手土産の調達
昼寝から覚めたおれは、明日から鬼族の所に行ってくることをパトラに伝えた。
その後トラリアの牧場に来た。
「あらあらつかさちゃんじゃな~い。みんな元気よ~」
おれは昼と同様に、マチカとアステリオと行動をしていた。
ラパン以外のみんなはここにいた。
なぜか、バインフーと一緒に太牙くんがいる。
「つかさ~、ここやばいわ。サキュバスとインキュバスに面倒見てもらえて、ニートになりそう」
太牙くんは溶け始めていた。
「あした、おにのむらにいく。たいがくんもしたくしておいて。」
成り行きで太牙くんを連れてきたが、ニートにするためではない。
明日からしっかり働いて鍛えてもらう。
他にもメンバーを募って明日に向けて準備をした。
朝集まったおれ達。
メンバーはおれ、太牙くん、その他。
おれは集合場所に来てびっくりした。
ラパンとサージュ以外のみんなが来ていて、予想以上の大所帯になってしまった。
元々召喚スキルで呼べるから、わざわざみんなで一緒に動く必要はないのだ。
ただ人族領で召喚したイルコス、マチカ、リックがまだ進化してないから、優先して連れていくことにする。
その3匹と太牙くん、バインフーで行くことになった。
一行が森に入ってすぐに魔物と遭遇した。
始めて森に入った時に出てきたカエルだ。
「お!魔物じゃん。食べてもいい?」
太牙くんが率先して前に出た。
カエルを生で食べることに抵抗がないのは、前世の記憶や理性よりも、今の魔物の感覚の方が強い現れなのだろう。
おれが許可を出すと太牙くんはカエル達を食べに行った。
太牙くんとカエルでは力の差がありすぎて、戦闘ではなく食事で終わってしまった。
満足そうに太牙くんは戻ってきたので、再び森を進む。
少し進むとまたカエルが出てきた。
さっきとは色が違っている。
太牙くんのキラキラした目がこっちを向いている。
「いいよ…」
おれはその圧に押されるように許可を出した。
だが、さっきと違う色のカエルは少し戦い方も違っていた。
さっきは泥を飛ばしてくるカエルだったが、今回は突進してくる太牙くんにゲップをかけた。
太牙くんは「くっさ~~」と言いながら鼻を押さえて倒れた。
すぐに起き上がらない太牙くんをバインフーが助けに行く。
バインフーは太牙くんの首根っこをくわえてこっちに投げ飛ばした。
複数のカエルに囲まれているバインフーにもゲップの攻撃が飛んでくるが、風魔法で自分の周りの空気をコントロールしている。
バインフーが囮になってカエルの集中攻撃を受けている時、リックがカエルを囲うように高い土壁を展開した。
バインフーが壁を越えて出てきたのを確認して、マチカが大量の水を壁の中に流した。
(主様雷属性の魔法をお願いします。)
こっちを見ているイルコスから念話が送られてきた。
言われるがままにさっき大量に受けた魔法の1つを投げた。
投げられたカードは風に乗って壁の中に入った。
「リベレ」
おれが投げたカードは壁の中で大きな音と光を発した。
いくつか漏れる電気が落ち着いた。
「かべをこわしてみようか」
バインフーが監視役となり、おれ、イルコス、マチカ、リックがそれぞれの壁前に立った。
おれは保険で防具に自動回避と攻撃力強化を付与して、刀を抜いた。
バインフーが吠えたのを合図に、みんなで同時に壁を壊した。
おれは刀に魔力を流して壁を一刀両断してみせた。
他のみんなも体当たりをして壁を壊す。
すべての壁がほぼ同時に壊れて、中の水が流れ出る。
おれは踏んばりきれずカエル達と一緒に流された。
少し離れていた太牙くんの隣まで流されたわけだが、他のみんなは動いてなくおれだけが移動していた。
「なんで?」
シンプルに疑問に思ったが、耐えきれなくなったバインフーが腹を抱えて笑いだした。
こいつだな
「なにかしたのか?」
おれがバインフーにちょっと強めに聞くと、必死に笑いを堪えながら答えた。
「風魔法でちょちょいっと…ハッハッハ」
途中で笑いが耐えきれなくなり、また爆笑している。
(なめやがって)
おれは見た目は赤ちゃんだが、心は大人なんだ。
一息飲み込んで微笑み返した。
太牙くんの目が覚めるのを待って出発した。
そんなこんなで、道中現れる魔物を連携しながら討伐していく。
カエル以外にも鹿の魔物や馬の魔物等、遭遇する魔物をひたすら狩って本に収めた。
鬼の村に着く頃にはみんな進化した。
イルコスには立派な角が生えて、リックはウリボーからイノシシになり、立派な牙が生えた。
マチカは狼のようになり、体毛にオレンジ色が混ざった。




