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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
魔族領の生活
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密林での生活

密林1日目


午前中はメリアス軍団から魔法をもらった。

午後からは魔王に密林まで連れられ、1週間後に帰ってこい、と言われた。早くミルク離れをしたいおれは、密林の奥にあると言われる街を目指してシュバルに移動を任せている。


(この調子で進むと何日で着くかな)


シュバルが体感時速60kmで走るし、舗装されてない道を躊躇無く行くから酔いそう。

ラパンが近くのツタを使って、おれをシュバルにくくりつけてくれた。最初振り落とされてしまったからな。

丈夫な体じゃなかったら、確実にゲロってたわ。

丈夫なおかげかは知らんけど。


(何事も無ければ2日後の朝には着くと思います)


当初の予定では1週間弱だったはずなのに、シュバル頑張りすぎだろ。

1時間ぐらい走ってとりあえず休憩してもらった。

シュバルは余裕そうだがおれがしんどい。ミルクを飲んで、寝ている間に進んでもらうことにする。


ミルクを飲み終え、ラパンにツタで縛ってもらおうとした途端、目の前にカエルが現れた。バスケットボールぐらいある、ドン引きサイズのカエルが現れた。

赤ちゃんボディのおれにとっては、デカすぎる。


戦闘を避けることを考えていた矢先、シュバルが突進していった。

カエルは回避が間に合わず、後ろの木にぶつかって意識を失った。


(倒したってことでいいのかな。このカエルどうしよう。)


ゲームみたいに消えるわけでもないし、放置するのもなんか後味悪いから、一旦収納してみよう。


カード化に成功した。

ボウフロッグ 【R】


レア度【R】ってことは強かったのかな。

無事、初魔物を討伐。シュバルさまさまですわ。

カード化を解除するとさっきのカエルが出てきて、またカード化できた。魔法みたいに使い捨てではなく、出し入れ自由みたいだ。


カード化の実験も少しできて、有意義な休憩だった。

移動に戻ろうとシュバルに乗ったところで、またカエルが出てきた。

しかも今回は5、6匹は見える。


(シュバルよろしく)


シュバルは「モー」と1鳴きして突進した。

1匹のカエルは戦闘不能になったが、残りのカエルが口から泥の玉を吐き出した。

泥に足を取られ、シュバルの移動が鈍くなってしまった。


おれは急いで魔法を使う。

火の玉は、植物が多いからダメ。

水の玉は、うるおいボディには意味ないでしょ。

雷の玉を使ってみよう。

うるおいボディの感電に期待して…


「りべれ」


雷の玉は1匹のカエルに命中した。

命中したはずが、カエルはお返しのように泥の玉を飛ばしてきた。

おれは華麗に側転をして避けてみせた。


側転の最年少記録だぜ。

なんてふざけてる余裕はない。

まだ1匹しか倒してない。


風の玉を使ってみた。


「りべれ」


またカエルに命中して、効いてるみたいだ。着弾した直後、かまいたちがカエルを覆って攻撃している。


風の玉カードを何枚か宙に投げ「りべれ」と唱えると、それぞれのカエルに全弾命中した。100発100中の命中精度にうれしくなったが、まだ倒せたわけではない。


土の玉も同様に使ってみた。土の玉と言う名前だが、ハンドボールサイズの岩だった。

もちろん全弾命中。


全てのカエルを倒して、本の中に収めた。そのついでにシュバルを水の玉できれいにしてあげた。


シュバルの毛が乾くのを少し待って、またラパンに縛ってもらい出発した。

シュバルはかっ飛ばして密林を走り抜ける。

揺れが激しくてなかなか眠れない。


一瞬だが、遠くの方で蝶が羽ばたいてるのが見えた。

密林を抜けると景色が花畑に変わる。

ご丁寧に1本道が用意されているから、シュバルはそこを走る。

ちゃんと道になっていて寝れそうな揺れになっている。速いけど。


花畑には蝶がたくさん舞っている。

舞っている?飛んでいる?

シュバルとチョウが並走している。

優雅に舞っているように見えるのに、速さが半端じゃない。


1匹の蝶がシュバルの横腹に体当たりする。

不意をつかれたのもあるが、シュバルと一緒に吹き飛ばされた。そのため人馬一体状態で戦うことになる。


(回避は頼むよ)


「モー!」


本を開いて戦闘準備になる。

蝶が正面から体当たりしてくるのをシュバルがそのまま前足で踏みつける。後ろから来るときは両足蹴りをお見舞い。

さすが馬。体は小さくても威力は強烈。

小さいのはおれに合わせているのかもしれない。


おれの出番が無いぐらい、シュバルが軽快に次々と突進してくる蝶を倒す。


少し離れた所で蝶が羽を動かしてる。

遅れてかまいたちがおれ達を傷つける。

体当たりはシュバルが対応してくれているけど、数が多いし遠距離の対応も必要でカエルよりだいぶ厄介だ。


土の玉を使ってみたが、反応が速くて避けられてしまう。

仕方ないけどレアカードの複合属性を使ってみることにする。


ただまっすぐ狙っても避けられてしまうから、範囲攻撃を使いたいけどメリアス達からはもらってない。


試してみるか。


(シュバル、おれがカードを解放したら、後ろに走って。)


蝶をいなしながらシュバルは返事をした。

おれはレアカードの溶岩の玉と水の玉を投げて魔法を解放した。シュバルが後退するので魔法の軌道は分からないが、発動直後は1つの個体を狙っていたように見えた。


ボーーーン!!


大きな音と共にきた爆風がおれ達を吹き飛ばす。

シュバルが体勢を立て直して蝶の方へ向くと、飛んでいる姿は見えない。

近くにあった花も無くなって地面が見えている。


「せいこうしたかな。しゅばるもどって」


戻っておれ達は蝶を探してみたが、見つかるのはちぎれた羽ぐらいだった。


(収納はできそうにないな。ちょっと休もう)


夕焼け空がきれいな中、花が無くなったお花畑で休憩することにした。

モンスターが寄りつく気配がないので、シュバルから降りてミルクタイムにして今日は寝る。

シュバルを枕にしてラパンを抱きながら寝る。

裸でかけるものもないので、少し肌寒いまま眠りについた。



ひとり旅 2日目


目が覚めるとシュバルの上で揺れている。まだ少し暗い。

ちょうど花畑を抜けそうな所まで来ていた。このまま今度は森に入る。


森にも1本の道があった。

シュバルは凄まじい速さでその道を駆け抜ける。

かなり走った所で、牝鹿が一本道を横断しようとしていることに気づいたシュバルは、急停止をしてなんとか接触せずに済んだ。

シュバルはなぜかうれしそうに、お尻を振りながら牝鹿に近づく。


「モー、モー!」


上機嫌なシュバルが、牝鹿に声をかけながら近づいた。

もはや、午なのか牛なのかよく分からん。


陽気な白馬に気づいた牝鹿は、怯えながら森の中へ逃げていった。

シュバルからポキッと、何かが折れる音が聞こえた。


「どんまい」


おれはシュバルに声をかけたが、反応がない。

先程の軽快さが無く、重い足取りで先へ進む。

しばらく進むと、池があったので丁度よく休憩することにした。

森の中だが開けており、太陽の差し込みが心地よい。


シュバルは池で水を飲んだ後、近くで寝ている。おれもミルクを飲んで休息をとっていた。


ポキッ


シュバルの心ではなく、今度はハッキリと木の折れる音が聞こえた。

おれは本を開いて警戒する。


「もう!気づかれちゃったじゃない」


「えー、おでのせえ?」


「絶対君のせいじゃないか」


3人の子供っぽい声が聞こえた。


「だれ?でてきて」


呼び掛けに応えて出てきてくれた。

やっぱり子供だったが角が生えてる。

メリアスが言っていた、野良の魔族だろう。


「おでは小鬼のポン」


1本角の小太り鼻垂れキッズが言った。

小鬼ってゴブリンかな?それにしてはイメージより綺麗で人に近い。


「こおに?ごぶりん?」


「私も小鬼のアン。あんなのと一緒にしないで!」


「そうだよ、僕は小鬼のタン。小鬼は鬼族の魔人で、ゴブリンは魔物。そんなことも知らないの?」


アンは女の子、タンは男の子。2人とも角は2本。後はポンほど特徴がない。

それよりも鬼族。小鬼とはいえもちろんおれより大きい。大鬼とか出てきたらやばいな。

ポン、アン、タンって3人であんぽんたんやん。

仲良し三人組ってことでいいんかな。


「おれは、つかさ。ひゅうまん。よろしく」


敵意より愛嬌が勝るあんぽんたんに、こちらも自己紹介をした。 


「ヒューマン?なんでこんなところにいるの?頭に報告しなきゃ」


「大変。頭に報告」


「君も付いてきてもらうよ」


なんかまずいことになったかもしれない。

気づかれないようにシュバルを強制送還して、あんぽんたんと森の中を歩いて頭の元へ行く事になった。


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