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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
魔王になった

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洞窟の先に

アルカラと共に執事達が集まっていた食堂に来た。

聞いたところ、執事長からここで待機しておくように言われていたらしい。

簡単に今までの流れを執事達に話すと、多くの者は涙を流したり、悲しみをあらわにしていた。

そんな時ニグラが息を切らしながら帰ってきた。


「すごい音がしたけど大丈夫か?」


外にいたニグラが大きな音を聞いて心配になり帰ってきたそうだ。

奥さんが内緒で、自分の家に新しく吹き抜け部分を作ったと知ったら驚くだろうな。

ニグラはアルカラとポストルンの無事を確認した後俺のほうを向く。

少し疑っているようにも感じるが、その疑いはアルカラが晴らしてくれた。


「つかさがいなかったら私達は生きてなかったわ。改めてありがとう」


ニグラを説得したアルカラはおれの方へ向いて再び感謝を伝える。

ニグラも緊張感を残したままだが「ありがとう」と一言呟いた。

状況の整理がまだできてないニグラは、次にポストルンと一緒にいた『いって』に気づいた。


「つかさ、となりの部屋に来てくれるか?」


おれとニグラ2人で部屋を移動した。


「どこまで知っているか分らんから、最初から説明するぞ。まずおれは固有スキルや神器がない。オリジナル魔法ならあるが、自慢できるほどのものではない。そしてアルカラ。…彼女はゴリラの獣人だ。人族領では少し生活しづらい人種なんだ。 そして一番の問題はポストルン。あいつには固有スキルがある。」


ニグラは話しづらそうに少し間をおいて続けた。


「ポストルンの固有スキルは、他人のスキルや魔法を一時的に自分用にアレンジして使える『まねっこ』というものになっている。ポストルンの近くにいた生物も『まねっこ』によるものだと思うんだが、つかさの仲間に召喚術が使えるやつがいるか?」


ニグラにおれの固有スキル『干支召喚』の話をして、改めて連れている仲間の紹介をした。

ここにはいない従魔やジェミニの話をした後、ニグラから1つの質問を投げかけられる。


「つかさの知る中で、他に12の動物と関わるものって思い当たることがないか?」


おれは少し考えて気がついた。弓を持っている『いって』と仮名をつけた生き物。12との関わり。

12星座のいて座ではないかと考える。

自分自身、最初は1体ずつ契約をして、召喚できる数も多くなかったことを考えると、すぐに他を召喚して確認することは難しいだろうが、他の11星座の説明もしておいた。


「ありがとう。ポストルンのスキルはあくまで『まねっこ』。つかさが近くにいなければ発動も難しいだろう。  少し話を変えるが、火山のことだ。先ほどの噴火による影響は今のところ確認されていない。ただ今後のことを考えて1つ調査してきて欲しい場所がある。」


次の目的地を決めて、おれとニグラはみんなの待つ部屋に戻る。


「次の目的地が決まった。火山の麓にある【マラビージャス】という場所らしい。行くぞ。」


おれはポストルンといってに「いってくる」とひと言声をかけて部屋を出た。


ニグラの説明では、街の火山側の出口付近にトロッコが走る線路があるらしく、それを辿ると洞窟に着くそうだ。

おれはバインフーに乗り、線路に沿って火山を目指す。



それなりの速さで走りっぱなしにも関わらず、到着した時には日が暮れ始めていた。

洞窟入り口にある、門をくぐろうとするがはじかれてしまう。

休憩がてら食事を取りながら今後の流れを考えていると、木々の間から一人の女性がこちらの洞窟に向かってきた。


「どちら様でしょうか?」


「朝の噴火による影響がないか、ニグラから依頼を受けて調査しにきた」


女性は厄介者を見るような目で、おれ達を見た後、ポケットから出した道具で門を2回叩いて案内してくれた。


洞窟内も線路が続いており、その線路を辿って奥に進んでいく。

洞窟内にはきらきら光る鉱石がたくさんある。この鉱石をトロッコに積むのかと考えていた時、急に案内の女性が腰を抜かしてその場に座り込んだ。


「ゴ、ゴブリンです…」


おれは怯える女性の前に立ち、本を出して数枚のカードをかっこよく地面に投げて、女性に手を差し伸べた。


「行きましょう」


女性は立つことができずにいる。

仕方がないので、クテクに人型になってもらって抱えてもらった。

女性が迫ってくるゴブリン達に恐怖で目を逸らした瞬間、「リベレ」と唱え魔法を解放する。


土魔法でできた太い槍が縦横無尽に現れて、洞窟内を埋め尽くすと、女性は驚きのあまり固まってしまった。

おれは土魔法でできた槍を再びカード化して本に収める。

土魔法は他の魔法と比べて何度でも使えるためコスパ最強で使いやすい。


洞窟内をそのまま進んでいると、女性が我を取り戻して自力で立った。

女性は、洞窟に入るときに使った道具を取り出して地面を1度叩く。甲高い音が洞窟内を反響した。

音が鳴りやむと地面に大きな扉が現れ、女性は無言で扉へ手を差し出す。

それはまるで「開けれるなら、どうぞ」と言っているように見えた。


最初普通に開けてみようと試みたが、重くてとても上がらなかった。

おれは魔神の神器に魔力を流して、力強くなるようバフをかけてみたが、ピクリとも動かない。

おれはウサギのラパンと牛のアステリオを召喚した。

アステリオが力づくで試みている間に、ラパンに攻略法を相談してみる。


「アステリオが開けるのも難しそうでしたら、バインフーの風魔法で支援してみるのはいかがでしょうか。少し空いた隙間に圧縮した風魔法か、土魔法をテコのように使うかですね」


結論がまとまって伝えようとしたとき、ギギギと扉が浮く音がした。

急いでバインフーに風を流し込んでもらって、扉の下から竜巻のような突風を起こすと、扉に模様が浮かび上がってゆっくり開いた。


「ついてきて下さい」


女性は静かに階段を下りていく。

力作業の用事だけ済ませてもらったアステリオは送還して、ラパンにはそのままついてきてもらう。

階段を降りると広い空間が街のようになっている。

たくさんの設備があり、多くの人が作業をしているが、あまり歓迎されている様子ではなかった。


「こちらでお待ちください」


女性は広間になっている場所におれ達を残しどこかへ行ってしまった。



(ラパン、ここマラビージャスってとこらしいんだけど分かるか?)


(マラビージャスはミツモリ内にある火山の中の洞窟ですね。中は見ての通り、魔石の採掘や加工が盛んな街です。ただ、女性はエルフ、男性はドワーフのみが存在している少し変わった歴史を持つ地域になっており、みな首や手首に同一の模様があると言われています)


気がつかなかったが、さっきまでの女性もエルフだったということになる。

念話でやり取りをしていると、小さなよぼよぼのおじさんが出てきた。


「一応聞くが、魔王がここになにしにきた? あ、考えるだけで口は開かなくていいからな」


は?何言ってんだ、このよぼよぼちびじいさんは。

と内心で思った時にはおれは空中に飛ばされて天井を見ていた。


「だれがよぼよぼちびじいさんじゃ!!お前みたいなガキンチョには負けんぞー!」


見た目に反するめちゃ強じいさんだったが、なぜか苛立ちや悪い気はしなかった。


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