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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
魔王になった

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神器無き闘い

ギギィという音共に鎧がゆっくり動いたかと思うと、一瞬で間合いを詰めてきた。無意識の中、魔神の神器の付与効果で回避する。

鎧は空を切ったが、すぐに追い討ちをかける。

横から太牙君が、武器を持つ手元を狙って体当たりをして攻撃は外れた。


太牙君とバインフーはおれの前でガルガル言ってる。

クテクとスーリ、ジェミニは沈黙。おれの体から離れない。


バインフーと太牙君の白黒虎コンビが鎧に向かって果敢に攻めるが、牙や爪は通らず攻撃がほぼ無効化される。


「調子はどうだい?苦戦してるみたいだからヒントをあげるね。私は優しいんですよ。 この鎧君、とっても固い鉱物で作ってあるから物理耐性が高い反面、魔法などの間接的攻撃に弱いよ。この魔法やスキルが使えない状況でどのように攻略するのか、楽しみです。 じゃあがんばって~」


うざい。

魔法が使えないのに、魔法でなら倒せるというのは、所謂無理ゲーだ。

もしくはとんち。どっちでもめんどくさい。

なんにせよ、おれに攻撃手段が無いのが問題だ。


(クテク、締めて関節とかの弱い部位を破壊できないかね?」


おれは腰に巻き付いているヘビのクテクに、念話で聞いてみるが返事がない。


(おーーい)


他のみんなも呼び掛けに対して、返事がない。不便だ。

だが、バインフーも太牙君も闘ってくれている。

クテク、スーリ、ジェミニはじっとしているから、できることが無いと捉えておく。

現状おれにも攻撃手段はない。バインフーと太牙君も狙われるように立ち回っているだけで、攻撃が効いてる様子はない。


対応策を考えているおれは集中しすぎて、鎧の姿を見ていなかった。

バフもりもりの魔神の神器が回避行動をとるが、鎧は先程以上の連撃で的確に当ててきた。

胸部に鋭い突きを入れられ、凄まじい勢いで壁に叩きつけられた。全身に激しい痛みが走り、体が痺れて動けなくなる。


意識が朦朧とする中、鎧は目にも止まらぬ速さで間合いを詰め、おれの顎に蹴りを入れた。

天地が逆さになり、目の前が真っ暗になった。



意識が戻ったとき、先程の部屋とは違う空間にいた。

宇宙のように広くてなにもない場所。

所々にキラキラ光る物がある。

その中でも一際輝きの強い物に、気づけば吸い寄せられていた。


「何しにきた。ここはおまえの来る場所じゃないぞ。」


その強く輝く物から、懐かしい声が聞こえる。


「パトラ?」


「つかさ。早く戻れ。ここを受け入れるな」


おれにはパトラの言葉の意味が分からない。

魔王になったこととか、たくさん話したいことがある。

ただパトラがいるというのは、おれが死んだってことだ。


「パトラ…おれね、魔王になったんだ。それでね、」


「早く行け。その話は今じゃない。まだ戻れる」


おれは自分の死よりも、パトラにまた会えてこの場を離れたくないと思った。

ただ、戻らないといけないのも理解はしている。

まだ魔王としてなにもできてないし、別れを伝えれてない仲間達がいる。


「パトラ。必ずまた会おう。あんたはおれにとって大切な親父だから」


おれは涙をこらえ、パトラに背を向け進む。

後ろで小さく何か聞こえた気がしたが、振り返りはしなかった。



この空間からの脱出を試みるが、どこに進めばいいかが皆目検討つかない。


辺りに見えるのは、パトラのようなキラキラ光る物ばかり。

違和感があるとするなら、場違いな刀が1本あるだけだった。

おれは近くまで行き、刀を掴むと白い空間に移動した。


「おいおいおい。こいつを返す前に死ぬとはどういうことだよ!勘弁してくれよ」


「神器に頼りすぎとるけん、こんなことになるんだろ」


鬼神のマルージュと、龍神のドーベンがおり、おれが手に握っているのはリクドウだった。


「そのまま少し待っていろ」


マルージュが見慣れた機械を使って、誰かに連絡をとっている。


しばらくすると、魔神、人神、獣神、精霊王、神王が集まった。

揃って見るのは初めてだ。


「つかさの復活について、反対の者はいるか?」


マルージュが他の神に確認をとるように聞くと、人神がすぐに手を上げた。


「魔王の復活を望む人族はいないよね」


「本当にそうか?魔族領にいる3人の人族。オスロの街のやつら。つかさを必要とする人族もいると思うが?」


オスロの街。久しぶりに聞いたが、舞達は元気だろうか。今度顔を出しに行こ。


「そもそもつかさ君でないと、あの者を排除することはできないと考えています。最近は人族でも問題行動が目立つのではありませんか?」


神王の発言に人神は図星をつかれ、言葉が返せない。


「じゃあ全員の承認を得たということで、つかさを復活させる。リクドウも返しておくから早く終わらしてこい」


神々に見守られながら、おれは例の部屋に戻ってきた。

手元にはリクドウもある。

ボロボロのバインフーと太牙君と一緒にクテクも戦闘に参加していた。

ジェミニとスーリは、肩から下りておれを見ていたが、おれは静かに立ち上がり刀を抜く。

鞘から抜いたリクドウは斧になっていた。


「今回は特別に裏メニューを教えてやる。魔力を込めて武器を振ってみろ」


リクドウに言われたように、斧に魔力を込めて鎧に当てると、鎧は瞬く間に蛙へと姿を変えた。

おれは蛙に斧を振り下ろし、無事勝利した。


「魔力を流すと武器種によって効果が変わるが、斧モードは対象を動物に変える効果がある。これからも頼むよ。もうあんなとこはこりごりだぜ」


虎達を始め、みんな疲労感でその場に伏せた。


「鎧君倒しちゃうなんてマジ~?魔法使えないはずなんだけど。まあ仕方ない。今回は私の負けにしといてあげましょう。その国から出ることは容易ではありませんからね。 ではまた会う日まで」


戦闘が終わり一休みしたつかさ達は部屋を出る。

木造の建物で目の前には廊下。特に変わった様子はない。


「つかさ様大丈夫ですか!?」


部屋を出るとスーリから声をかけられた。

その言葉に反応すると、安堵したように肩の力が抜けたのが見てとれる。


「つかさ様の生命力が尽きた時はすごく焦りました。」


「ごめんね。もうなんともないから」


バインフー達にも心配をかけてしまった。

リクドウも戻ってきたしもう大丈夫だろう。

みんなで建物の出口を探すため、歩みを進める。


つかさ達が、この時魔族領で起こっていた事件に気づけるはずがなかった。

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