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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
おれと鬼と時々魔獣
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鬼に代わってお悩み解決

慎重にドアを開けて顔を覗かせると、大剣を背負った男とリーダーがいた。

どうやらお取り込み中だったようで、どちらも下着姿だった。2人の違いは、鎖で拘束されているかどうかだけだった。


「どうなってる?」


後ろから黒虎の太牙くんが聞いてきたので、少し待機してもらっておれは犬のマチカと中に入った。

太牙くんはさっきまで捕らえられてたわけだし、あまり負担をかけないように進みたい。


マチカと物陰に隠れながら、リーダー達に少しずつ近づいていく。


「おれは勇者だからな。魔物討伐でお疲れなんだよ。発散させてくれるよな?」


大剣を背負った男がパンツを下ろしながら言った。


「マチカ。あのだいじそうなけんを、うばってきて。」


おれがマチカに指示を出す。

男がパンツを脱ぎきって、後ろに投げたときマチカが走り出した。

男はそれに気づくことなく、リーダーに近づくと、ガブッと一噛み。マチカは男の大事な剣を噛みちぎった。

それは背中に背負った大剣ではなく、先ほどあらわになった小さな剣の方だった。

男は悶絶し、そのままその場に倒れた。


おれはリクドウで鎖を切って、リーダーは動けるようになったが、手首と足首に付いた枷の取り方が分からずそこは残ったままになってしまった。

リーダーの服は雑に破られて辺りに散乱していたので、マチカを護衛に付けて帰ってもらうことにした。


リーダー達が部屋を出たのを確認して、階段に太牙くん達を迎えに行った。


リックとイルコスと太牙くん、たくさんの動物を連れて部屋に戻った。

太牙くんは倒れた男を見て驚いた反面、本能的なものかよだれを垂らしている。


「エグっ。何があったか分からないけど、この大剣欲しいな。」


大剣で誤魔化したけど、必死に理性で人を食べる事は抵抗しているのが伝わってくる。


まあ私なら、その剣を持って帰れますな。

というわけで、ひとまずは本に入れておく。


「それなんだ!?めっちゃ便利じゃん!」


ドヤ顔を決めてやった。

これな、すごく便利なんですわ。

…頂き物ですが。


そんなやり取りをしていると、リーダーとマチカが戻ってきた。


「待たせたね。助けてくれてありがとう、坊っちゃん。まずは拳一と合流しよう。」


そう言ってリーダーはおれ達が来たドアへ向かった。


「ちょっと待てよ!」


リーダーの足を止めるように声をあげたのは、太牙くんだった。


「おれは無視かよ。一言謝罪があってもいいんじゃないのか?」


「喋る黒い虎。 まだ生きていたのか。あたしはリーダーとして間違った選択をしたとは思ってない。坊っちゃんに感謝しな」


リーダーは再び歩みを進め、ドアノブを握ったタイミングで太牙くんが飛びかかった。

おれは慌てて納刀してある刀で止める。

今は争っている場合ではない。

そこに倒れてる自称勇者の仲間からこの街を守ることが最優先である。

しかし太牙くんの理性が飛びかけていて、なかなか引いてくれない。


拮抗していたつばぜり合いが少し劣性になってきた時、イルコスがすかさずおれの前に来て太牙くんを眠らせた。

イルコスの固有スキルは催眠作用があるみたいで、何度も助けられている。

イルコスのモフモフを全身で感じながら褒めまくった。

眠っている太牙くんを部屋に残して、階段を進む。



おれ達はみんなが捕らわれている場所に帰ってきた。


「リーダー!」


ベンゼンはリーダーを見るなり、その場に泣き崩れた。


「舞。ごめん、守ってやれなくて。怪我してないか?手首と足首のこれはどーした?大丈夫か?」


拳一の意識が戻っていた。すごく責任を感じているようで、心配そうに舞を見ている。


「うるさい。この坊っちゃんが助けてくれたから大丈夫だったよ。ただこの枷のせいでパピノアが出せないのが不便だけどね。」


拳一やベンゼン等の一部の者達は、リーダーが帰ってきたことで安堵している。

ただ、街の人っぽい者達の表情が変わることはなかった。


「つかさ、うまくいったみたいだな」


ネフルに言われて、おれも少し肩の荷が下りた。


「拳一、鍵がなくても出れそう?」


リーダーに言われて、拳一はすぐに首を横に振った。どうやらこの脳筋は力業での脱出を、既にトライ済みだった。


おれは太牙くんの時みたいに、リックに頼んだ。

リックは穴を掘って拳一の脱出を手伝った。

無事脱出に成功した拳一は、感極まってリーダーに抱きついたが、リーダーは露骨に嫌がっている。

リーダーは両手で拳一を突き放して、リックに街の人を助けるように頼んだ。


リックは数人分掘った後一旦手(?)を止めた。急に震えだし、何をするのかと見ていたら、各鉄格子の地面に穴が空いた。

全員分はできなかったみたいだが、かなり効率良く穴堀ができたと思う。


「プギー」


リックは疲れてその場に転んだ。

おれが疲れたリックを隣に座って撫でていると、ネフルが不思議そうに聞いてきた。


「魔力切れだろ?契約している従魔には契約者の魔力を送れるからな。つかさのをあげたらすぐ元気になるぞ」


やり方は分からないが、ネフルに言われた通り、撫でながら魔力を送るイメージをしてみた。

すると数回撫でただけで、リックはさっき以上に元気になった。


元気になったリックは魔法のように、残りの全員分の穴を掘り終えておれにすり寄ってきた。

魔力を送りながら撫でてあげる。

それを見たマチカとイルコスも来たので、2匹にも魔力を送りながら撫でてあげた。


これで、全員を鉄格子から出すことに成功。

後はリーダーの枷を外すのと、街を占拠しているやつらを追い出さなければならない。


おれ、従魔達、ネフル、黒蝶 舞、剛力 拳一でかちこみに行く。

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