同志
ベーグルバーガーを食べ終えた門番は、自宅まで案内してくれることになった。
「おれの名前はミツモリ ニグラ。おまえ達名前は?」
「おれはつかさ。肩のトンボが精霊のジェミニ。反対の肩にいるねずみがスーリ。背の高い方がクテクで、小さい方がバインフー。黒いのが太牙くん。 よろしく」
道中で自己紹介を済ませた。
「精霊は珍しいな。しかもその護衛の獣人達。どこから来たかは知らんけど、親はなにしてんだ?」
元魔王とは言えないし、転生前の親がパン屋だったからそちらで話を進めておいた。
納得はしてない様子だが、さっきのバーガーも相まって真実味はあるため、それ以上深掘りはしてこなかった。
程なくして、ニグラの家に着くのだが、とても広い大豪邸だった。
おれたちは看守の横にある小さな扉から敷地内に入る。
そこからも長い道のり末、ようやく建物の中に入れた。
「お帰りなさいませ。」
建物の中には、おれの従魔よりも明らかに多い執事が従事していた。
少し気になったのは、執事は普通の人に混じって獣人がいるのと、ちらほら人形のロボットがいるように見えた。
「ぱぱー!」
「おかえりなさい」
奥様とご子息だ。
奥様はとても…きれい、とは言えない。が綺麗ですねとしか言えなかった。
なぜなら女性では見たことないレベルのゴリマッチョなのだ。
(美人声なのが余計ギャップだわ)
「妻のアルカラと息子のポストルンだ。」
奥様は笑顔で会釈をするのだが、筋肉のせいで、何をやってもすごい緊張感だ。
「今日はゆっくりしててくれ。夕食の時にでも話をしよう。ポストルンと遊んでくれるとうれしいな」
ニグラは門番の時と違って、家ではやんわりしている。
奥さんが怖いんかな、なんて考えると目だけで殺されそうな雰囲気だ。
おれ達は執事の案内で客間へ案内された。
従魔達には自由にしてもらいつつ、おれはニグラの息子であるポストルンの所へ行くのだが、太牙くんとバインフーはついてきた。
ポストルンは一般的な2歳ぐらいの子どもだ。
中身までピュアな2歳のポストルンと、中身がおじさんなのに裸のおれ。裸に慣れてしまったがために、服がないことに違和感を感じなくなってしまった。
魔神の神器でジャージを装備する。
他者からは見えてないらしいが、服を着ているという自己満足でこの場をやり過ごすことにした。
「ポストルン、おれの名前はつかさ。こっちの白がバインフーで、黒いのが太牙くん。 よろしくね」
女性執事が目を丸くして驚いている。
普段からポストルンを見てると、同じ背格好でちんちん生出ししてるくせに、自己紹介ができるっていうちぐはぐなとこに驚いてるんだろうな。
そこで驚かれたことが少なくて忘れていたけど、普段からずっと見ているからこそ気になったんだろう。
おれは気にせずバインフーを背もたれに座り、太牙くんをポストルンに貸した。
ポストルンとモーモーのミルクで乾杯をし、他愛もない話をしたり、本から出す魔法で遊んだりした。
同じミルクを交わしたおれ達は同志だ。
と、勝手におれは思っている。
夕飯時にはニグラにここまでの経緯と、これからダイダロに会いに行くつもりであることを話して、夕食の時間はあっという間に終わった。
翌早朝、大きな地震によって目が覚めた。
従魔達は野生の感か、警戒アンテナがビンビンだ。
おれがポストルンの所へ行く間に、太牙くん達にはニグラを探してもらうように伝えた。
ニグラはやさしい父親で、おれよりも早くポストルンの側にいた。
ひと安心したおれにニグラが言った。
「火山の噴火だ」




