は居ないらしいから。


シンエデンの成り立ちはわかったけどさ、スローンが頑ななのは何でかねえ。確か、海のないセルフィンは塩が少しは必要だけど、スローンがセルフィンに塩を渡さなくなったから、旧アタシーノ公国がセルフィンの塩を全部作ってたって話も聞いた気がするしね。


伯父上の話だと、リネンと綿の種を融通した時も、感謝するどころか文句を言っていたらしいよ、スローン大公。もともと同じケルビーンの一族って呼ばれていた人たちの末裔のはずだけど、なんか別物だよねぇ。確か、好きでアルビノ人が分裂した訳ではなく、エデンが三つに分かれたのが原因だって母上から聞いたような……その時に、何か揉めたのかも知れないね。アルビノ人を虐げる事が確定しているシンエデンの最寄りに住まないとならなかったんだもんね、スローン人の先祖は。そう考えると、苦労するのが分かっているのに、旧アタシーノ公国から出て行かないといけなかった訳だから、恨みが生じても仕方が無いのかな。記録もない世界だしね、確認もできないから、考えるだけ無駄だったわ。ま、気が向いたら女神信仰をしてくれればいいけどね。




***




「母上~」


「あらミチイル、なにかしら」


「うん、僕さ、中央エデンのアルビノ村に行ってくるね」


「どうしてかしら」


「うん、あそこ、ずっとほったらかしだからね、パラダイスのアルビノ商店街と同じものを作ってこようと思うの。シンエデンからも買い物に来るでしょ? 今のままじゃ、色々対応できないもん」


「まあ、そう言われてみれば、そうかも知れないわね。でも、あそこのアルビノ村には、学園の寮があるわよ」


「学園の寮?」


「ええ、中央エデンに有るエデン中央学園はね、中央エデン王都の北の端にあるのよ。その敷地内にね、各王国の生徒が住む寮がそれぞれあるのだけれど、アルビノ人は王都には住めないでしょう? だからアルビノ村に寮を建てて、そこから中央学園に通っているの。学園まではそんなに遠くはないから、通うのは苦ではないのだけれど」


「そのアルビノ寮?っていくつあるの? 三つ?」


「いえ、寮は北部のアルビノ人生徒がまとまって全員住むのよ。人数も多くは無いし」


「何人くらい?」


「そうね、旧三公国の二学年分も合わせても30人かそのくらいではないかしら。エデン中央学園はね、この世界中の貴族は全員通わないとダメなの。そうは言っても、ここ数年で世界が大きく変わったでしょう? 今は学園の扱いがどうなっているのかは、わからないわ」


「アルビノ人の貴族というと、大公家一族と男爵家一族と準男爵家だっけ」


「ええ、そうね。例えば今の神聖国でも来年学園に入学するのは、おそらく10人未満だと思うのよ。昔の公国時代は一学年2~3人だったもの。それが二学年分いるのだから、神聖国だけで多くても合計20人程度だと思うわ。それに、スローンが10人位いるでしょうし、アルビノ人の学園生は、総勢で30人いかない位ね」


「ふーん、そうなんだ。その寮からさ、人払いはできる?」


「年に二回くらい一か月の休みがあるのよ。ちょうどいま時期じゃないかしら。その休みには全員国へ帰るから、寮は閉鎖されて無人になると思うわ」


「じゃあ、今なら都合がいいね」


「そうね。中央エデンのアルビノ村を整備するのなら、今がちょうどいいわね。次の機会は半年後とかになるでしょうし」


「でも、中央エデンから母国まで遠いでしょ? 特に旧アタシーノとかスローンとかは一番遠いじゃない。帰るの面倒じゃないの?」


「ええ、とても面倒だったわ。でも、一か月もエデンに居るよりはマシよ。アルビノ人はエデン人よりも歩くのが速いから、頑張って歩けば二回野宿するだけで戻って来れるもの」


「うわ……単純に計算しても、中央エデンのアルビノ村からここまで、150kmくらいでしょ、一日に50kmも歩いてギリギリ二泊三日か」


「ええ、でも50kmなんて、一日で余裕よ」


「まあ、そうだよね。確か時速10kmくらいで女の人も歩けるって話だったもんね」


「ええ。最近じゃ、乗り合いコーチも運行されているから、神聖国民も長距離は歩かなくはなっているでしょうけれど」


「うん、そうだろうね。いくら歩くのが速くても、コーチには敵わないしね」


「でも、今では街道も整備されているし、宿場も作ったのでしょう? 昔に比べると天国のような感じじゃないかしら。わたしの時は、水も抱えて歩かなければならなかったから、距離よりも、それが一番大変だったわね」


「そうだよね……信じられないよ」


「じゃ、ミチイル、中央エデンのアルビノ村には、わたしも一緒に行くわ。寮の具合も知っている人がいる方がいいでしょう?」


「うん、そうだね、お願い」


「任せておいて! お兄様にも話しておくわ。アルビノ村の週休日に行けば問題はないと思うけれど、お兄様にも手配をしてもらうから」


「うん」




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