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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
人魔大戦
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鬼姫

アカリ視点


シャティロンに向かっている時、上空のつかさや、地上にいるこちらへ人族が攻撃をしてきた。


「ハッハー!集団を相手に戦うなんて滅多にないからね。龍族には遅れをとらないよ! 篠の春雪」


辺りの人族を切り伏せている間につかさはシャティロンへ移動し、従魔の1人が残って共闘することになった。

よりによって不気味なヤギの方だ。


「おまえ!巻き込まれるなよ!」


「イルコスだよぉ。巻き込まないでね」


見た目の不気味さとは違って、自信無さそうに名乗ったヤギと温度差を感じた。


篠の春雪を解放したことで、周りにはピンク色の雪が降っている。

人族は雪?だの幻想的だの、呑気に見とれているが、もちろんただの雪が急に降るわけもない。

雑魚達がそれに気づいた時は既に遅い。

雪が当たった箇所は凍りついてしまう。全身に雪が付いた時、氷で覆われた体はもう二度と動くことはない。

気づいて雪を払ったり、避けようとするが、斬りかかるとすぐに雪の対応はできなくなり、人族が凍っていく。


キン!!


「なんでこんな酷いことができるんですか!!」


女が斬りかかってきたのを止めると、大きな金属音がなった。


「愚問だね。そっちが殺すつもりで来てるくせに、やられたら被害者を演じるわけ? ハッ!笑えないね」


女の剣を振り払って横っ腹を殴ろうとしたら、不自然にあった泡を殴ってしまった。

泡は弾け、蒸気に包まれてしまった。蒸気の中から剣が斬りかかってくるが、それに対応できないほど雑魚ではない。

すぐに刀を持ち替えて剣を流し、上から押さえつけた。


女は剣が地面に刺さり抜けなくると、その剣を手放して距離をとった。

近くで凍っている人が落とした剣を拾って構えた。


「それはおもしろい戦い方するねぇ」


「一応ニホンギの第一王女なんで。」


言ってることが理解できないが1つ分かったことは、あたしもこいつも長の娘だと言うこと。


「あたしは鬼頭の娘、アカリ。愛刀は篠の春雪。見ての通り雪に降れたものを凍てつかせるよ」


あたしの後、女も続けて名乗った。


「ニホンギの第一王女、ニホンギなお。会話ができるなら戦わない選択肢はないのかな。私の神器はこれだよ」


ニホンギなおはネックレスを外して、手首に巻き付けると剣の柄が出てきて握っているが、刃はない。


「甘えたこと言わない。」


胸部に69の数字が書いてある女が後ろから来て、柄に触れると、水の刀身が現れた。


「オルレアンの外にあまり興味がなかったが、つかさと会ってからはいろんな経験ができて楽しいんだ。がっかりさせないでくれよ」


「つかさの名前が出るとは。最初から全力でいくよ」


新しく来た女が腰から笛を取り音を奏でた。

ゆっくり聞きたいと思えるほどだったが、そうもいかない。

地面から小さな泡がたくさん出てきて凍っている人族を溶かしたり、降っている雪に当たるとそちらも消えている。


「イルコス!手伝いなよ」


後ろただ立っているだけのヤギを呼ぶと、ぶつぶつ言いながら隣に来た。


「あんた何ができんの?」


気だるそうに文句を言っているのが少し腹立つのが、つい言葉に乗ってしまった。


「催眠や幻覚魔法の類いだよ。」


こっちの気持ちが伝わっているのか分からない返事だった。

ただ気づいた。こいつ使えない。


「雑魚達を止めててくれればいいわ。あの2人はあたしがやるから」


指示を聞いたイルコスはため息をつきながら、地面に落書きしている。

余計に腹が立つ。

帰ったらつかさをぶっ飛ばす、と心に誓った。


ニホンギなおの方に向き直り、雪をちらつかせながら斬りかかった。

刀を止めた水の剣は音を立て、振動しているのが分かった。

打ち合いながら、滑る感じに受け流されてしまうが、向こうから攻撃してくる様子が無い。リズムを崩され、一度距離をとる。


「あんたは受けるだけ。泡も雪を溶かすだけ。あんた達の目的はなんだい?」


「もう1つの街を人族の物にできれば、ここの戦いは無意味。あなた達を足止め出来てればいいだけ」


(ブレストか。つかさの事だから無策ではないはずだが、気がかりではある。)


丁寧に説明してくれた第一王女と、別れの挨拶をすることに決めた。


「ありがとね。そういうことなら手短に終わらせるよ。イルコス!後はなんとかしなさいよ」


後の事は頼りないヤギに任せる事にして、大技を打つことにした。

刀を地面に突き刺し、準備を始める。


『うつせみの 命を尽くし 咲きし花

消えてのちこそ いのち萌え出づ』


瞬く間に辺り一面が竹林になってその竹に刺されて命を落とした人族も少なくない。

竹には花が咲いており、舞い散る花びらが残っている人族に襲いかかる。

急に竹林で動きが制限され、視界が悪い中、襲いくる攻撃に成す術の無い人族は撤退を余儀なくされた。


アカリは満身創痍でありながら、刀に手を乗せたまま立っている。

そこへイルコスが魔法をかけると、何もなかったかのようにアカリが元通りになった。


「これはなんだ?」


目を丸くして驚くアカリにイルコスは言った。


「設置型の魔法。何もなかったと体に思わせる幻覚魔法で、最悪死んでいても一時的に復活できる。あくまで幻覚だから解けるまでにつかさ様と合流しよう。」


魔力全てを消費して3日は動けないことを覚悟していたが、イルコスを少し見直した。

しかもこいつがヤギの姿になって運んでくれることになった。


(見た目とは裏腹にいいやつだな)


無事人族を退けたあたし達は、スーリを使ってにブレストの事を伝え、つかさと合流するためシャティロンへ向かった。

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