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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
魔王になった

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衝撃と挑戦②

この1ヶ月間当初の目的も忘れ、ハンバーガー販売に明け暮れていた。


レストラン内では看板メニューとなりつつ、認知されてきた頃大通りでの出店が決まった。

イベント出店ということで期間は2日。イベント報酬は人気投票1位店舗の商品を領主に献上すること。

領主は一応貴族で、イチノセの第3席らしい。


この1ヶ月で分かったことがいくつかある。

まずこのイチノセという国。第1席が国王のようなもので最高権力を持つらしいが、中央都市だけを贔屓にして、他の都市は領主事に丸投げ、ひどいところは嫌がらせを受けているらしい。


第2席は国王の長男で、第1席の補佐として、その肩書きを良いことに中央都市で好き勝手しているらしい。


第3席であるここの領主は少し変わっているがために、この辺境へ飛ばされたらしく、実質除名にほぼ近いとか。

貴族同士での関わりをめんどうに感じているため、他の地域とも交流はないが、領主の館は街人達に『しこり』と呼ばれている。

なにもしなければ治安も良く問題事もないが、領主に目をつけられると、悪党達が街の外へでも追いかけてくるらしい。


アーゴン曰く、中央都市では混血や人族以外の立ち入りができないらしく、いろいろな規制が厳しいらしい反面、この街は『しこり』の中にも獣人やエルフ、その混血がいるらしく、商売もやりやすいそうだ。

今回の目的は知名度を上げてレストランの売り上げ向上を目指しており、優勝の報酬がいらないため適度な案配を見極めなければならない。



イベントの日の前日、レストランでハンバーガーの仕込みを終わらせ明日に備えて早く寝る。

そして翌朝の早朝準備を開始した。

レストランでパンを焼いて、出店の方でも販売準備を開始した。

滞りなく準備は終わり開店を待っている。

他にもお店は出店してて、他の街からも来ているらしい。

通りに立っている看板を見ると店の一覧があるが、飲食店だけでなく、工芸品や芸術品など様々な分野が立ち並んでいる。


「間もなく催しを開始します。皆様お足元にお気をつけください。」


イベント会場入り口のスタッフが掛け声と共にテープを切ると、ぞろぞろと人の波が会場内を埋め尽くした。


おれ達のお店にも人が並び、料理の準備が進められた。

鉄板で肉を焼き、お店で焼いたパンに挟む。チーズを乗せて、特製のバーベキューソースをかけて、シャキシャキ野菜も一緒に挟んだら完成。


「お待たせしました!バッファローバーガーの出来上がりです!!」


列の最後尾は見ない。

今目の前にいるお客様に確実に渡していき、1つ1つこなしていく。

パンが減ってくれば、レストランから届けられ、どんどんハンバーガーは売れていく。

夕方過ぎに完売して1日目のイベントが終わった。

そのまま2日目の仕込みに入り、1日目よりも多く支度を進めた。

夜が深くなった頃に作業は終わり、宿へ戻った。

ヘトヘトになったおれは、ベッドにそのままダイブして眠りについた。


翌朝早くレストランへ準備に向かうと、お店が木屑と化していた。

お店の片付けをする従業員達の姿は明らかに沈んでいる。


「いったい何事?たった数時間でなにがあった?」


おれは近くにいたアーゴンに状況を聞いた。

レストラン自体は木屑となっており、店内の一部機材のみが辛うじて残っている様子だった。


「知らんけど、おらん間に燃やされたみたいやわ。出店をどないするかやな」


アーゴンは見るからに頭を抱えており、従業員からも、落胆の様子が感じられる。店主のジャックに至っては、行き場の無い怒りに、体が震えている。

みんなの様子を見るからに、今犯人追求では無く、出店の事を考えているのは伝わってくる。

そこでおれも何もしないわけにはいかない。


本の中にあるモーモーのミルクやモンシューの卵、大量にある小麦等で材料は間に合う。

機材も頼りになる召喚獣達のおかげで問題ない。

通りの出店まで行き、リックを召喚して、作業台や調理器具を土魔法で作ってもらう。

マチカを召喚して、水魔法で洗ってもらいながら、2人には魔法の無駄遣いをしてもらっている。


残りは発酵機とオーブン。

進化して固有スキルがアルケミストになったというラパンを召喚する。

アルケミストは材料さえ整えばなんでも作れるらしい。

アイラに頼んでいた物は、ラパンが用意できるようになったわけだ。

ラパンを召喚しようとしたところで、イベント関係者が来た。


「これはこれはバッファローの皆様、お忙しそうですね。昨日よりも広々と場所を使われているようで。」


代表のおじさんが声をかけてきたが、心配しているようには聞こえなかった。


「昨晩、お店が原因不明の火事になりまして…」


ジャックの店員の1人が答えると、イベント会場の代表は悲しそうな表情をした。


「それは大変でしたね…昨日は大盛況でしたので、本日もお客様のお声に答えれると良いですね。」


何しに来たか分からないぐらいの会話で、イベント関係者は立ち去った。

開場まで時間が無いおれは、急いでラパンを召喚して、発酵機とオーブンを作ってもらった。


発酵機もオーブンもお店で火事になったものをカード化して運び、それをもとに新しく作り直してもらった。

魔族領にあるものと同じ仕組みで魔力で立ち上げ、熱コントロールをするらしい。

当時はできなかったが、魔王になった今ならできる。


準備は全て整った。


原材料は全て魔族領産の物になってしまうが、準備は開場前に整った。

いよいよ開場し、昨日同様、たくさんの人が会場内を埋め、バッファローにも列ができた。


「お店が火事になったらしいけど大丈夫か?」

とか

「昨日の評判聞いて来た」

など

たくさんの声がありながら、1日目を上回る売り上げだった。


昨日から忙しく、朝から予想外の事件で片付けが面倒になったおれは、一旦全てをカード化して本に収めることで、一瞬で撤去作業を終わらせた。


バッファローのみんなと打ち上げで酒場に入ると、店内では少し話題にされた。


「お疲れさま!昨日行ったけどおいしかったな!!」


「今回の人気投票1位はあの『ハンバーガー』ってやつだろ」


そんな具合でたくさんの称賛を頂きながら、打ち上げは酒場内全体を巻き込んで、大いに盛り上がった。


そろそろ切り上げようかと思っていた頃、酒場に朝のイベント関係者が入ってきた。


「大火事の中、大変お疲れさまでした。広々と場所を使ってたにも関わらず、素早い撤去作業。さすが人気店は商品だけでなく、従業員もすばらしいようですね。」


代表のおじさんがアーゴンに言った。


「えぇ。ほんま、従業員様々ですわ。」


アーゴンも嫌味ったらしく返す。


「今回の人気投票でバッファローのハンバーガーが1位となりましたので、後日領主様に実演で振る舞っていただきます。まさかその場所で裸の子どもが領主様の目に入るなんてことがないように、よろしくお願いしますね」


おじさんはおれに視線を向けながら言った。

逆に従魔達がおじさんを睨み殺そうとしているのは、念話でやめるよう伝えた。


イベント関係者達は言いたいことを言ったので出ていったが、盛り上がりも冷めてしまったので、酒場は閉店となりお開きとなった。

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