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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
魔王になった

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衝撃と挑戦 ①

頼んでいたパスタセットが届いた。

サラダとクリーム系のスープパスタとパン。

さっそくパンを頂こうと手に取ったが、固くてちぎれない。


「あんたパン食べるの初めてなの?スープにつけながらじゃないと食べれないわよ?」


たくさんの転移者がいて、たくさんの文化がある中で、パンが遅れすぎている。


「アニサさん。柔らかいパンはないんですか?」


「ここにはないわね。イチノセの中央都市『ボーデ』の中でも、貴族御用達の超高級レストランでなら、やわらかいパンもあるけど、あのレストラン以外ではパンはこれだけよ。小麦という作物も希少らしく、ここで食べれるのも物好きな店主だからよ」


これはもらった。

テーブルの下でガッツポーズをしたおれは、急いで食事を済ませて、店主を呼んでもらった。


中から目が細く太った店主が出てきた。食べることが好きそうなのが、風貌から伝わってくる。


「店主さん。ご相談なのですが、我々とお取引していただけませんか?」


おれのことを奴隷商人のボンボンだと思っているだろう店主は、軽くお辞儀をして小さな声で答えた。

「ご遠慮させていただきます。」と。


まあ見てくださいよ。と言わんばかりに、本から1枚のカードを取り出してテーブルに置いた。

おれの「リベレ」という声と共に、テーブルの上にハンバーガーがでてくる。

これは魔王就任後、こっそり自分用にいくつか作ったものだ。

新しいフォークとナイフをお借りして、不思議そうに眺める店主に食べてもらった。

恐る恐る口に運ぶが、口に入れてしまえばこっちのもの。店主は目を大きくして残りも食べ進めた。


「これをこちらで販売していただきたいのですが、お願いできますか?」


「…オーナーと相談してみます。」


店主さんが少し考えて返事をしたのに対して、おれはゆっくり考えてください、と返して店を出た。


アニサさんとはここでお別れをして、従魔達と街を散策した。

大きな通りではいくつかの出店があるが、いかがわしい雰囲気のところが多い。


「坊っちゃん!これどうだい」


こんな安いキャッチに、おれは引っかからない。

改めて思うと、裸の子どもに声かけてくる人達もおかしいとは思うが…



その後もパスタのお店に毎日通っていると、数日後に店主さんが挨拶にきた。


「先日のお話詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか。」


「はいよろこんで」


おれは快く本からハンバーガーを出して、説明をする。

店主さんはジャックというらしく、牛の獣人と人族の混血らしい。

ジャックさんはお店でパンもパスタも作ってるらしく、パスタは上手かったけど、パンは正直食べれた物ではなかった。


「ご相談なのですが、こちらで作ったパンをご提供するのと、パンの作り方から全てお伝えするのはどちらがよろしいですか?」


「そりゃあ、全部教えてもらうに決もうとるやろ」


奥から立派なアゴをした男が現れた。


「久しぶりやな。覚えとらんかもしれんけど。おれの名前はアーゴン、ここのオーナーや」


立派なアゴのアーゴン…知らない。

おれが首をかしげて考えていると、アーゴンが話を続けた。


「あの時は目が死んどったからな。そんなことはええよ。これの作り方を真似できたらうちの店のもんにさせてもらうで」


それは別にいい。独占するより他のアレンジや、この世界ならではの工夫の方が楽しみだ。

今やっているパンの作り方をジャックさんに聞いたが、酵母を使ってないらしい。


「売り方は任せます。明日の朝から教えに来るので、よろしくお願いします。」


その日の話はそれで終わり、次の日の早朝にお店へ行った。

今日は協力なアシスタントを呼んでいる。


「おれの名前はつかさ、こっちの子はサージュ、猿の獣人です。昨日はこちらの紹介を忘れていて失礼しました。早速始めましょうか」


作業部屋にお邪魔して実践を始める。

今回酵母だけこちらで準備させてもらった。


材料を全部混ぜて、生地を作り、分割して、発酵させ、焼き上げる。

パンが焼けた時にはお昼過ぎていた。

挟むためのお肉は、合間に準備をしてもらっていた。


できあがったハンバーガーをみんなで頂いたがうまい。パンはもちろんだが、中身のお肉がしっかり歯ごたえがあってうまい。


「ほんまに柔らかいパンやな!来月は通りで出店できるように今月中に仕上げるぞ!」


そんなわけで急遽1ヶ月、サージュと一緒に通いつめることとなった。

もちろんタダではない。毎日3食のまかない付きを条件に承諾した。

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