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1-104 キッチンカー定番品

「ごめんねジョーン、呼びつけちゃって」


「とんでもないです! ミチイル様にご指示をいただけるのは光栄です!」


「ハハ ジョーンも相変わらず元気で安心したよ。ポテトチップスの製造は進んでるかな」


「はい! すでに倉庫がいっぱいです!」


「もうじきエデンで売り出すからね、売り出しが始まったら大量に毎日必要になるから、体制を整えておいてね。それで今日はね、新しいケチャップとパンを製造してほしいから呼んだんだけど」


「はい、どのような感じで製造しますか?」


「うん。ケチャップはね、いつもの作り方でいいから、作る時にトウガラシの粉を少し入れて欲しいの。ちょっとピリッとするかな、くらいの量で」


「はい、何も問題はありません!」


「で、そのケチャップ、チリソースって名前にするんだけどさ、いま作っているケチャップとは別に、その分を増産してほしいの。だいたい毎日、ボトルに50~100本くらい。できるかな?」


「はい! トマトの増産さえ済めば大丈夫です! 農業部に依頼しておきます!」


「うん、トウガラシはそんなに必要な無いから、多少増やすくらいで間に合うと思うよ。それでね、新しい形のパンも製造してほしいの」


「はい! パンも増産ですか?」


「うん。強力粉の増産が必要だね。酵母はいくらでも増やせるだろうから問題ないと思うけど、パンはどうかな? 毎日500個は増産してほしいんだけど」


「どのようなパンでしょうか? 食パンだと、少し難しいかも知れません。型も必要ですし」


「うん、食パンと同じ生地だけど、形をね、棒状にして欲しいの。長さ15cmくらいで、細長いパンね。食パン一つ分の生地から4本くらい取れると思うから、食パン生地に換算して多くても200個くらいの生地になるかな。食パンよりも小さいから発酵時間は短いだろうし、酵母の力が強いからね、二次発酵もせずに成型後、直接オーブンに入れて焼いちゃっても大丈夫だと思う」


「それなら、何も問題ありません! 生地を15cmの幅で伸ばしてから横向きにクルクルすれば棒状になりますもんね!」


「さすがジョーン。パンの目についても忘れてないんだね!」


「はい! ミチイル様の教えは忠実に守っています!」


「ハハ それで、このパンはコッペパンというんだけど、エデンで出そうと思っているからね、家畜農場部にも依頼して、このパンに挟む新しいフランクフルトも作ってもらう事になってるから。後は、実際に製造が開始されたら、毎日パラダイスのアルビノ村へ輸送の手配もして欲しいんだけど、いい?」


「はい! もちろんです! ですが、加工肉は冷蔵車じゃないと腐りますよね」


「ああ、そうだね。パンはいいとしても、フランクフルトは冷蔵で運ばないとならないか……」


「それなら、わたしの方から北部工業団地へ依頼しておきます。牛の荷車一台分に冷蔵庫をつけてもらえば、コッペパンとフランクフルト?とチリソースも一度に運べると思いますので!」


「ほんとうにジョーンは仕事ができるね~ 頼りになるよ!」


「ありがとうございます!」


「それと、パラダイスのアルビノ村で料飲部の人が働いていたりするの?」


「以前は人頭税で料飲部の人もエデンに行ったりしていましたけど、今は人頭税が減ったので、パラダイスには誰も居ないと思います」


「そっか。パラダイスの王都でね、料理を売る予定だからね、作る人とかも必要なんだ」


「はい! 夫のセバスからも聞いています。その時は、料飲部から調理人を派遣しますので、ご安心ください!」


「ああ、ありがとう。アルビノ村で暮らしたくない人も多いと思うけど、南村に寝泊まりして、アルビノ村まで通うっていう方法も検討しておくよ」


「はい! それならさらに何も問題はないと思います! 南村なら魔法も普通に使えますし、お風呂も入れるでしょうから!」


「そうだよね……南村から一時間でパラダイスのアルビノ村に着くんだったら、南村で調理センターを作っても、何とかなるかも知れない」


「ミチイル様の、お好きなようになさってください!」


「ハハ ありがとう。色々参考になったし、ジョーンは頼りになるし、助かるよ~ 少し落ち着いたら新メニューも作ろうね」


「はい! 楽しみです!」


「それじゃあ、生産を開始してもらうときには改めて知らせるから、コッペパンとか練習させておいてね」




***




「悪いね親方、わざわざ来てもらっちゃって」


「とんでもありません、ミチイル様」


「今日はね、これを生産してほしくて来てもらったんだ」


「こ、これは……銅?のようですが、顔が映っています」


「うん、手鏡っていうものなんだ。これがあれば、自分の顔が見られるでしょ?」


「はい。水で映った顔を見るよりも、鮮明です」


「これはね、厚めの銅の板を真っ平に作ってから、酢とクレンザーで磨いたものなんだ。クレンザーはね、そこらへんにある硬い石を石臼魔法で限界まで微粉末にしたものなんだけどね、これと酢をリネンに付けて磨くと、ピカピカの鏡になるの。それを型抜き魔法で丸くくり抜いて、木製の持ち手に密閉シーラー魔法で接着したんだ」


「……この鏡だけでしたら、金工の者で製造可能かと思います。木製部分については、木工の親方とも相談してみます」


「うん。それとね、石工の親方にも話をして、このクレンザーも作って欲しい。クレンザーはビニール袋を小さく作って、それに50gくらい詰めてくれればいいよ」


「はい。すべて北部工業団地内で完結しますので、大丈夫だと思います。それで、数はどのくらい製造予定ですか?」


「うん。エデンの王国に出そうと思っているからね、でも高級ラインナップだから、手鏡は一か月10枚もあればいいかな。後は、公国でも欲しがる女性がいると思うから、空いている時間に適当な数をつくって、配給所に卸してね」


「かしこまりました」


「とりあえず、手鏡10枚とクレンザーを100袋を毎月製造してくれる?もう作り始めてもいいから、出来次第、大公屋敷の伯父上の所に配送されるように手配してもらえる?」


「はい。何も問題ないと思います」


「んじゃ、よろしくね」




***




「ミチイル様、おはようございます」


「あ、北部工業団地の職人さん、どう? 物販屋台とキッチンカーは製造できてる?」


「はい。特に問題も無く製造しております。既にそれぞれ10台は完成しました」


「ありがとう。この先は、牛用の大きいタイプだけでいいから、引き続き作り続けてね。総計で100台くらいになれば、とりあえずストップして」


「かしこまりました」


「それで今日はどうしたの? わざわざ職人さんが来るなんて」


「はい。ミチイル様のコーチを改造しましたので、ご指導を頂きたいと思いまして」


「あ、そうなの。僕、これから南村に行くんだけど、ついてくる感じ?」


「はい。私が御者を務めさせて頂きます」


「あ、そう、ありがとう。じゃ悪いけど南村までよろしくね」


「はい。では出発致します」




***




「このコーチ、とても乗り心地が良くなってるね!」


「ありがとうございます。板バネのご指示をいただいてから研究しておりました。今は、湾曲させた厚い鉄板を数枚重ね、バネとすることで、安定して衝撃を吸収することができております」


「うん、そうだね~ かなりいい感じ!」


「はい、ですが、少々上下の揺れが大きいと思うのです。なにか良い方法をご教授くだされば……」


「あ、そうだよね。吸収した衝撃を跳ね返している状態だから、ポヨンポヨンするんだよね。僕は楽しいからいいんだけど」


「人はともかく、荷物を積んで速い速度で運行しようと思うと、液体がこぼれたり陶器などは割れてしまう事もあるのです」


「あ! そうだよね、ごめんごめん。楽しいで済む話じゃなかったよ。衝撃を吸収するのは板バネ、サスペンションっていうんだけどさ、それでいいんだけどね、その反発を上に行かないようにしないとならないの。ショックアブソーバーって言ってね、なにか……うーん……ごめん、ちょっと考えているからさ、とりあえず南村までお願い」


「かしこまりました。申し訳ありません」




***




「うーん、要は、上に跳ね上がって行かなければいいんだよね。普通はなんかのオイルとか空気を閉じ込めてとか何かするんだろうけど、僕、全然わかんないし。バネがボヨンボヨンするんだから、何かで荷台の箱を押さえる? ひっぱる? うーん、ちょっと難しいよ……」


…………


「僕が色々構造を知っていれば良かったんだけどね……料理研究家だしさ、機械の事とか全然わからないもん。……そういえば、バイクでラーメンとか積んでも大丈夫なやつあるよね、出前用のやつ……荷車全体に細工は無理でもさ、液体とか割れ物とかさ、それだけを入れる箱を上から吊り下げるとかすれば上下振動で割れることはなくなるよね。横方向の揺れを押さえないといけないけど……うん、とりあえず大きな岡持ちを作って」




***




――ピロン 岡持ち魔法が使えるようになりました。岡持ちが思いのままに作れます




***




「ミチイル様、南村に着きました」


「ありがとう、お疲れ様。悪いけど、コーチから少し離れててもらえる? 僕、魔法を使うから……じゃ、行ってみよう『岡持ち魔法で荷物がこぼれないようなのお願い!』 」


ピカッ …


「ん? 何か変わったかな?」


「ミチイル様、コーチの周りに枠のようなものがあります」


「あ、ほんとだ。ああ! 岡持ちバイクみたいに、コーチ全体が吊り下げられる構造になったんだ!」


「この金属枠とコーチの箱を繋いでいるものはなんでしょうか?」


「ん? なんだろう。何か牛のアキレス腱みたいな感じだよねえ。見るからに丈夫そうだけど……ん? 家畜素材で丈夫といえば、腸詰魔法のタイヤだよねえ」


「では、この素材は腸でできているということでしょうか?」


「きっとそうなんだろうね、おそらくガットロープの太いやつなんだと思う。腸詰魔法で、このガットが作れるんじゃないかな」


「このガット?は腸詰魔法が使えるものが作成できるのなら、協力して同じようなコーチや荷車が作れるかも知れません!」


「うん、そうだね。このガットを用意すれば新魔法の岡持ち魔法で色々作れると思うよ。こんな大きいのだけじゃなくて手持ちサイズのとかもあると、料理も運べるからね。それに、このガットは腸が原料だから、牛だけじゃなくて豚も鶏も使えるからね、細いガットもあると色々使えるんだよ」


「ミチイル様、たとえばどのような?」


「うん、そうだね。テニスのラケット、テニスはボールの問題もあるし、バドミントンがいいかもね、バドミントンのラケットも作れるしね、ギターとか琴とかハープとか、楽器も作れるかも知れない。バイオリンとかも出来ちゃうかもね~ 普通のガットは寿命があるけど、腸詰魔法で腸を細工したものは妙に丈夫だからね~ 役に立つかも~」


「北部工業団地へ戻ってから、新魔法と共に研究をしてみます」


「うん、よろしくね。南村からアルビノ村までの人払いもお願いしてたんだけど、もう大丈夫かな? あ、そう。んじゃあ、僕はここを整備しちゃうから、ちょっと待っててね」




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