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1-103 屋台

さて、忙しくなるかな。


とりあえず、物販屋台とキッチンカーを完成させないとね。


発注していた牛と人間用の荷車が届けられたから、その上に屋台を乗せて密閉シーラー魔法で接着していく。なんか、軸と荷台の間に板バネが設置されているよ。前に言ったような気もするけどさ、いつの間にか完成したのかな。


これがコーチにも付けば、かなり快適になりそう。っていうか、ここに持ってきてくれているんだから、多分もう付いてるよね。板バネ付きで腸タイヤのコーチなら、もしかしたらパラダイスのアルビノ村へ日帰りできるかも知れない。うん、確かセルフィンよりも近いはずだし、公都から40kmとかかな。街道も通ったって話だし、多分片道2時間くらいだろう。充分日帰りもできるね。


アルビノ村、どう考えても不便だしね、井戸くらいは掘って、給食センターを作ったらさ、そこで肉まんとか調理したのをキッチンカーにどんどん積んで、どんどん売り歩くようにしてもらえばいいよね。本当の屋台じゃないかも知れないけどさ。


あ、給食センター作ったら、他のものも売れるかも知れない。でもエデンでは魔法が使えないんだったよね……ん? 使えないっていうか、あんまり使えないんだったっけ。多少は使えるとか言ってたような……そうすると、魔石にフランベ魔法で着火くらいはできるかも。ほかの調理魔法は使えなくても、時間と労力さえかければ、普通に調理はできるんだよね。うん、屋台で販売するものは給食センターで調理することにしよう。肉まんに限らず、もっと売りやすいものも考えておこうかな。


えっと、ということは、僕が一度、パラダイスのアルビノ村へ行かないといけないよね。給食センターの建物は職人が建てられても、井戸はどうにもならないからね……ん? いや、もしかしたら南村から流しそうめんで水道管を引けるんじゃない? そうすれば水の不便は解消だよね。もう森林地帯をエデン人は通過しないんだし、バレないもんね。


うーん、どうするか相談してみよう。


キッチンカーも、運んでもらわないとならないしね。でもその前に、この物販屋台とキッチンカーを複製するように指示しとこう。


何台も必要だしね、ということで~




***




「母上~」


「あら、どうしたのかしら?」


「うん。黒計画の第二弾なんだけどさ、パラダイスのアルビノ村にね、一度行かないとならないかも知れないって思うんだけど、どうかな?」


「ミチイルが行く必要があるのかしら」


「うーん、それが微妙? 色々考えてるんだけどさ、公都で調理したものを向こうへ運んで売るっていう方法もあるんだよね。でも、そうすると冷蔵車もたくさん必要かなとも思うし、何が売れて何が残ったのかね、そういう在庫の管理とかも難しいでしょ? だから、材料だけ向こうに運んで、後は向こうのアルビノ村で調理してね、王都を屋台で売り歩いて、売り切れたらアルビノ村に戻って商品を積んで、そしてまた王都で、って感じの方が、効率がいい気がするんだよね」


「そういう方法を取るとすると、向こうに調理の建物が必要になるのではないかしら。水の問題もあるし、燃料のことも考えないといけないわね……」


「うん。向こうでもフランベ魔法くらい使えるんなら、魔石コンロで熱源はいいとして、水もね、南村に新たに井戸を掘って、そうめん水道管を向こうまで延ばしてもいいかも知れないし、建物は一応、石も木材も在庫があるはずだから、交換所が完成したら職人たちに建ててもらうって事もできるかなとは思うんだけど」


「そうすると、ミチイルが行けば早いけれど、行かなかったとしても解決する方法はあるのね?」


「うん。他にもね、もし僕が行くとしたら、アルビノ村の人達をどうしようとかさ、そういう問題もあるんだけど」


「そうね、アタシーノ公国人とセルフィン公国人は大丈夫だけれど、スローン公国人もいるものね」


「うん。エデン人にバレる心配はあんまりないでしょ? もう足軽さんもアルビノ村より北には来なくなったはずだし。でも、スローン人が良くわからないの」


「そうね。スローン公国人も、パラダイスには50人くらいはいると思うけれど……アルビノ村は、以前ならアルビノ人が500~600人くらい住んでいたのよね。でも、この前のお兄様の話だと、アタシーノ公国人は、もう100人もいなくて、他の公国人が合計100人くらいだろうから、総勢で200人でしょう、それが人頭税の仕事をしているとして……たとえば、スローン人の税仕事をアタシーノ公国が肩代わりすれば、スローン人を帰国させられる可能性もあるわね。向こうからすれば、仕事が無くなって有難いとは思っても、文句をいう訳はないわね。みんなエデンでは働きたくはないんですもの」


「そうか。そうすると、スローン人さえ居なければ、僕がパラダイスのアルビノ村へ行っても、たぶん問題ないね。今はエデン人がアルビノ村へ出入りしているという話だけど、夕方には全員いないだろうしね、なにせ明かりも無いんだから暗くなったら帰れなくなるし」


「そうね。夕方くらいに向こうへついて、電球で明るくして、ささっと建てたりすれば、バレない可能性が高いかも知れないわ。電球の明かりがパラダイスの王都まで届くとも思えないし、夜中でなければ雨も降らないし、ミチイルが行くのは無理という感じでもないかも知れないわ」


「そうだよね~」


「ミチイルはどうしたいのかしら」


「うーん、正直面倒くさいんだけど、後の事を考えると、一度行っておいた方がいいかなとも思う。セルフィンが中央エデンでの工作も始めるでしょ、アルビノ村の現状も見ておいた方が、後々考える時に参考になるかも知れない。ま、薄暗くて見えないかもしれないけどね。それに魔力が無い土地だから、井戸もダメかも知れないし……ま、多分大丈夫だとは思うけど。だから、行きたくはないけど、仕方なく行こうかなって感じ」


「ふふふ ミチイルは小さいころから、あまり出かけたがらない子ですものね。でも、一度は見てみないと判断もしにくいだろうし……それなら、もう少し計画が進んでからにすればどうかしら。今は不確定な要素が多いけれど、たとえばスローン人の事もお兄様に動いてもらえば、もしかしたらアルビノ村から追い出す事もできるかも知れないわ」


「追い出すって……スローン人とは仲が悪いよね~」


「ええ。全員ではないけれど、女神信仰もしてない人が多いのよ。女神様を信奉している私たちの事を馬鹿にしてくるから、きらいなの」


「そうなんだ。僕、まだ会ったことが無いからね~」


「会わなくてもいいわよ、と言いたいところだけれど、救い主としてはダメなのかしら」


「どうかな~ 女神信仰が無いなら、たぶん救えもしないと思うから、関係ないかも~?」


「うふふ そうね、ミチイルの思うとおりにしたらいいわよ」


「はーい」


「それじゃ、お兄様に今の話をして、色々準備をしてもらうようにするから、それから改めて考えましょう」




***




「悪いね、わざわざ別邸まで来てもらって。ところで親方、家畜の方は順調?」


「はい、ミチイル様。セルフィンにも多数、送りましたが、その分はとっくに元の数に戻っています」


「そう、無理させちゃったね」


「とんでもないです」


「ソーセージの方はどう? 忙しい?」


「いえ、需要も安定しているので、製造も問題ないです。強いて言えば、腸詰魔法を終えた後に、燻製で加熱する時間が少し、と言ったところですね」


「あ、そうか。腸詰魔法が終わってからね、それを圧力鍋魔法で火を通して、それを燻製にして風味とか香りをつけるようにすれば、かなり時間が短縮される気がするけど、どう? できそう?」


「はい、おそらくできると思いますが、味の方は大丈夫なんですか?」


「うん、多分大丈夫。燻製の煙を少し増やして、短時間で風味付けをすれば、ソーセージの生産も増やせるよね?」


「はい。もし燻製で加熱の時間が減れば、今よりもかなり生産を増やすことは可能です」


「今は豚肉だけでソーセージを作っているんだよね?」


「はい。ミチイル様のご指示を忠実に守り続けています」


「ああ、ありがとう。例えば、ソーセージの生産を今の三倍も四倍もに増やす事はできる?」


「原料の肉が不足するかも知れませんが、それも豚の飼育を増やしていけば可能だと思います。農業部も余裕がありますし、飼料も増やせると思うので」


「そうだよね……鶏肉もたくさん使える訳じゃないよね?」


「鶏も、飼育を増やす必要がありますが、時間を頂ければ可能です」


「鶏肉もね、というか鶏もね、卵の需要が伸びると思うから、それはそれで増やしておいてもらえる?」


「わかりました」


「それじゃね、まず豚肉のソーセージだけど、今よりも長いソーセージを作って欲しいの。長さは15cmくらいで真っすぐの棒状にしてね。これはフランクフルトっていう名前になるから。それで、豚肉の原料が必要だけど、豚肉とね、同じ位の量の茹で大豆を混ぜて欲しいの。そうすると豚肉が節約できるでしょ? 固まりにくくなると思うから、片栗粉も添加してみて。材料は揃えておけば、後は腸詰魔法で問題はないだろうから」


「はい、大豆は飼料でも使っていますし、大豆の生産を増やしてもらって、それを使用することは可能です。茹で大豆というと、大豆を圧力鍋魔法で加熱するのでも大丈夫でしょうか?」


「うん、大丈夫。圧力鍋魔法は難しいと聞いたけど、使える人は充分いるの?」


「わたしの妻もそうですが、料飲部に所属している妻を持つものも多いので、そちらへ依頼することができますので」


「ああ、じゃ大丈夫だね。悪いんだけど、今言ったフランクフルト、毎日500本くらいは作って欲しいの。これはエデンに持っていくことになると思うから。味付けは今まで通りでいいし、圧力鍋魔法で加熱してからでもいいし、なんなら大きな鍋で軽く茹でてから燻製にしてもいいよ」


「それなら加工時間も短くて済みますから、本来のソーセージ製造の片手間に作れると思います」


「うん、じゃあ、それでお願いね。製造開始の指示は改めてするから、練習だけしておいてくれる?」


「かしこまりました」




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