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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
新事業の準備
39/81

魔王と面談

目が覚めるといつものベッドの上だった。

ベッドの横には申のサージュと、卯のラパンがいた。


「やっとお目覚めですか。寝坊しすぎです」


ラパンがため息混じりにぼやいた。


「4日も寝てたんですよ。今後は常に誰かを側にいさせて、監視します。我々12人の総意です。」


「はい。すみません」


おれは4日も寝ていた驚きよりも、迷惑をかけていたことを反省した。

普段は自信無さそうなサージュも、怒っているときはすごく分かりやすく伝わってくる。


「パトラ様が『起きたらすぐにこい』と言ってました。」


サージュがパトラの真似をして言った。

練習したのだろうか、上手くできたようでうれしそうにしている。

それを見ておれはほっこりした。

そのままサージュとラパンとパトラの所へ向かった。



「パトラ、起きたよー」


パトラの待つ部屋に来てドアを開けた途端、おれの体は壁に叩きつけられた。


意識が戻った時にはまたベッドの上に戻っていた。

また、ラパンとサージュがベッドの横にいる。


「じゃあ行きますよ」


ラパンがだるそうに部屋を出た。

サージュの目配せでおれも起き上がり部屋を出る。


「昨日の事もありますから、対策しておいてくださいね。」


サージュがおれに耳打ちしてきた。

昨日は寝ていたはずで、なんの事だかさっぱり分からない。


そう思っていたが、目的地に着いて全てを理解した。

ここはパトラが待つ部屋。

そしておれが殴られてベッドで寝ていた原因になった場所。

すなわちおれは昨日殴られて、丸1日寝ていたことになる。

そんな部屋行きたくないに決まっている。

おれは気づいてないふりをして、部屋を通りすぎた。


「つかさ様、ここですよ」


ラパンに言われた。

知ってますよ。知っていて通りすぎたんだから。

いつまで寝てればいいんだよ。


「いかないとダメ?」


「はい」


即答。

後ろでサージュも頷いている。


「わかったよ。いけばいいんでしょ」


おれは諦めてドアの前に立つ。

何が起きるか分からないから、魔神の神器に魔力を流して備えた。

自動回避・自動回復・防御力上昇

身を守るバフをかけてドアを開けた。


部屋に足を踏み入れた瞬間、おれの体は回避行動をとって壁に張り付き、そのまま壁を蹴って部屋の中心に転がった。

ドアの前にはパトラが立っている。


「なにすんだよ。あぶないじゃないか」


「昨日は死んだのに、今日は同じ攻撃を避けるんだな」


「おれきのう、しんだの!?なんでいまいきてんの?」


この世界で初めての死を知らぬ間に経験していたおれは、焦りを隠しきれない。

今生きている事も不思議だが、昨日殺された事はもっと不思議だ。


「おれが関わる戦いで死んだ者は、戦いが終わった後、自宅のベッドで目が覚める、という固有スキルがある。」


なるほど。素晴らしいスキルだ。

人族との争いでも、死ぬと自宅に戻るので死者はでないそうだ。

それなのにおれは、死んでないから部屋に戻らない。なんなら自分の意思で、なおかつ無断で人族領に行ったことが気にくわなかったらしく、昨日殺された。


「プチがつかさとの闘いで不自然なことがあったと話していた。神器のおかげだな。神器に見合った力を磨くように励まないと、そのうち限界がくるぞ」


分かってますよ。

おれは言葉にはしなかったが、態度には出ていたようで、パトラもそれ以上何も言わなかった。


少し気まずい雰囲気になってしまったので、別の話を切り出してみた。


「そろそろパンをつくりたいんだけど、どこかばしょないかな?」


材料が大分揃ってきた。

正直、場所さえあればパンを作ることができる。

道具をアイラに頼む必要があるけど。


「分かった。街の中に建物1つ用意しておく。準備ができるまで1月かかるから、メリアスとペッシュに鍛えてもらってこい。」


「…はい」


鬼と悪魔。強くなるためとは言え、めちゃくちゃ怖い。

おれは機材の発注をするため、アイラの所へ寄った後、メリアスを訪ねた。

サージュがアイラの所に残り、道中で偶然遭遇した、犬のマチカと牛のアステリオと向かった。

ラパンは気づいたらいなくなっていた。



外で遠距離部隊のトレーニング中だったメリアスに「つよくないたい」と言うと悪魔は不敵な笑みを浮かべた。

悪魔の笑みを見た監視役のマチカとアステリオは、動物の勘で静かに距離を取った。


その後はメリアスの号令と共にたくさんの魔法が降り注いだ。

慌てて魔法耐性のバフを魔神の神器にかけ、本を開き魔法を受け止めていく。


空から雷が落ちたり、地面から尖った岩が現れたり、水の牢獄に閉じ込められて、前回とは比にならないほどの魔法の種類を受けた。


「よし、次はおれがやるけど、反撃してきてもいいぞ?できるならな」


メリアスは笑いながらおれと向き合った。

おれは本に魔力を流してさっき受けた魔法をいくつか放った。


だが、メリアスがおれの放つ魔法に手をかざす度何故か魔法が消えてしまう。


「終わりなら行くぞ?」


次はメリアスが攻撃を仕掛けてきた。

狼の姿をした雷の魔法がおれに突進してきたかと思えば、地面から急に突風が吹き上がりおれの小さな体は宙に飛ばされた。

そこに待っていたのは龍を模した炎。

手で受け止める事で魔法はカード化され、消滅するが熱で片腕を火傷してしまう。


鬼族にもらった回復液で腕を治していると、水魔法で作られた鮫が襲ってきた。焦って回避をすると、地面に大穴が空いて落とされてしまう。

続けて火を纏った大きな鳥が穴の中に突進してきて咥えられた。


穴から放り出されたおれは、ほとんど放心状態だった。


「やりすぎたか?」


そんなメリアスの声はおれに届くことがなかったが、後ろで観戦していた隊員達がざわついていたのはうっすら感じた。



マチカに連れて帰ってもらい、おれは一度ベッドで横になった。


(メリアスの所に行っても強くなる前に死ぬわ、あれ)


おれはミルクを一気飲みして、あれを忘れるため昼寝をした。

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