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2-4 平民学校

なんかね、王国に輸出するものを色々増やすことになった。


伯母上からの要望らしい。伯母上、中央エデン王国でブイブイ言わせているらしいよ。そのせいで、中央エデンも条約を結んだのかも知れないね。


とりあえず、お菓子としてはカボチャまんじゅうね。これは南村で作って紙で包んで売る感じ。再加熱も必要ないしね。それで、このまんじゅうも一個金貨1枚なんだってさ。中央エデンに持っていくものは、副都で作るのかな……南村から運んだら遠いよね。


あ、イチゴをジャムにして混ぜたイチゴマドレーヌも売り出すよ。もちろんマドレーヌだから、ひとつ金貨1枚ね。


そして、まだ乾燥マッツァは王国から輸入しているままだけど、もう必要以上に主食を隠す必要もないからね、おにぎりを売ることにした。調理センターでご飯を炊いて、おにぎり魔法であっという間にできるしね、中身は鰹節と味噌で二個セット。竹皮のシートでそれらしく包んで、ひとつつみ銀貨1枚。ホットドッグと同じね。これも再加熱要らないしね、作りやすいし売りやすい。


それでね、手術着じゃなくて正統派の上下別れたタイプの高級綿作務衣も解禁するんだってさ。色も適当につけるらしいけど、その作務衣上下大人用で金貨40枚、子供用で金貨20枚なんだって。ま、シャツやズボンは当面まだにしておこうと思う。


なんか、化粧水もどうのこうのって言ってたけどね、僕、よくわかんないし、母上が仕切っているからね、母上に全部お任せしたよ。適当にいいようにしてくれると思う。


それでね、お茶も王国に出したいんだってさ。だから番茶を出すことにした。他のお茶は手間がかかるしね、神聖国で消費する分が減ったら嫌だもん。番茶なら大きな葉っぱも小枝とかもそのままだしね、適当に葉を収穫して蒸して乾燥させるだけだから。その番茶は、50gで金貨一枚。かなり高級だけど、お菓子がね、みんなそんな値段だから、ま、いいのかな。


そしたらさ、お茶を飲むためには道具が必要でしょ?


陶器と七輪と燃料も輸出することにしたよ。


なんか、値段とか考えるのが面倒くさくなっちゃってね、陶器の、水差しとか茶碗とかお椀とか湯呑とかコップとかね、それらは全部、一律に一つ金貨1枚。そして、銅製の鍋とかフライパンとか、七輪も一律一つ金貨1枚。ついでに、コンポスト燃料も1kg金貨1枚。コンポスト燃料は神聖国では使われなくなっていたからね、ここらで有効活用しようと思う。消耗品はずっと売れ続けるし。ちょっと高いけど、運送コストもかかるからね~


ま、王国に出す調理道具類は、全部金貨1枚均一だね。金コインショップ、みたいな感じかな~


ま、王都北にあるアルビノ村も自由に整備できるしね、適当な青空市場みたいな感じで並べて売ればいいと思う。ま、全部金貨だからね、平民には買うの無理な気もするから、貴族とかの専用にしばらくなるだろうね。


あ、そうそう、物を大々的に増やすのをきっかけにして、エデンの王国で働いている神聖国人にも、週休制を導入したよ。これで、神聖国人は五日働いて一日休み。シフトを組まないといけない業務もあるけどね、王国内は週に一日は完全休業。地理的に離れているし、シフトとか面倒でしょ? だからアルビノ村は週に一日無人の状態だね。もはや出先で拠点ではないからね、アルビノ村。だから特に盗まれるようなものも無いし、問題ないと思う。


でもさ~ 王国から貨幣がどんどん集まって来るんだけど……神聖国は相変わらず共産主義社会で貨幣経済も導入するつもりはないから、アイテムボックスに死蔵する以外に使い道がないよ。ま、いっか~ どんどん王国には依存してもらわないとね、神聖国に依存すればするほど、僕たちを認めざるを得なくなるからね、強硬手段を取られる危険性はアップしちゃうけど、別に北部に籠っていてもいいし。


ま、何か起きたら、その時に考えよう。


さあ、公都に平民学校を建てようかな!




***




「本日は、見学の御許可を下さり、ありがとうございます、ミチイル様」


「うん、僕もありがとう。邪魔しないようにするよ」


「うん、シェイマスにシモン。建物建てるとき近くに居ると危ないからね、少し離れててね」


「そうね、二人とも、こちらにいらっしゃい」


「はい、叔母上」「はい、マリア様」


「んじゃ、南北街道沿いで大公屋敷からも近い、この辺りに建築しよう。学校は一年制にするつもりだし、一学年200人くらいかな、セルフィンの分はは副都で同じようなものを作ってもらうとして。教室が10部屋もあれば足りるね。トイレと手洗い、それに給食センターでしょ、談話室みたいなのも作って……あ、職員室とかも。体育館とかも要るかな。でも、やること無いしね、校庭だけあればいいか。んじゃ、建てるね~」


ピカピカピッカリンコ ドデーンズシーン


「うん、これで良し!」


「まあ! これは随分と大きな建物ね。服飾工場並みかしら」


「うん、福利厚生施設は無いし、それよりは少し小さい気がする」


「ミチイル様、建物の前が広いね!」


「うんシモン、ここで何か運動とかね、できるかなと思って。校庭って言うんだよ」


「ミチイル様、運動とは何でしょうか?」


「シェイマスは運動とかした事ない? ま、この世界じゃ、仕事でも無いのに体を動かしたりはしないもんね。運動はね、走ったり競技をしたりするんだけどね、あ、ラジオ体操とかしてもいいけどさ、なんか異世界定番だし、みんな既にお腹いっぱいじゃない?」


「??」


「シェイマス、ミチイルは時々よくわからない事を言うけれど、深く考えなくてもいいのよ。やらなければならない事なら、ミチイルがちゃんと手筈を整えてくれるから、心配しなくても大丈夫よ」


「はい、マリア様」


「ま、とにかく、校庭はそんな感じね。後は人数が多すぎると効率悪いからね、各教室に30人くらいずつ分かれて、授業をするの」


「ミチイル様、授業とは、文字を教えて練習させる事でしょうか?」


「うんシェイマス、そんな感じだけどね、他にも計算も勉強してもらう。みんな働くようになったら勉強はすると思うんだけど、この学校でもしてもらおう。シェイマスは計算得意だよね?」


「得意かどうかはわかりませんが、一通りはできると思います」


「うん。シモンは?」


「僕は、それなりかな~」


「ハハ なんかシモンとは血のつながりを色々感じるよね~」


「後は、歴史とかも教えて欲しいと思ってるんだ。大公家の分家のおじいさん、みたいな人で国の話に詳しい人とか、居る? 母上」


「ええ、そういう年寄りも居ると思うわよ。お兄様に任せましょう」


「うん、よろしくね。これでね、取り敢えず科目というか教科というか、勉強するものが三つでしょ? だから、それを教える先生が一科目につき3人くらい居れば、時間割を変えながら全員に教えることができるの。たとえば一時間目は、一組から三組は文字、四組から六組は計算、七組以上は歴史、とかね、同じ時間で三教科に分かれて勉強するんだよ。全員がいっぺんに同じ勉強をしようと思うと、同じ教科を教える先生の数がたくさん必要になっちゃうからね、だから教室というか、クラスに分ける」


「はい! 理解しました。大変効率がよい方法ですね、クラス分けとは」


「そうだね、シェイマスは理解がとても速いね~」


「お褒めに与り光栄です」


「そして、お昼には給食を出しまーす」


「ミチイル様、給食は給食センターでも食べられるよね~」


「うんシモン、そうだけどね、学校に来ている子供だけに、子供のための食事を出すの。街にある給食センターだと食事内容がバラバラだからね、子供専用の統一メニューで昼ご飯を食べてもらおうと思ってるんだ」


「ミチイル様、子供専用の食事には何か意味があるのでしょうか?」


「うん、いい質問です、シェイマス。給食センターでもある程度気を付けてメニューを決めてもらっているけどね、毎日もっとバランスの取れた食事を食べてもらうの。子供は成長している途中だから、大人よりも必要な栄養が多かったりするんだよ。それに、なるべく色々なものを食べた方が体にいいの。タンパク質も野菜も必要だからね、たとえばサラダにはチーズとか肉少しをプラスするとかね、乳製品をかならず取り入れるとか、ごはんとパンを日ごとに変えながら食べるとかね、学校給食で食べた食事はね、その後の生活に影響が大きいの。だから、なるべく色んなものを食べてもらおう。大きい食堂でみんなで食べるのは大変だから、学校給食は弁当タイプにしようかな。弁当箱の手配もしないとね」


「かしこまりました。ミチイル様の深謀に感じ入ります」


「ハハ ジョーンのDNAを感じる~ そうだ、ジョーンにばかり負担をかけても申し訳ないしね、学校給食の人は専任を決めて、その人に取り仕切ってもらうようにしよう」


「それでミチイル様、平民学校は平民だけなのでしょうか」


「いや、名前は平民学校だけど、もちろん貴族もいいよ。ただ、貴族とか関係なく全員同じ扱いにしてね」


「それはお兄様に言っておくわ」


「うん、母上。それで、平民学校は、朝の鐘が鳴ったら登校してきて、一時間ごとに文字、計算、歴史の教科を学んだあと、昼の鐘で給食を各教室で食べて、後は解散だね」


「勉強は午前中だけなのね?」


「うん、それで充分じゃない? 一年もあるしね。文字が覚えられない人でも、一年間毎日一時間勉強すれば、カタカナくらいなら問題ないと思うし。計算もでしょ。歴史の授業なんて、ぶっちゃけどうでもいいしね、昔話と、ここ数年で世界が変わったからね、その説明だけだもん。正直、時間が余るくらいだよ」


「そうね、そう言われてみれば、そうかも知れないわね」


「ミチイル様、文字の勉強に一年間も必要ないと思います」


「うん、シェイマスは優秀だからね、一日で覚えたけど、みんなが全員、そうとは限らないからね」


「そうだよ、シェイマス。僕だって一か月くらいもかかったもん」


「それでも充分速いと思うよ、シモン」


「で、いつから学校を始める予定なのかしら、ミチイル」


「うん、副都でも学校を建てて欲しいからね、先生の手配も必要だろうし、机と椅子とか製造してもらわないといけないから、次の金期あたりからでいいんじゃないかな」


「それなら充分間に合うわね、お兄様に伝えておくわね」


「うん、母上、お願いね。それと、シモンとシェイマスも、学校で文字の先生をしてもらうからね、二人以外の文字の先生を育成したり、いろいろ準備とかしておいてもらえる?」


「わかった~」「かしこまりました」




***




――ここに、この世界初の平民学校が誕生する事になった


――そこで教える歴史の授業内容が、ミチイルの奇跡と偉業、聖母マリアの軌跡などがメインとなって行く事を、ミチイルが知る事は無かった……




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