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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
新事業の準備
42/81

獣人の商人

昨晩は熊の獣人とたくさん話した。

朝練の時にペッシュとその話をするつもりだったが、そんな余裕はなかった。

素振り後、ヘロヘロになったおれに容赦なく追い討ちをかましてきやがった。


「つかれたぁ。。」


朝食をとるため宴会場に来ると、大きくてふわふわの尻尾を持ったリスが昨日の熊獣人と一緒にいた。

手招きされたので本日も相席させていただく。


「なにか欲しいものはないか?」


唐突すぎて、返答に困る。


「はらへった。」


「何が食べたい?」


目の前には本日の朝食が並んでいる。

メインは鹿肉の香草焼き。付け合わせできのこの炒め物があり、安定のぶどうジュース。

ブレストでは玄米が食べれたのに、ここでは炭水化物になるものがない。


「こめがたべたい。」


熊獣人がまた手帳に何か書いた。


「今度持ってくる。」


「……」


どゆこと??

さっぱり意味が分からない。

この時間なんだったんだ?


「エルメスさんはいつも言葉が足りないんですよ。そもそも自己紹介は済んでるんですか?」


リスは少し苛立ちながら、熊に向かって強く言った後、こっちに話してくれた。


「すみませんね。私はリスの獣人族でセクリと申します。エルメスさんはいつも言葉足らずでして…エルメスさんの持つ神器で商品を入手できるのですが、我々の国に保管してある倉庫に納品されるため、後日持ってこなくてはならないのですよ。」


便利なようで不便な所もあるのか。


「私の名前はエルメス。これは獣神様の神器。こっちが魔神様の。」


そう言いながらさっきまでメモしていた手帳を見せてくれて、後に出てきた物はただの石板に見えた。


「魔神様の神器は、地名が分かればどこへでも転移することができます。」


「行ってみるか?」


急すぎて思い浮かばないし、そんなノリで行くものなのか。

それよりさっきの欲しいものが手に入る手帳の方が気になる。


「のうひんしたものを、そくたつでとどけてくれるといいなぁ」


「そくたつ?」


セクリに聞き返された。

つい思ったことが口に出ていたらしい。


「しょうひんを はこぶしゅだんがあれば ていきてきにおねがいしたいんだよね」


みんなで考えていたら、太牙くんとバインフーが来た。

この2人もいつもトレーニングをしているらしい。


「どうかしたのか?」


太牙くんが聞いてきたので、今の状況を説明した。


「通販じゃん。この世界でできるのか?」


連絡・配送の手段があればできると思うし、それができればお店を運営する時に楽になるはず。



「じんぎもらいにいこっか」


一応手帳で小型通信機器を調べてもらったけど、販売不可と表示された物しかなかった。

誰かは持ってるけど、販売や流通はしてないということらしい。


人神はどこにいるか分からないし、獣神と精霊王と神王はまだあったことがない。

龍神が一番手っ取り早いからそこに行ってみるよう提案してみた。


龍族の村の名前は忘れたので、朝ごはんを食べた後ペッシュに聞きに行った。

帰ってきてから猛特訓が待っている、と脅されながら教えてもらい、おれとエルメスとセクリの3人で行くことになった。


「神器発動。指定場所イヴト」


神器が起動するとおれ達3人はイヴトに転送された。


イヴトに着くと、たぎつと龍神のドーベンがいた。


「つかさじゃ~ん!久しぶりぃ!」


陽キャな黄色い龍たぎつがおれの肩に腕を回す。

とてもいかつい。


「卑怯な手で来やがって、何用じゃ?」


「おれのじんぎちがうものにかえてくれない? ついでにこのくまさんにじんぎをあげてよ」


おれの神器は弱い物を寄せ付けない、という効果のある首飾りを貰ったわけだが、全く実感がない上に、別に無くてもいいぐらいの物になってしまっている。


「おまえなめとるんか?神器はホイホイあげる物じゃないし、ましてや1度貰ったものを変えてくれなんて、おこがましいぞ」


えぇ~。と思ったのもつかの間。

たぎつが龍神に向かって懇願した。


「うちにも神器くださいよぉ。欲しいっすよ~」


「ほいじゃあ勝負じゃな。勝った方の願いを叶えちゃろう。神じゃからな」


また勝負か。

まあ勝てばこっちの要望を聞いてくれるそうだし、受けない理由はない。

前回の実績も背中を押してくれる。


「絶対負けねぇっす」


たぎつの目が輝き、気合いが満ちている。


「勝負の内容は…殴り合うか。一対一の勝負。どっちかが負けを認めるか、こっちで戦闘不能と判断した時を終了にする。」


おれがけしかけた事だから、おれが一歩前に出て参加の意思を示した。


「大丈夫なんですか?」


リスのセクリが心配してくれるが、まぁ大丈夫だろう。

たぎつにはなんか勝てそうな気がする。


こうして、人生2回目の龍との勝負が始まろうとした。

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