忍者小国
苦戦した部屋を出て、目の前にある広間を目指して廊下を渡る。
しかし、どれだけ歩いても広間までの距離が縮まらない。
廊下が長いわけではないし、押し戻される感覚も無い。確かに前に進んで歩いているはずなのに、一向に広間に行ける気がしない。
「なんか変だな」
太牙君が違和感を言葉にした。他のみんなも同様に感じていたようだ。
「みんな右側に寄ってくれるか?」
みんなで壁に背中を当てて手を繋ぎ、一列に並んだ。
両腕をしっかり伸ばして、一番端のおれが先程の部屋のドア前に足を置き、反対端の広間に太牙君が足を置く。
太牙君が広間に足をつけたまま、太牙君の尻尾を噛んでいるクテクや、クテクの尻尾を噛んでいるバインフー、バインフーの尻尾を握っているおれも、順番に広間へ入ることに成功した。
「どちら様でしょうか」
どこからともかく声が聞こえた。
広間を見回しても人の姿は無く、壁に絵画や掛け軸がかけてあるだけだ。
「誰の紹介で、どこからいらっしゃいましたでしょうか。」
声の主が分からないのでどこを向けばいいかすごく難しいし、本当のことを言っても大丈夫なのか分からないが、ひとまず答えてみる。
「招待は受けてないが、強制的に人族領に連れてこられて、最初に着いた場所が向こうの部屋だった。ここはどこなんだ?」
「ここはヨツヤと呼ばれる東の小国でございます。ヨツヤには西側に他国と交流する小さな村が唯一ございますが、ここはそれより東側、国民のほとんどが暮らしている城でございます。ここはその最上階。本来人が来る場所ではないのです」
人が来る場所ではないなら、早々に退散させていただこう。
「おれ達も家に帰りたいんだけど、出口を教えてもらえるかな」
すると1つの絵画から1匹の小さな亀が出てきた。
「私が建物のお出口までご案内いたします。ついてきてください」
亀はおれ達の先頭で道案内を開始した。
だが歩みがのろい。そして数歩進んだところで止まった。
息を切らしながらこちらへ振り返る。
「ご無理なされないように…」
(いや、誰が言ってんだよ)
胸の中で突っ込んでしまったが、太牙君は口に出ていた。
「乗せようか?」
「お願いします」
即答だった。
太牙君の背中に亀を乗せて、指示する方向へ進み、丸い扉の前に来た。
その扉を開けると、小さなトンネルになっている。
「順番に連続して通っていきます。私が前を行きますのでついてきてください」
透明のトンネルは建物の外を通っている。
思ったより速くトンネルの中を進む。
建物の中には忍者がちらほらこちらを見ている。
建物の外観を観察しているとトンネルから放り出された。
「建物の内部はからくりが多いのでこちらを使わせていただきました。皆様ご無事でなによりです。あちらに見えますのが、ヨツヤ唯一の村。これで建物から出ることができましたね。それでは私は失礼します。」
空中におれ達を放置したまま、亀は消えてしまった。
おれは急いでモンシューとビテスを召喚して、空中でそれぞれの背中に乗せてもらった。
「つかさ!大丈夫だったか。他のみんなも準備万端だ。どこを滅ぼす?」
「あきおが倒れたのでつかさ様がお亡くなりになったのではないかと、一同心配しておりました。」
一心同体なおかげで、ピンチな状況を伝えれていたようだ。
呼び掛けにすぐ答えてくれて助かった。
ひとまずはこのまま上空を移動し、この国を出ることにした。
いつも短いですが、本日私情により、いつもよりさらに短い回になってしまい、すみません。
もっと前もって準備できるようにがんばります。




