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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
おれと鬼と時々魔獣
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鬼とボートデート?

ネフルとボート置き場に着いた。

ボート置き場は川の上にある大きな倉庫のような建物だ。中にはたくさんのボートが壁に掛けてある。

建物内の受け付けに話しかけると、1艘のボートが川に落とされた。


ネフルがおれを担いでボートに飛び乗った。

ネフルはおれを座らせると、手際よくロープをほどき、オールでボートを漕ぎ進めた。

川の流れに沿ってボートは緩やかに下っていく。


「落ちるなよ。喰われるからな」


おれは意味が理解できなくて川を覗き込んだ。

川は澄んでいて、10cmも無いぐらいの小さな魚が泳いでいるくらいだった。

こんな小さい魚に食べられるとは考え難い。他に大きいのがいるのだろう。


しばらく進んで先程のボート乗り場が見えなくなった頃だった。

ネフルが漕ぐのを止めたのだ。


「代わるか。舵はとってやるから、思いっきり漕ぎまくれ」


そう言うと抱えられオール側に座らされた。

最近抵抗できずに持ち上げられることが多くて、赤ちゃんボディの悩みを見つけてしまった。裸は慣れて気にならなくなったんだけどな。


向かいで腕を組んだ鬼が、睨みをきかせてあぐらを組んでいる。

仕方なくおれはオールを握り漕いでみた。


うおぉーー!!


全身に力を巡らせオールを動かすと、ボートはゆっくり動き出した。

勢いに身を任せて何度もオールを動かす。ボートは決して速くないがちゃんと進んでいる。


だがそんなことが長く続くわけがない。おれはたった数分で手を止めて休憩した。

それを見た向かいの鬼は、腰に着けた巾着から団子のような物をおれに差し出した。


「疲れたらこれを食べるといい。数の心配はしなくていいからな」


鬼はうっすら笑みを浮かべながら、おれに団子を食べさせた。

団子を無理矢理食べさせられたおれだったが、驚く事に先程の疲労感は完全に吹き飛んだ。


「この団子は肉体の疲労を回復する効果がある。回復液で傷を癒してこれで体力を回復する。それが鬼族の鍛え方だ」


本物の鬼教官だった。

体の傷と体力は回復してくれるらしいけど、メンタルケアはしてくれなさそう。無限に漕がされるやつじゃん。

おれはがむしゃらにボートを漕いだ。

手が止まると団子を食べさせられ、再び必死に漕ぐ。


どれだけ漕いだだろうか。

何ヶ所目かのボート乗り場に停まった。

下ろしてもらったはしごで陸に上がり、後からボートを上げてもらった。


疲れたからシュバルに乗って街中を移動するため、ボート乗り場を出てすぐにシュバルを召喚した。

だが、魔方陣が消えてもシュバルの姿がない。

ラパンを召喚してみるが、こっちも応じてくれなかった。

魔方陣だけ現れるのを見てネフルも疑問を持っていた。


「つかさはさっきからなにがしたいんだ?」


みんな試して、召喚されたのはサージュだけだった。

サージュだけ、いないことはあっても、逆は初めてだ。

おれはサージュに聞いてみた。


「なんでみんなしょうかんできないんだ?」


「みんな少し怒ってます。龍の村イヴトから黙って出て、シャティロンで何もせず戦いが終わったから。みんなつかさ様の気持ちに応えて争いに参加するつもりだったのに。」


サージュの言葉からも、少し憤りを感じた。

2度拉致されてここにいるけど、確かにそんな目的でシュバルをかなり走らせた事を思い出す。


「サージュ、ごめんな。みんなにもあやまっておいてくれる?」


「主様ごめんなさい。それはできません。パトラ様とアモーラ様と他の従魔で2ヶ月後にお迎えの出発となっておりまして、それまでは自力で祠を通ることも禁じられます。」


最短で2ヶ月以上は人族領にいないといけないわけだ。

迎えが来るまでは、召喚に応じてくれないだろう。

サージュも塩と小麦粉を置いて還ってしまった。


「つかさ、おまえ召喚術使えたんだな。」


そう言われたので、ネフルにおれの固有スキルの説明をした。

その時に未契約の従魔がいることを思い出す。

とりあえず契約のため3体まとめて召喚する。


「サモン。ひつじ、いぬ、いのしし」


それぞれの魔方陣から、白い体毛で赤い目をした従魔が召喚された。

ひとまずは召喚されたことに安心する。


「ひつじはイルコス!いぬはマチカ!いのししはリック!これからよろしくね!」


みんな声高らかに返事をした。

これで12支全てとの契約が済んだことになる。これからの成長が楽しみだ。


「そういえばネフルはなんで人族領にいるの?」


今さらながら疑問に思った。

今後2ヶ月程一緒にいるわけだし聞いてみた。


「七神刀って知ってるか?鬼の村オルレアンにある刀なんだが、鬼神様曰く7人の神様から神器を賜ることが第一条件らしくてな。人神様を今は探してる。」


鬼頭もそんなことを言っていたな。

収集欲で集めていて、最初のきっかけを忘れてしまっていた。


「ひとぞくのかみさまなら、じんぎもらったよ」


ネフルにヘアピンを見せながら言った。

それを聞いたネフルはどこか納得するように「それでか…」と呟いた。

おれの趣味とでも思っていたのか。


ネフルの目的が人神ならブレストに向かうのがいい気がするけど、そもそも神様って普段なにしてるのだろうか。

情報収集しながらブレストを目指してもいいかもしれないな。

ひとまずおれ達は、従魔を連れて近くの街に入った。

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